開業届はいつ出せばいい? 個人事業主として稼ぐための基礎知識

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年01月17日 公開 (2020年07月17日 最終更新)
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ある程度の社会経験を積むと、将来を見据えて独立開業を視野に入れる人も多いでしょう。独立開業する場合、はじめから法人を立ち上げて大きな店舗を立てたりすると失敗したときのリスクが大きいため、最初は個人事業主として小規模で開業をするケースは少なくありません。

今回は、そもそも開業とはなにか、個人事業主の基本的な開業の流れと1人でもできる仕事についてご紹介します。

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開業とは何を指すのか?

開業とは個人事業主が開業届を提出すること

開業という言葉は独立するときによく聞かれますが、そもそもこの「開業」とはどのような意味を持つのか、きちんと説明できる人は少ないでしょう。開業とは、基本的に個人事業主やフリーランスとして商売をはじめることを指します。個人事業主として商売をするには、「個人事業の開廃業届出書」(開業届)を提出することが必要です。このことから、開業届を出す個人事業主に対して、開業という言葉が使われているのです。

ちなみに法人の場合は開業ではなく設立が使われる

法人をつくる場合は、「法人設立届出書」を提出します。会社を立ち上げることも開業という場合もありますが、提出書類が「設立」なので、会社をつくる場合に対しては設立といわれることが多くなります。つまり、個人事業主に対しては「開業」といい、会社(法人)に対しては「設立」という区別がされているのです。

開業届には2つの種類がある

開業届には「個人事業の開業・廃業等届出書」「個人事業税の事業開始等申告書」の2種類があります。

個人事業の開業・廃業等届出書

「個人事業の開業・廃業等届出書」がいわゆる開業届にあたるもので、原則として開業から1ヵ月以内に、納税地を所轄する税務署へ提出する必要があります。届出書は最寄りの税務署まで取りに行くか、国税庁のホームページでダウンロードすることで入手可能です。

「個人事業税の事業開始等申告書」は、税務署ではなく都道府県税事務所に提出する書類です。自治体ごとに名称や提出期限が異なり、提出しなくても罰則が科されることはありません。先述の「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すると各自治体へ通知されるため、提出したい人のみ出しておくという書類になっています。

開業する前にやっておくべきこと

事業だけでなく当面の生活資金も必要

開業しようとしたときに、まず考えるべきことは資金面です。開業には、少なからずまとまった資金が必要です。自分1人でできる事業をはじめた場合で仕事でも、会社員時代のように毎月給与が支払われるわけではありません。生活費に充てるお金も用意しておく必要があるのです。

また、店舗を構えたり、材料や商品を仕入れたりする場合には、さらに多くの資金が必要となります。必要な資金は自己資金でまかない、足りなければ融資を受ける必要があります。

融資を受ける際にも必要な事業計画書の作成

銀行などから融資を受ける場合に必要な書類が、事業計画書です。

事業計画書とは、銀行が収益性や成長性、安全性などを読み取り、融資するかどうかを決める大きな判断材料になるものです。具体的に記載する内容としては、会社プロフィールや事業プラン、市場規模や競合などがあります。また、商品やサービス、マーケティングから、仕入れまで詳細に記載します。さらに、売上予測や利益計画、資金計画、人員計画も重要です。

融資を受ける予定がある場合には、これらを記載した事業計画書を、あらかじめ準備しておく必要があるのです。

店舗や事業に関すること以外の手続きや準備

開業に関する情報収集も欠かせません。

開業をするためには、店舗や事業に関する準備だけではなく税金対策も大切です。開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出すると税金の控除額が増えます。

また、会社員から独立する場合は、退職手続きなどもしておく必要があるでしょう。

このように、開業にはやるべきことがたくさんあります。よって、会社員のときに少しずつ準備をはじめておくと開業するときに慌てなくていいでしょう。

個人事業をはじめる手続きと開業届を出すメリット・デメリット

事業開始から1ヶ月以内に提出する書類に注意

個人事業における開業の手続きは、まず開業届を税務署に提出することです。

これは、事業をはじめてから1カ月以内に管轄の税務署に提出する必要があります。開業届とは正式には「個人事業の開廃業届出書」といいます。 開業届は出さなくても罰則はありません。しかし、出すことによってメリットがあるのです。

開業届を出す3つのメリット

青色申告を受けることができる

開業届と一緒に「青色申告承認申請書」の提出をすることで、節税効果の高い青色申告を受けることができます。申請書を提出していない場合は、白色申告の扱いとなってしまうので気をつけましょう。

青色申告は特別控除による節税や、その他の特典がありますが、白色申告よりも難しい帳簿づけするので、簿記の知識が必要となってきます。

屋号付きの口座をつくれる

屋号を使用した口座をつくれることです。屋号付きの口座があれば、個人用と事業用のお金を分けて管理することができ、入金の際の顧客からの信頼性が増します。

確定申告のしわすれが起きにくい

年末に確定申告の書類が届くことです。ネットでも申請は可能ですが、開業届を出していないと書類が送られてきません。そのため、確定申告の書類は自分で作成する必要があるのです。

そのほかに、業種に応じて必要な届けや許可を申請し、それらの準備ができ次第開業となります。

個人事業主の場合は、法人とは違い、定款の作成や登記の必要がないため、基本的には税務署に開業届を出すだけで開業できます。

資本金も不要なので、新しく口座を開設しなくてもすぐに独立できる手軽さもメリットの1つです。

開業届を出す3つのデメリット

扶養から外れる場合がある

開業届を出した個人事業主が配偶者や保護者の扶養に入っている場合、所得が一定の水準を上回ると厄介なことになります。つまり、収入から経費を引いた所得が38万円を超えると扶養から外れてしまうのです。そのため、開業後も扶養にとどまるのであれば、支出を厳密に管理して収入が38万円を超えないようにする必要があります。

また、社会保険については扶養主が加入している組合によって基準が異なります。年収130万円までなら可としている組合もあれば、個人事業主として開業した時点で不可としている組合もあるでしょう。そのため、扶養主が加入している組合の扶養認定基準を正確に把握しておくことが大切です。

失業保険を受給できなくなる

サラリーマンが会社の倒産やリストラなどの理由で職を失った場合、手続きさえすれば失業保険を受け取ることができます。しかし、個人事業主の場合は基本的に失業保険を受給できません。

失業保険を受給するためには、本人に再就職の意思と能力があることが一つの条件となります。個人事業主は開業届を出しているため、再就職の意思はないとみなされることが多いのです。また、開業届を出して事業を行なっているはずの状態で失業中という判断を求めるのも無理があるでしょう。

開業届を出した時点で、基本的に失業保険が受給できなくなるということは肝に銘じておいてください。

副業の場合は会社にバレる可能性がある

副業を会社に隠している場合、住民税の金額から副業がバレる可能性があります。何も手続きをしなければ、住民税は給与所得と副業の所得を合算した金額にかけられ、給与から天引きされます。このとき、給与だけの場合よりも住民税が高くなっていることから、副業による収入があるということがバレてしまうのです。

住民税の金額から副業がバレるケースは、確定申告書の記入方法を工夫することで避けることができます。確定申告書の第二表にある「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」という欄で、「自分で納付する」にチェックを入れてください。これで副業に関する住民税の納付書が自宅に送られるようになり、副業が会社にバレる可能性が低くなります。

ただし、確実にバレないとはいい切れないため、副業禁止の会社では副業しないのが鉄則です。

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開業届を出すときの流れ

1. 開業届を入手する

開業届を入手するときは、税務署に直接取りに行く方法と、国税庁のホームページからダウンロードする方法があります。状況に応じて好きなほうを選びましょう。税務署に直接行く場合は、書き損じに備えて2部ほど取っておくと安心です。

2. 必要事項を記入する

開業届の記入に先立って、マイナンバーや開業日、事業所の住所などが確認できる書類を用意しておきましょう。

まず、納税地を管轄する「税務署名」と開業届の「提出日」を記入します。「納税地」の項目では、住所地か居所地、事業所等のいずれかを選択して住所と電話番号を記入してください。自宅とオフィスが別々にある場合、納税地に指定しないほうを下の「上記以外の住所地・事業所等」の項目に記載します。

続いて「氏名」「生年月日」「マイナンバー」を記入し、さらに「職業」「屋号」の欄も埋めていきます。「職業」には客観的に理解できる名称を書けば問題ありませんが、業種によって税率が変わってくるので確認しておきましょう。「屋号」は決まっていなければ空欄で構いません。

「届出の区分」の項目は、新規開業であれば「開業」に丸をつけます。「所得の種類」では、不動産や山林からの所得でなければ「事業所得」を選びましょう。「開業・廃業等日」には開業日を記入しますが、厳密なルールはないのではっきりとわからない場合は提出した日付を記入しても問題ありません。

「事業所等を新増設、移転、廃止した場合」と「廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合」は、開業時には関係のない項目です。

「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」欄では、開業届に関連して青色申告や消費税についての書類を提出するかどうかを選択します。「事業の内容」では、第三者が理解できるように事業の内容を詳しく記入してください。

従業員を雇用する予定がある場合は「給与等の支払の状況」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」「給与支払を開始する年月日」の3項目も記載が必要です。「源泉所得税の納期の特例の承認」とは、本来は毎月納付するものである源泉所得税が、雇用する従業員数が10人未満の場合に限って年2回にまとめられるというものです。申請書を提出する場合は「有」にチェックしましょう。

3. 税務署に提出する

開業届の記入が完了したら、税務署窓口に直接出すか、郵送で提出しましょう。なお、開業届はなるべく2部作成し、1部は控えとして保管しておくのが賢明です。というのも、事業を進める中で控えの提出が求められる場面に出くわすことも少なくないからです。

開業届の控えが必要となるケース

開業した後、重要な取引の場面で開業届の控えの提出を求められることがあります。例として、屋号による銀行口座の開設やクレジットカードの契約、オフィスの賃貸契約などのケースが挙げられます。

開業届にも記入欄がある屋号とは、法人でいうところの会社名にあたるものです。屋号つきの銀行口座を開設するとき、銀行にもよりますが開業届の控えが必要書類に含まれる場合があります。ビジネスとプライベートで口座を分けておくと帳簿管理が楽になるので、屋号つきの銀行口座は開設しておくと便利です。

個人事業主はサラリーマンよりもクレジットカードの審査に通りにくいといわれています。開業届を税務署に提出していることを控えで証明すれば、多少なりとも信用度が上がって審査通過の役に立つでしょう。

オフィスを構えるときも、契約に際して開業届の控えが必要とされることがあります。これらのケースでスムーズに手続きを進めるためにも、開業届の控えは紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

開業届と一緒に提出する書類

人によっては、開業届以外の書類も一緒に提出することになります。関連書類の種類としては、先述の「青色申告承認申請書」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」などがあります。どちらも提出先は所轄の税務署で、「青色申告承認申請書」の提出期限は開業日から2ヵ月以内です。「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出期限は特に定められていません。

その他、「青色事業専従者給与に関する届出書」は親族や配偶者を従業員として雇用する際に必要な書類です。一定の条件を満たした親族や配偶者への給与は必要経費として認められますが、そのためにはこの書類を届け出なくてはなりません。提出先は所轄の税務署で、提出期限は開業後2ヵ月以内と定められているため、忘れずに提出しておきましょう。

「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は、従業員を雇用することになったときに税務署へ提出する必要が生じます。開業と同時に従業員を雇用する場合は開業届に「給与等の支払の状況」を記載するため、この書類は必要ありません。しかし、開業届を出した後で従業員を雇うことになった場合は改めてこの書類を提出する必要があります。提出先は所轄の税務署で、提出期限は従業員を雇うことが決まってから1ヵ月以内です。

個人事業主として開業できる仕事(一例)

開業にあたる仕事内容としては、弁護士や会計士、マッサージ師などの資格を持った人が1人でできるものから、人を雇用するものまで含まれます。個人事業主といっても、個人で仕事をする場合だけではありません。

資格を有していたり、営業ノウハウを持っていたりする場合は1人で開業することも可能です。

資格が必要なものでは、

・美容師
・弁護士
・整体師
・建築士(一級二級)
・公認会計士
・税理士

などがあります。

もちろん資格がなくてもスキルや経験を活かす形で開業するのであれば

・エンジニア
・デザイナー
・ライター
・せどり

などがあります。このような仕事にも、それぞれ取得できる資格はありますが、無資格でも経験や才能があれば開業は可能です。

上記のように、ノウハウや業界の経験を必要とするものもありますが、資格や経験がない場合でも開業できる方法もあります。例えば、フランチャイズという仕組みを活用するのもその1つです。フランチャイズは経営に関するノウハウを教えてもらえたり、さまざまな経営サポートしてもらえたりします。

開業するビジネスのアイデアが決まっていない場合は、成功ノウハウを教授できるフランチャイズ加盟を検討してみてもいいでしょう。

開業の失敗が不安なら、副業からスタートするのもあり

副業から始めれば失敗のリスクを抑えられる

いきなり会社を退職して開業するのには、リスクが伴います。そのため、会社員として働きつつ、副業として事業に挑戦してみるのも選択肢の1つです。

2018年から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で副業が緩和されています。副業としてはじめれば、給与という安定収入を保ちつつ、精神的にも余裕を持って事業を進めることができます。軌道に乗ってから退職して、事業に集中するほうがリスクもありません。

事業で収入が得られない期間も、会社員である以上、生活に困窮することもないでしょう。また、副業のまま続けることも可能です。

副業でも月収5万円を超えたら開業届けが必要

会社員が副業をはじめた際も、事業をはじめたということになるので開業届を出す必要があります。しかし、月収5万円を超えない程度であれば、開業届を出さなくても問題ありません。

個人事業主となると節税などのメリットがありますが、失業保険を受給できなくなります。そのため、月収5万円以下であれば、デメリットのほうが大きくなるので、開業届を出さずに副業として事業を行なったほうがいいでしょう。

自分にあった開業方法をみつける

開業をしようとすると、融資を受けるための事業計画書や、開業に必要な届け出など、さまざまな準備が必要になります。そのため、開業をしたいと思っても途中で諦めてしまう人も多いのです。

しかし、開業にフランチャイズを利用する場合、多方面でサポートを受けることができます。開業に関する書類や、事業計画といった事務手続きに関することも、プロから教わることが可能です。また、直営店の実績などから収益が予測できるため、事業計画もたてやすく、融資が通りやすいというメリットもあります。

1人で開業できるフランチャイズも少なくありません。特別な資格やノウハウが無くても、開業は可能なのです。さまざまな選択肢から自分にあった方法で開業するといいでしょう。

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