フランチャイズのロイヤリティはなぜ払うの?内訳と種類を正しく理解

フランチャイズWEBリポート編集部 |2018年04月20日 公開 (2024年04月04日 最終更新)
フランチャイズのロイヤリティ

「フランチャイズに加盟したらなぜロイヤリティを払わないといけないの?」「ロイヤリティが高いと経営が難しくなるのでは?」そんな疑問をお持ち方も多くいらっしゃると思います。

フランチャイズにおけるロイヤリティとは、フランチャイズ本部から商品やサービス・ノウハウの提供を受けたり、店舗運営のサポートを継続的に受けたりする対価として支払う金銭のことです。店舗名・商標といった営業権の使用許諾料や立地調査・商圏分析にあたる加盟金とは、意味合いが異なります。

フランチャイズの意味や仕組み簡単に解説」でも触れていますが、今回は、ロイヤリティ金額に対する考え方や、固定額方式と売上歩合方式の違いについても確認してみましょう。

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フランチャイズのロイヤリティってなに?

加盟店がフランチャイズ本部とフランチャイズ契約を結ぶと、本部が保有する商標や運営システムなどを継続的に使用する権利が得られます。その権利の対価、すなわち使用料として支払うのが「ロイヤリティ(Royalty)」です。毎月の売上に応じて設定された割合でロイヤリティの金額が決まるのが一般的ですが、利用客数や店舗の席数に応じた額を支払う場合もあります。「ロイヤルティ」と呼ぶチェーン本部もありますが、フランチャイズ契約では同じ意味合いです。

なぜフランチャイズにロイヤリティは必要なのか?

フランチャイズに加盟して事業を行なうと、加盟時の契約金のほかにも、継続的に本部にロイヤリティを支払わなくてはいけません。どうして大切な売上の一部を本部に支払わないといけないのかと考える方もいらっしゃると思います。ですが、本部は加盟店オーナーが経営に専念できるよう、サポートを行なっています

多くの本部では、加盟店オーナーの経営相談や指導にあたるため、スーパーバイザー(SV)を存在させています。もちろん、時代や環境の変化に対応した新しい商品・サービスの開発や業態のブラッシュアップも、広い意味での経営支援です。

加盟店が支払ったロイヤリティは、これらのサポートに必要な費用として活用されています。

ロイヤリティとは、加盟店が本部に支払う権利使用料のこと。フランチャイズ本部では、店舗の名称や看板、メニューなどについて、著作権・商標権・特許権を有しているので、これらの権利を使用するためにロイヤリティを支払う必要があるのです。

フランチャイズチェーンには、知名度の高さや信用力を背景として集客力があり、また店舗運営における確かなノウハウがあります。個人経営のお店が開業当初から集客して利益をあげるのは簡単ではないため、ロイヤリティを支払ってでもフランチャイズに加盟するのは大きなメリットがあるでしょう。

フランチャイズのロイヤリティの種類と相場

ロイヤリティは、大きく分けて3つの方式に分けられます。

粗利分配方式 粗利益に対して一定の割合を支払う方法。(変動型)
コンビニで主流になっている
売上歩合方式 売上に対して一定の割合を支払う方法。(変動型)
定額方式 毎月固定の金額を支払う方法。(固定型)

売上歩合方式(変動型)

変動型の場合、売上高や粗利益の金額に応じて割合(%)が変動したり、一定の売上額以上の分はロイヤリティを免除されたりなど、業種やフランチャイズチェーンにより異なります。売上に応じてロイヤリティが変動するため、万が一、売上が伴わない月があったとしても安心です。変動型ロイヤリティの相場は学習塾が10%前後、飲食店だと2%~10%です。

定額方式(固定型)

固定型は、一般的には売上や粗利益に関わらず、本部が定めたロイヤリティを毎月支払います。店舗の面積・客席数に応じてロイヤリティが決まる場合もあります。売上が上がっても支払うロイヤリティは変わらないため、やればやるほど利益率がよくなるのが特徴です。毎月3万円~20万円前後が相場とされています。

ロイヤリティは毎月かかる費用

固定型と変動型の、1年間で発生するロイヤリティの額を比較してみましょう。

ロイヤリティの決定方法 年間のロイヤリティ額
固定型 月20万円 240万円
変動型 粗利益の10%・月の粗利益が150万円 180万円

この例では固定型が有利だという結果ですが、フランチャイズチェーンへ加盟する前に、想定される売上・粗利益をもとにロイヤリティを試算してみるとよいでしょう。

実際にどれだけのロイヤリティを支払っているのか、経済産業省の「フランチャイズ・チェーン事業経営実態調査」のデータ(同資料ではロイヤルティ)を見てみましょう。

「売上高を基準に算定」の場合の売上高に占めるロイヤルティの割合(%) 「粗利益を基準に算定」の場合の粗利益に占めるロイヤルティの割合(%) 固定額制」の場合のロイヤルティの月額 (万円)
小売業 3.5 11 12.6
外食業 3.8 2.5 6.5
サービス業 7.5 30 11.4
全体 4.9 12.5 10

表を見ると粗利分配方式よりも売上歩合方式のほうが低い割合となりましたが、定額方式と比べた場合は一長一短です。たとえば、売上が100万円ある店舗の場合、売上歩合方式のロイヤリティは4.9万円となっていますが、定額方式は10万円なので売上歩合方式のほうが安くなります。

しかし、売上が3倍の300万円になると売上歩合方式のロイヤリティも3倍の14.7万円と、定額方式のロイヤリティを上回ってしまいます。フランチャイズ加盟にあたっては、この点も慎重に検討したほうが良いでしょう。

なお、チェーンごとのロイヤリティに関する考え方を載せた法定開示書面は、「JFAフランチャイズガイド(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会)」で公開されていますので参考にしてみてください。

ロイヤ「リ」ティとロイヤ「ル」ティとの区別

日本語でロイヤリティ(またはロイヤルティ)と表記される言葉には、RoyaltyとLoyaltyに2種類があります。読み方は同じですが、じつは違うこの2つ。では何が違い、どのように使い分けられているのでしょうか。

・ロイヤリティ(Royalty)とは
フランチャイズの場合は商号や商標の使用権、商品の販売権といった権利を使用する対価のことです。

・ロイヤルティ(Loyalty)とは
特定の商品やサービスに対する愛着や思い入れを持つ感情を指します。顧客ロイヤルティが高くなれば、商品やサービスを繰り返し購入または利用してくれる可能性が高くなります。

同じRoyaltyでもロイヤリティ、ロイヤリティー、ロイヤルティ、ライヤリティなど表記ゆれがあります。前後の文面からどちらの意味で使われているのか判断しましょう。フランチャイズの仕組みの説明で使われているのはRoyaltyの方です。

フランチャイズでロイヤリティを支払うメリット

ここで改めてフランチャイズ加盟や経営において、本部にロイヤリティを支払うメリットをおさらいしておきましょう。

【メリット1】開業前や開業後に研修やサポートを受けられる

フランチャイズは全くの未経験や経営経験がなくても独立や新規事業の開業ができるのが魅力です。本部が蓄積したノウハウを伝授してくれる開業前の研修から始まり、開業後は定期的な訪問や電話、Web面談などでのアドバイスを受けることができます。その対価として、ロイヤリティを支払うことで、本部と二人三脚で経営することができるのです。

【メリット2】さらなる商品力の向上を本部が実施してくれる

独立や新規事業の開業を検討するにあたって、自身・自社でヒット商品を開発するのは困難…。しかし、フランチャイズ加盟すると、すでに多くの人に愛されている商品・サービスを提供することができます。さらに、フランチャイズ本部は、さらなる商品・サービスのブラッシュアップや新商品の開発を行ないます。その開発費用としてもロイヤリティが活用されています。

【メリット3】ブランド力や看板を活用でき集客が有利に

オリジナルブランドでの開業や、知名度が低いフランチャイズで開業すると、開業当初は、地道な集客活動が必要になる場合もあります。知名度のある有名なフランチャイズで独立した場合、出店して看板を出すだけで、ブランドを認知している人々への集客効果が見込めます。そのブランド利用料としてロイヤリティを支払っています。

支払わないは絶対NG

フランチャイズに加盟しロイヤリティを支払うことで、様々なメリットがあります。とはいえ、本部に不満を感じることもあるでしょう。そんな場合でも、自分たちが上げた売上の中から本部へロイヤリティは必ず支払わなくてはいけません

仮に、本部からのサポートが不十分だと感じたとしても、勝手に支払いを中断したり金額を減らして支払ったりすると契約違反となり、後々トラブルに発展するケースもあるので注意が必要です。不満が募ったとしても、まずは本部とのコミュニケーションをしっかりとり、改善を促していきましょう。

ロイヤリティが安いことだけで加盟を決めてもいいの?

ロイヤリティは毎月一定額が定められていたり、売上に応じた割合が設定されていたりしますが、中にはロイヤリティをゼロ円(0円)にするフランチャイズチェーンもあります。

ここでは、ロイヤリティの位置づけについて、考えてみましょう。

ロイヤリティ「0」円の秘密

「ロイヤリティがゼロ円」と聞くと、売上がすべて自分のものになると考えるかもしれません。しかし、ロイヤリティ「0」円でもフランチャイズチェーン本部が運営できるよう、さまざまな名目での費用徴収が予定されているのが現実です。

例えば、チェーン全体の販促費用として売上額に応じた広告負担金を求められる場合や、仕入時に本部指定のシステム利用を義務化した上で販売手数料やシステム使用料を請求される場合があります。契約段階だと、数百万円単位で店舗施工指導料や設計料を徴収する例が目立ちます。いずれも、本部が運営サポートを実施していることには変わりなく、ロイヤリティと同じ意味合いのお金です。

といっても、毎月発生する費用が明確化されているという見方もできるため、ロイヤリティが「0」円だからといって本部のサポートが悪いと心配する必要はないでしょう。

ロイヤリティを0円にする理由は、フランチャイズ本部の事情によってさまざまです。一般的に、ロイヤリティを設定していないフランチャイズの場合、ブランドの知名度が高くないこともあります。こういった企業の場合、まずは加盟店数を増やしてブランド価値を高めたいなどの理由から、ロイヤリティを0円にしているケースも多いです。

また、業界でトップクラスの企業がロイヤリティを0円にしているケースもあります。いずれにしても、フランチャイズ本部からのサポートは受けられるので「ロイヤリティが0円だからサポートはしてくれないだろう」などと勘繰る必要はありません。

高額なロイヤリティの秘密

月々のロイヤリティが高すぎると考える人もいますが、店舗運営のプロセスごとにかかる費用を考えると、オーナーにメリットがもたらされていると考えて良いでしょう。

例えばコンビニの場合は、開業時の店舗物件の取得費や工事費をすべて本部が負担して加盟金を抑える代わりに、ロイヤリティを高く設定している契約タイプがあります。加盟時にすでに本部に対して借金があると考えれば、ロイヤリティで返済していることになるので、他のフランチャイズよりも高く感じることが多いのでしょう。

また宣伝広告の観点で考えると、自社でテレビCMを流す場合は15秒1本あたり15,000円から、東京23区だと30万円以上必要です。一方、フランチャイズに加盟していれば本部側で宣伝活動を行なってくれるため、オーナーは店舗営業に専念できます。何よりも、ネームバリューによる宣伝効果が抜群です。サービス業では「開業後1年ほど経過した頃から、顧客の反響による集客が増えた」というオーナーの声もあります。

ロイヤリティは毎月かかる費用なので、店舗運営に関して希望するサポートと、本部が提供するサポートの内容を比べながら、額が妥当かどうかを確認するとよいでしょう。

ロイヤリティが安いだけで加盟を決めるのはやめよう

毎月支払い義務が発生するロイヤリティですが、その金額はフランチャイズのネームバリューや加盟形態によっても様々です。単純に安い方が良いからと、ロイヤリティや加盟金だけを見て加盟するフランチャイズを決定してはいけません。

ロイヤリティが安いということは、本部が加盟店へのサポートにかけている費用も低いということです。重要なのは、運営のサポートの対価として支払っているロイヤリティなので、サポートの量や質、範囲を注意して見てください。

・自分にはこんなサポート内容は必要ない
・これだけサポートしてくれる方が安心だな

あなたにあった範囲を見つけることが独立開業成功への近道です。表面上の数字で判断せず、わからないことがあれば資料を取り寄せたり、説明会に参加したりして直接本部に聞いてみましょう!

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ロイヤリティについてのよくある質問

ロイヤリティを払わないとどうなりますか?

経済産業省のフランチャイズ・チェーン事業経営実態調査報告書によると、フランチャイズに加盟したお店側の理由による契約解除として多いものなかに、ロイヤリティの未払いや遅延があります。数カ月分から1年以上のロイヤリティ未払いが理由として契約解除になっているお店もあり、フランチャイズ本部によって期間の違いはあるものの、ロイヤリティの未払いや遅延は契約解除の要因になります。

飲食店の廃棄ロスの費用は、ロイヤリティに関係しますか?

はい、関係します。前述した経済産業省のデータによると、外食業の37.5%が「廃棄ロスの費用もロイヤリティの算定に関係する」と回答しています。この数値は棚卸や万引きによるロスよりも大きくなっており、フランチャイズ本部では原材料を無駄にすることを重点項目として捉えていることがわかります。もっとも、フランチャイズへの加盟の有無にかかわらず、普段の営業において廃棄ロスを出さないように気をつけたいものです。

万引きされた場合の費用はロイヤリティとどう関連しますか?

こちらについても、経済産業省のデータを見ると、ロイヤリティと深い関りがあります。小売業の約65%で、万引きや棚卸で生じたロスの費用もロイヤリティの算定において加盟店負担とすると回答しています。万引きも棚卸で生じるロスについては、普段の営業で対策ができるものであるため加盟店負担になるものと言えます。ただし、フランチャイズによって内容は異なるので、加盟する際の契約書をしっかりと確認しましょう。

ロイヤリティ0円の場合の注意点を教えてください

「ロイヤリティ0円」という宣伝文句に飛びつく加盟希望者を狙った詐欺もあるので気をつけてください。謳い文句としては「加盟金は高額でもロイヤリティが0円だからメリットが大きい」といった内容で、加盟金の支払いを受けたら姿を消すといったものです。フランチャイズへの加盟を検討する際は、まずはフランチャイズ本部が実在しているかの確認、そして実績などについても十分に確認を行なったうえで契約に踏み切るようにしましょう。

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