飲食店開業に必要な準備は? 資金の考え方・開業の流れ、資格や申請手続きまとめ

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年01月19日 公開 (2020年07月31日 最終更新)
飲食店開業に必要な準備は? 資金の考え方・開業の流れ、資格や申請手続きまとめ

身の回りにたくさんある飲食店。身近にあって利用する機会も多いので、独立して飲食店での開業を考える方も多いでしょう。

しかし、飲食店を開業するためにはまとまった資金が必要になります。また、開店までには思った以上にやるべきことがあり、いざ開業する際にはさまざまな心配や不安に悩まされるかもしれません。そうならないためにも、開業を決意したら事前にしっかりとした情報収集をしておくと安心です。

ここでは、飲食店の開業にかかる資金や、開店までの流れについて紹介します。

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飲食店開業にあたって必要な準備

飲食店の開業を目指す前に、どのような準備が必要になるのかを押さえておきましょう。飲食店開業に必要な準備は、自己資金を増やすこと、開業に役立つ情報を集めること、そして具体的な計画を立てることの3点です。

まず、自己資金を増やすことは今すぐにでも始められます。開業資金には金融機関の融資を利用しようと考えている人も少なくないでしょう。しかし、ある程度の自己資金がなければ基本的に融資を受けることはできません。節約などの工夫によって、自己資金をなるべく増やしておくことをおすすめします。

次に、飲食店開業の方法を調べ、飲食店関連の情報を集めておくことも重要なポイントです。まったく情報がなければ、何から始めれば良いのかもわからないはずです。書籍やインターネットで開業までの流れや必要な手続きについて調べておきましょう。

そして、頭の中で思い描いている飲食店のイメージをもとにして、具体的な計画を立てていきます。開業資金はどうやって調達するのか、居抜き物件を利用するのか、新しく店舗を構える場合は立地や設備をどうするのかなど、論理的に説明できるように構想を練っておきましょう

飲食店の開業に必要な資金の目安

飲食店開業に必要な資金の目安は、店舗の種類や規模などにもよりますが、一般的には1000万円程度といわれています。居抜き物件などを利用すれば、開業資金を安く抑えられる可能性はあります。しかし、想定外の事態が起こる場合もあるため、資金は多めに用意しておいたほうが安全だといえるでしょう。また、ある程度の自己資金がなければ融資も受けることができません。

開業資金をなるべく多く用意しておいたほうが良い理由は他にもあります。開業直後は経営が赤字になるケースが多いからです。基本的に、開業資金の中には運転資金も含まれています。後述しますが、運転資金とは収入が少ない時期の生活を支えるための資金のことで、用意している金額が少ないと経営が波に乗る前に店をたたむことにもなりかねません。開業にこぎつけるまでのさまざまな努力を徒労で終わらせないためにも、開業資金は十分な金額を用意しておきましょう。経済的な余裕は心の余裕につながるので、経営もうまくいきやすくなります。

飲食店開業にかかる一般的な費用項目

店舗の形態にもよりますが、一般的に飲食店の開業には多額の資金が必要となります。飲食店開業にかかる費用としては、物件取得費、店舗設備費、運転資金の3つが挙げられます。

物件取得費

新規の店舗を出展する場合、まずは物件を購入または賃貸しなければいけません。土地代は地域によって差があるので、それを踏まえた上で場所を決めることになります。その後、建物の設計について施工会社と打ち合わせを行い、実際に建設が開始されます。設計費用は別途請求となるケースが多いので気をつけましょう

自宅を改装して店舗にする場合も、設計段階から打ち合わせを行うので、リフォーム費用がかかります。他にも、駐車場の整地にかかる費用や看板設置費用などが必要になるでしょう。

一方、賃貸物件を店舗とする場合には、物件の敷金や礼金、前家賃、不動産会社への仲介料などが発生します。一般的に、敷金は家賃の6〜12カ月分程度、礼金は必要ない物件もありますが2カ月分程度必要になるでしょう。また、家賃は契約した日から払う必要があるため、開業日が遅れる場合は前家賃が大きくなることになります。

あらかじめ必要機器や内装が整っている居抜き物件の場合は、それほど手を加える必要がありませんが、スケルトン物件の場合は天井や壁、床などすべての内装工事が必要となります。

店舗設備費

店舗の準備ができたら、厨房機器やテーブル、イス、レジ、食器、従業員の制服などを揃える必要があります。また、ショップカードやチラシ作成、従業員募集の広告費など、意外と経費がかかるのを頭に入れておきましょう。

運転資金

飲食店を始めてもすぐに軌道にのるかはわからないため、十分な運転資金を用意しておくことも大切です。

運転資金とは、店舗を運営していくために必要な資金のことを指し、食材の仕入れや光熱費、人件費などの毎月かかる経費がこれに当たります。

運転資金が少ないと開業してすぐから資金の心配をすることになるので、最低でも初期仕入れ+固定費3〜4カ月分程度は用意しておくと安心です。

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飲食店の開業資金を調達する方法

飲食店の開業には多くの資金が必要となるため、調達方法を知っておくことも大切です。飲食店の開業資金を調達する方法は、主に「自己資金」「公的金融機関からの融資」「補助金・助成金」の3種類です。ここからは、それぞれの特徴についてみていきましょう。

自己資金

最初に考えられるのが、自己資金のみで開業資金をすべてまかなうことです。手続きの手間もかからず、借金を返済する必要もないため、これがもっともリスクの少ない方法だといえます。

飲食店の開業資金は、なるべく自己資金で賄うことを目指すと良いでしょう。とはいっても、約1000万円もの資金を蓄えるのは容易ではありません。自己資金が足りないときは、以下の2通りの方法を検討してみてください。

公的金融機関からの融資

公的金融機関から融資を受ける方法には、「日本政策金融公庫からの融資」と「地方自治体の制度融資」の2種類があります。

日本政策金融公庫は政府の出資を受けており、通常の金融機関の審査には通りにくい新規開業者でも比較的高い確率で融資を受けられます。金利も低いので、とりあえず打診してみることをおすすめします。 地方自治体の制度融資とは、金融機関と自治体、そして信用保証協会の三者が協力して資金を融資してくれる取り組みのことです。日本政策金融公庫と同じく金利は低く設定されていますが、融資の実行までに時間がかかるので注意が必要です

補助金・助成金

条件に当てはまる場合は補助金や助成金の制度を利用する方法もおすすめです。最大200万円の補助が受けられる「創業補助金」や、小規模事業者を対象に最大50万円が支給される「小規模事業者持続化補助金」などを利用できる可能性があります。

この他、「特定求職者雇用開発助成金」や「キャリアアップ助成金」などの助成金も検討してみると良いでしょう。補助金と助成金はどちらも返済不要の支給金ですが、補助金の受給には審査があるのに対し、助成金は要件を満たしてさえいれば支給が受けられます

飲食店開店までの基本的な流れ

1.コンセプトの設定

遅くても開業の1年前くらいまでには決めておきたいのが、お店の「コンセプト」です。パン屋を開きたいという場合は、どんなパン屋にしたいのかまでしっかりと考えましょう。

たとえば、国産小麦粉にこだわったパン屋、地元の食材を使った惣菜パンが中心のパン屋など、お店の核ともなるコンセプトが決まらなければ集客をすることもできません。また、パンの種類だけではなく、ターゲット層や客単価、立地のイメージなどをしっかりと固めることも大切です

2.損益シミュレーションの作成

開業10カ月前には、1カ月でどれくらいの売り上げを見込めるのか、利益はいくらくらいになるのかなど損益をシミュレーションしておく必要があります。損益を把握しておくことで、家賃にいくらくらいかけられるか、パンの価格はどれくらいになるのかなどを具体的に考えることができるのです。

3.物件探し

物件自体は理想的だとしても家賃がオーバーしてしまうなど、物件探しはイメージ通りにいくことのほうが少ないものです。

開業8カ月前くらいの早い時期から物件探しを開始して、実際にいろいろな物件を見るようにしましょう。飲食店が続かない理由の一つとして、売上に対して家賃が高すぎたということが挙げられます。まずは、売上予想額の10%以内を目安に物件探しをしましょう

4.事業計画書の作成

物件探しと並行して行うのが事業計画書の作成です。融資希望の場合には、この事業計画書がしっかりと作成されていることによって融資を受けやすくなります。単なる思いつきで作成するのではなく、第三者にもわかりやすいよう細かく数値化することが大切です

また、事業計画書がしっかりとできていれば、開店後にも経営の指針となってくれます。事業計画書の作成は、開業6カ月前までには済ませておきましょう。

5.融資の申請

気に入った物件が決まったら仮契約(もしくは契約)を済ませて、必要であれば開業5カ月前には融資や助成金の申請を行ないます。融資は銀行だけでなく、日本政策金融公庫などからも受けることができます。このときに重要になるのが事業計画書です。事業計画書をコンセプトシートや市場調査の結果などとともに提出し、融資結果を待ちましょう。

ちなみに、日本政策金融公庫の専門家支援付融資であれば、最短で2週間程度で審査結果がおりるケースもあります。

6.内外装工事

無事に融資がおりたら物件の本契約を済ませ、開業3カ月前くらいには内装工事に取りかかります。店舗で使用する機器や備品なども選んでおき、内装工事が完了したらすぐに搬入できるよう手配しておきましょう。

7.申請手続き、開店準備

その後、開業1カ月間前までには保健所の立ち入り検査や、営業許可申請を済ませます。他にも、メニューの決定や仕入先の確保、従業員の募集、従業員研修などやるべきことはたくさんあります。

従業員のユニフォームやショップカード作成、広告準備なども開店の2週間前には済ませておきましょう。開店後運営がスムーズにいくよう、開店1〜2週間前にはシミュレーションしておくと良さそうです。

飲食店開業に必要な資格や届け

飲食店を経営するためには調理師免許を持っているのは理想ですが、なくても営業することは可能です。逆に、必ず必要となるのは「食品衛生責任者」と「防火管理者」の資格となります。

飲食店には必ず一人置かなければいけない食品衛生責任者

この資格は、各地域の食品衛生協会が実施する「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで簡単に取得可能です。講習期間は1日のみで、経営者でなく店舗に常駐する従業員が受講してもいいとされています。

栄養士や調理師の資格をすでに持っている人は受講の必要がなく、申請するだけで食品衛生責任者になることができます。

収入人数が30人以上の店舗に必要な防火管理者資格

防火管理者資格の新規講習は、約10時間の講習が2日間にわたって管轄の消防本部などで開催され、防火管理の意義や制度、施設や設備の維持管理、消防計画などについて学びます

こちらも、講習が終了した時点で資格を取得することができる仕組みとなっています。

飲食店の開業に必要なその他各種手続き

また、飲食店開業のためには、各種必要となる手続きがあります。

まずは、管轄の保健所に申請する「食品営業許可」です。店舗が飲食店としての要件をきちんと満たしているかが検査され、この資格がないと飲食店をオープンすることができません。

管轄の消防署へは「防火管理者選任届」「防火対象設備使用開始届」「火を使用する設備等の設置届」などを届け出ましょう。

深夜にアルコール類を提供したい場合には「深夜における酒類提供飲食営業開始届出書」、従業員に接待させて客に飲食させる場合には「風俗営業許可」なども必要です。風俗営業許可は取得までに数カ月要する場合もあるので、早めに申請しておきましょう。

開業1カ月前までには、税務署で「個人事業の開廃業等届出書」も提出します。その他、従業員を雇い入れる場合は雇用保険や社会保険、労災保険などへも加入する必要があります。

保健所の検査でチェックされるポイント

保健所の検査では、食品衛生責任者が配置されているか、建物の設計や設備が要件を満たしているかといったことをチェックされます。建物の検査でチェックされるポイントは保健所によって多少異なるため、事前に確かめておくことが大切です。

保健所の検査を通過するためのポイントとして、まず床や壁の掃除しやすさに気を配ってください。特に、調理スペースの床にはなるべくタイルやコンクリートなどの耐水性の材料を使い、排水が良くなるように勾配をつけておきましょう。店内の壁は汚れが目立つように明るい色にし、床から1メートルの高さまでは耐水性の材料を使います

店の清潔感を左右する照明の明るさも重要なポイントです。大きめの窓などを設置してなるべく外光を採り入れ、照明も明るいものを使って100ルクス以上の明るさを確保するようにしてください。

店舗が自宅を兼ねるような場合は、営業するためのスペースと住居スペースを明確に分ける必要があります。従業員を雇うのであれば、着替えるためのスペースもきちんと確保しておきましょう。また、換気扇は調理スペースだけでなく、ホールにも設置しなくてはなりません。その他、トイレや手洗い設備についても要件が定められているので、事前に把握しておきましょう

飲食店開業に必要なスキル

飲食業界は非常に競争が激しく、生き残るためにはそれ相応のスキルを身に付けておく必要があります。

運営に関するスキル

飲食店を開業してから長く営業を続けていくために、経営能力は最も重要なスキルだといえるでしょう。経営能力とは、集客や資金繰り、借入金の返済などについて具体的に計画を立て、その計画を着実に実行していくスキルのことです。会計管理や衛生管理、仕入れ業者との交渉など、カバーしなければならない範囲は多岐にわたるため、経営者には総合的な実務能力が求められます。

また、飲食店は基本的に従業員と協力しながら運営するものです。人材を雇い、育成し、采配するためのマネジメント能力も必要不可欠のスキルだといえます。

調理に関するスキル

そして、飲食店の評判を高めるためには調理能力も当然重要です。毎日大勢の客に料理を提供することになるため、味を維持しながら効率的に調理を進めるスキルが必要になるでしょう。店が繁盛すれば自分1人では手が回らないので、従業員に調理を教える教育能力も欠かせません。

顧客にいつまでも愛される店になるためには、定番料理だけでなく、定期的に新メニューを提供することも大切です。限られた費用の中でいかに魅力的なメニューを考えるかというメニュー開発能力も身に付けておきましょう。

飲食開業の手段としてフランチャイズを活用する

飲食店を開業するためには、物件の取得や機器類の準備など多くの資金が必要です。他にも、さまざまな届出や資格の取得、従業員の採用など、まったくの未経験者にはとてもハードルが高くなってしまいます。その一方で、飲食業界は競争が激しく、しっかりと準備したにもかかわらず、開業3年後には半分ほどしか生き残っていないのが現状です

要する時間と資金を無駄にしないためにも、「フランチャイズ」で開業するという方法もあります。フランチャイズとは、加盟店がフランチャイズ本部からお店の看板や商品、サービスなどを使う権利をもらい受け、その対価として本部に加盟金とロイヤリティを支払う仕組みです。すでに直営店などで成功している実績のあるビジネスモデルが用意されているので、未経験者でも安心して開業することができるでしょう

しかし、お店の看板や商品、サービスなどを使えると言っても、開業までの流れは変わりません。本部のサポートがあると思って頼り切っていると失敗するので、フランチャイズで開業するとしても経営者としての自覚を持って、自分主体で動くことが大事です。

まずは、フランチャイズ加盟に関する資料請求を行い事業説明会に参加するなど、積極的に情報収集することが大切です。説明会などでは体験者の生の声を聞いたり、質疑応答があったりと、開業についての不安や悩みを解消することができるでしょう。

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