販路企画 代表田口 勝
2015-11-18 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

コンビニチェーン強さの秘訣は、時代のニーズに対応したサービスと●●力!?

 このコラムのポイント

コンビニは私たち消費者が「あったらいいな」と思えるような時代や季節のニーズに合ったサービスを常提供しています。例えば、秋冬特有のサービスならおでんサービスなどもそうですし、革新的なサービスがあるのはもちろん、コンビニが提供するからこその強みとは何か。そしてそれによるコンビニ本部側ひいてはオーナー側のメリットとはどこにあるのかについて触れられたコラムです。

フランチャイズWEBリポート編集部


多くのサービスを提供し地域社会でも必要とされるコンビニの強さにせまる

前回コンビニエンスストアチェーンの商品開発は時代の変化に対応し、つねサービス内容を変化させていることを述べました。今回は、商品開発の部分とも重なる部分もありますが、コンビニに求められている社会ニーズの変化に対する対応についてお話します。

コンビニエンスストアは『変化への対応』を積極的にマーケティング戦略として取り入れて商品開発から販売まで行っています。それが強さの秘訣であることも述べました。

コンビニでは、商品販売だけでなく多岐にわたる店内サービスを提供しています。例えば、ゆうパックや宅急便などの郵便サービスやコピー・FAXなどの印刷サービス、代金の振込サービス、チケットの予約サービスなどです。
今回は、上記にも挙げたようなコンビニが行っている『時代の変化に対応したサービス』についてお話をしていきたいと思います。

今どきのコンビニは医療福祉サービスなど多岐に渡っている

皆さんは、公共料金の払い込みをどのように、そしてどこで行っていますか?
口座から引き落としの方もいれば、クレジットカードによる引き落としの方もいると思います。

また、払込票が自宅に送られてきたものに関して、コンビニエンスストアで行う方も非常に多くなってきていると思います。

昔、払い込みを行うのは、銀行や郵便局でしか出来ない時代もありましたが、今ではこうした公共料金の支払いなどをコンビニエンスストアで行うのが当たり前の時代になってきております。しかも今ではインターネットを活用した払い込み(ネットバンキング)もできて、店内設置のATMもある。そして、店内設置の端末機によるチケット購入もできるようになっております。

コンビニエンスストアは小商圏で展開を行うビジネスですので、キメ細かい出店により、利便性が追求され、時代の変化に応じて、こうしたサービス業務を拡充してきました。

昨今は、コンビニ健診、高齢者の見守り活動など医療福祉サービス、コンビニで働くパートとして高齢者雇用の実施、セーフティーステーション活動(地域社会の安全に貢献)、ネット商品の店頭受け取りも行っており、行政機関からのニーズにもコンビニは対応しています。こうしたインフラが消費者にも利用され始め、地域の人々の暮らしに“便利さ”を提供する存在として認知されてき始めているのではないでしょうか。

サービス業務のメリットはオーナーにも●●●●●というメリットがある!

皆さん不思議に感じたことありませんか?コンビニにとって、消費者が公共料金などの払い込みをすることでどんなメリットがあるのだろうか、と。

お客様から見ると、コンビニに対して支払いをしているように見えるかもしれませんが、これはコンビニによる代理受領です。あくまでもコンビニが、店内にて消費者が払い込みができる環境をつくり、公共料金などを代理で受領しているだけにすぎません。いわゆる「収納代行サービス」と呼ばれるものです。

その流れでは当然、代理受領手数料が発生しており、コンビニにとってこれが一つのメリットとなっております。しかし、それだけでは、コンビニエンスストアのメリットとしては薄いものとなります。

実はこれ以外にメリットがあるのです。それは「客数誘引策」の効果にこれらのサービスが貢献しているということ。皆さんの中には料金の払い込みを行うに当たり、コンビニを利用された方もいると思います。払い込みだけで帰る消費者もいるかもしれませんが、それだけでなく、缶コーヒーなどのついで買いをする層が見込めるからしている施策ですね。

昔のコンビニエンスストアは利用者のほとんどが若者でした。それが今では高齢者の方まで来店されております。最初は、公共料金などの払い込み等がキッカケでお店に来店し、そのついでに商品を購入。そこでコンビニに販売されている商品の価値を知り、継続的に来店するようになったというリピーターの獲得にも成功し始めてきています。

コンビニエンスストアチェーンの売上推移を見ればわかりますが、サービス業務の種類を拡充すればするほど、来店客数が増加し、売上が伸びております。

つまり、お客様が来店するための動機付けを行うフックとして、こうしたサービス業務はコンビニの売上向上貢献に一役買っているのです。

社会のインフラとしてコンビニが機能しているのは「信用」あればこそ

しかし、どこのお店でもサービス業務を増やせば、売上が上がるというわけではありません。

ある重要なものが確保されているからこそサービス業務の拡充が図られ、社会のインフラとなることが出来るのです。
それは何かというと、『信用』です。

突き詰めて考えると不思議に感じることがあると思います。それはコンビニエンスストアに払い込みをして、本当に払い込み先に届くのか?ということです。

先ほど触れたように、あくまでもコンビニが行うのは代理受領。皆様の支払った金額は払い込みをしたコンビニエンスストアから払い込み先にその情報と払込料金が流れるという仕組みです。

コンビニの強さとは突き詰めると「信用力=ブランド力」

もし、万が一コンビニエンスストアが払い込みした金額を着服すれば、どうでしょう。不安ではありませんか?

「そんなことはないよ」と多くの方は、コンビニに対して思うのではないでしょうか。それが実は『信用』なのです。
それを実現している要素が私は、『ブランド』だと思います。

コンビニエンスストアはこの『信用』という『ブランド』を作り上げております。

それを実現するものが『店舗数』(実績)であり、『お客様を裏切らない店舗の経営活動』(店舗オペレーション活動)であり、『広告宣伝』等によるブランド戦略になると思います。

私は、ブランドを形成するものは『実績』『『経営活動』『ブランド認知活動(広告宣伝等)』であると思っております。

ここを戦略的なマーケティング戦略に従って形成され、ブランド構築が出来ているのです。この『ブランド戦略』の強さがコンビニエンスストアチェーン強さの秘訣であると思います。

コンビニの「信用力=ブランド力」は「徹底度の強さ」から結びついている

今回は、コンビニエンスストアの『ブランド』について、コンビニにおけるサービス業務の事例を用いてお話をさせて頂きました。この『ブランド』は、多店舗展開をしているフランチャイズ本部ならどこでも重点課題と捉えて取り組みを実施していると思われますが、これを実現するに当たり、一番必要なことは『徹底度』であると私は思っております。

フランチャイズ本部に加盟するオーナーがバラバラのことを行っていれば、当然『ブランド形成』など不可能です。最終的にはこの『徹底度の強さ』がコンビニチェーン強さの秘訣になると確信しております。

コンビニというのは、フランチャイズチェーンの中でも代表的ビジネスと言われますが、商品力に人材育成力、トレンドを読む力、広告宣伝力・・挙げればキリがないくらいのことを徹底して行っている。だからこそフランチャイズ業界だけでなく小売業界でも注目される存在なのでしょう。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。