株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役川上 健一郎
2015-09-07 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

アーリーステージの本部に加盟する魅力と気をつけたい点

 このコラムのポイント

フランチャイズには、加盟店が30店舗以下ほどのアーリーステージの本部が運営しているチェーンもあります。ではこちらに加盟するメリットとデメリットとは?ということがわかるコラムです!

フランチャイズWEBリポート編集部


はじめに。アーリーステージ本部の定義とは

今回はアーリーステージのフランチャイズ本部に加盟する魅力と気をつけたいポイントについてお話出来ればと思います。
まず最初に、簡単に定義付けした方がわかりやすいかと思いますので定義付けしましょう。

ここで言うアーリーステージのフランチャイズ本部とは、1店舗~30店舗くらいまでのフランチャイズ店が加盟しているフランチャイズ本部、またはフランチャイズ展開をスタートしてまだ1年~2年以内の本部の事と思って下さい。

ここ最近は非常に多くの企業がフランチャイズビジネスをスタートしています。特に以前と比べてサービス業の本部が多いのがここ最近の特徴かと思います。

私もフランチャイズ本部の立ち上げ支援等も行っております関係上、毎月5社から10社くらいのフランチャイズ本部候補の企業とお会いする機会があります。

まず皆さんに知っておいて頂きたい事は、「なぜ企業はフランチャイズ展開をするのか?」という事です。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、フランチャイズ展開というのは多店舗展開をして行く手法の一つです。

そのほかにも

・ 直営展開

・ ライセンス展開

・ のれんわけ展開

・ 業態OEM展開

・ 代理店展開

など色んな展開手法があるわけですが、なぜフランチャイズ展開を展開している企業が多いのかと言うと当然企業側にとってもメリットがあるからなんです。

では企業にとってフランチャイズ展開の最大のは何か?それはスピード展開が可能になるという事です。

直営店展開の場合は人やモノ、金という3要素を全て自社で準備しなくてはいけませんが、フランチャイズの場合は基本的に加盟店側で準備する事が多いですよね。それによりスピード展開が可能になります。

もちろんスピード展開のみがメリットではありませんが企業側にとっての大きなメリットだと言えるでしょう。
では、アーリーステージの本部に加盟する魅力とは何でしょうか?

1.今後成長するであろう有力なフランチャイズビジネスに早い段階で参入する事で好条件で加盟出来る可能性がある

2.早い段階で参入する事で有力であろうマーケットをおさえる事ができる

3.特に立ち上げ段階の本部の場合は、是が非でも成功加盟店を創らなければならないので、本部の支援が手厚いことがある

代表的なメリットとしてはそのような事があげられると思います。

1については、アーリーステージの本部は直営実績はあってもまだフランチャイズでの成功事例は少ないですので、加盟金等は比較的に安価に設定されている事が多いです。
そう言う部分では、その本部が大きくなるに連れて加盟金の設定が変わってきたりしますので、早い段階での参入というのはメリットはあるかと思われます。

2については、マーケット又はエリアですね。フランチャイズ展開の草創期はどこのエリアも空いていますので、そのビジネスを行うにあたって有力であろうマーケットに出店する事が可能だと言う事でしょう。アーリーステージの本部に加盟する最大のメリットはここかもしれませんね。

3については、アーリーステージの本部が一番欲しいものは何か?加盟店の成功事例です。成功事例を創る為に本部は熱心なサポートを行ってくれる事が多いかと思います。

このようなメリットもありますが、当然ながらデメリットも存在します。

1.ビジネスモデルの検証が出来ていない場合がある

2.本部が経験した事が無いエラーが発生することがある。

3 本部のサポート体制が整っていない

代表的なのはこの3つなのではないでしょうか。

1 については、分かりやすい話で言うと通常フランチャイズ本部はフランチャイズビジネスに参入する前に3ショップ2イヤーというように、直営店を最低3店舗以上2年間運営して下さいと我々は伝えています。
それはなぜかというと事業を運営して行くとその店舗により様々なエラーが出ます。そのエラーを3店舗、2年間運営して頂く事により洗い出し、解決策をノウハウとして本部が持つという意味です。そう言う意味では、本部が自社のビジネスモデルの検証をどれだけ出来ているのかによってアーリーステージの本部に加盟した加盟店の結果が変わってくるかと思われます。

2も1とつながる話ではあるのですが、直営店と全く同じ条件の物件というものはありませんし、どのビジネスでも運営している人が変わると大なり小なり結果も変わってくるものです。
検証がしっかり出来ていない所ではもちろんですがそういう意味では本部の経験が浅い分様々なエラーやクレームに対してのノウハウが欠落している事は考えられます。
ここに関しては、一緒に作り上げて行くくらいの気概を持って参入され矢方が良いかもしれませんね。

3については、当然ながら本部のサポート体制は大手の本部と比較すると整っていないというのが現状だと思います。したがって、本部に指導して頂いた通りに行動して行けばある程度の結果が望めるというレベルにある本部なのか?ビジネスモデルなのかは見極める必要があるでしょう。

私もよくセミナー等でお話しておりますが、船に例えるとすると大手の本部が加盟店オーナーが求めているサポートや情報を万全に揃える事が出来る、経験がある豪華客船だとするとアーリーステージの本部は筏や小さな小舟です。

あるメガフランチャイジーの方にお話を伺った際に、「私は100店舗以下の本部には加盟しません」という方もいらっしゃいます。参入するかどうかの最終的な判断は、当然自己責任です。

メリットもありますが、そのようなリスクもある事を十分に知った上で参入される事をお勧めします。

株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

福岡県嘉麻市出身。久留米大学法律学部卒在学中、学費や生活費を全てアルバイト代で捻出するため、株式会社光通信関連企業にて営業職に従事し、そのまま就職。その後家業の造船業を経て、2001年長谷川興産入社。加盟店開発の統括責任者として入社当時の200店舗から800店舗までを牽引。退社後は、コンサルティング会社を経て「日本のフランチャイズビジネスの成功率を10%引き上げます!」をミッションに2008年にディライト・ジャパン設立。現在、全国様々なフランチャイズ本部の本部支援コンサルティングを実施。