販路企画 代表田口 勝
2016-01-27 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

元セブンイレブンOFCが語る!人口減少時代のビジネス成功は「客単価アップ」が鍵

 このコラムのポイント

ビジネス成功と売上アップは切っても切り離せないもの。人口が減少しているともささやかれる昨今、顧客数が減るのなら「客単価」改善に視点をおくことは必須です。では具体的にどのように改善をしていけば客単価はアップするのか?元セブンイレブンOFCで経営コンサルタントの田口勝氏に解説してもらいます。

フランチャイズWEBリポート編集部


「人口減少」で対策すべき客単価アップ。効果的なのは「買上点数」!?

前回のコラムでは、中小企業が必ずもって頂きたい経営指標であるKPIについてお話を致しました。その中で客単価のお話を致しましたが、本日は「客単価」の改善方法について触れていきたいと思います。

以前のコラムでは、売上の方程式として、売上=客数×客単価というものを上げさせて頂きました。その客単価の改善をするといった時に、ちょっと悩むことが多いと思います。

客単価を改善するって言っても、『今の商品の値上げをするってことだけれども、どうやって付加価値をつけたらいいのだろうか?』そういう悩みです。

近頃のセミナーでも『今からの時代は、価値訴求が大事だから、価値をもっと上げて、その価値を伝えるためのブランディングしよう』等のセミナーが多数あると思いますが、中小企業では、『ブランドを確立する前にほとんどが消えていく』現状があり、無責任なものが多い気がします。

客単価という視点だけでは、実は改善はできません。
更に客単価を更に分解する必要があります。

客単価=買い上げ点数×1点当たりの単価

という式になります。つまり客単価とは

1.商品の価値を上げ、値段を上げる = 1点当たりの単価を上げる 2.お客様にもう1品買ってもらう  = 買い上げ点数の改善

の2つがあるということです。

1については、商品の付加価値を上げて、単価そのものを変えるということになり、商品の改善がメインになるものです。

2については、1品を余分に買ってもらうための仕組みと教育が必要になり、マーケティング戦略と実行するための人材教育がメインとなるものになります。

どちらが重要かという問題ではなく、両方の対応が必要にはなりますが、私は即効果が見えやすいものは、『買い上げ点数』の改善であり、ここで上がった売上で『商品価値を上げる』ための商品開発費用やブランディング費用を設けていくことが中小企業では得策であると思っています。これは実務のコンサルティングの場で実証済みです。

買上点数アップのための2つの秘策

次に実際にどのように買い上げ点数を上げるかということですが、これは『関連購入』により、改善する方法と『顧客の段階別に商品を割り当てること』で改善する方法が実務ではあると思います。

秘策1.関連購入により買上点数を上げる

関連購入によって『買い上げ点数』を上げる方法は3つのポイントがあります。

1)メイン商品との関連性

例)パソコンを購入した方の周辺機器を勧める。料理のみのお客様にドリンクを勧める。
解説)メイン商品に関連して売れるものを探し、関連陳列やお勧めをすることがあります。

2)顧客との関連性

例)料理を頼んだお客様が帰る際にお持ち帰り用の商品をお勧めする。
解説)料理の味を知ったお客様が家族にも食べさせたいという別のニーズに対して、商品を提供するものです。

3)販路との関連性

例)医薬部外品を卸している業者が、ドラックストアをメインにもっている顧客に更に別商品である菓子等を卸す。
解説)販路開拓が一番難しいですが、同じ顧客に違う商品を提案する方法です。

この3つのポイントは、他の商品もリコメンドするということになります。

リコメンド用の関連商品を『何にすればいいのか?』と迷われる方も多いと思います。
視点は4つであると私は考えます。

それは、『新規性』『優秀性』『成長性』+『説明が簡単』であること。

『新規性』『優秀性』『成長性』の3つはマーケティングでも良く言われる商品力を判定する3つの視点ですが、私は現場目線から見ると加えて『説明が簡単』な商品でないと数値改善に繋がならないと感じております。

これは、関連商品をお勧めするものは、POPであったり、従業員さんであったりします。その方が簡単に説明出来なければ、売れないからです。

この4つの視点で『関連購入を促す商品』を検討していきます。

秘策2.顧客段階別の商品を割り当てる

顧客には段階があります。この段階毎に商品を割り当てて、顧客1人から上がる単価を最大にしようとするものです。

フロント商品

新規顧客との関係を構築するための商品です。次にくるメイン商品が高額なものの場合。まず、お客様と関係性が構築できなければ売れません。

そのために、メイン商品を売るターゲットと関係性を持つために考える商品となります。当然、この商品が売れにくいということであってはメイン商品も売れませんので、簡単に売れやすくて、比較的安価な商品が向いているものと思います。エステサロン等で行われている初回〇円サービス等がこれにあたります。

バック商品

これはメイン商品となります。当然、フロントエンド商品から一定確率で顧客が購入する商品となりますから、利益率が高くないといけません。この利益率がフロントエンド商品を販売する広告宣伝費等にも充てられます。

エステサロン等で行われている回数券の販売等がこれにあたります。

アフター商品

これはメイン商品を購入した後の商品となります。1回購入して終わりでは、1人当たりの客単価を上げることが出来ません。その後に継続して購入してもらう仕組みが必要となります。

エステサロン等で行われている化粧品の販売等がこれにあたります。

マスではなくOneをねらったサービス提供の時代になる

今回は客単価をアップさせるための手法を明記しました。気づかれた方も多いと思いますが、今後は1人のお客様と長くお付き合いする時代となってきており、マスからOneに変わってきているのです。

そのために、顧客とどのように商品を通じて関係を構築していくかが重要であり、これが客単価を上げる施策となります。

商品戦略において非常に重要な戦略となります。是非、マーケティング戦略を検討する際には、気に留めて頂きたいと思います。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。