販路企画 代表田口 勝
2016-03-16 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

人不足の業界必見。明日からできる人手不足の対処法は「オペレーションの改善」から!

 このコラムのポイント

人手不足解消のための採用活動はもちろん大切なことですが、人不足が続く中でもできることは何か?という視点から、誰にでもできるオペレーションの仕組み作りをする具体的方法について提案しているコラムです。 現在人手不足が深刻化しているコンビニ業界にて店長経験がある経営コンサルタント、田口勝氏が解説します。

フランチャイズWEBリポート編集部


オペレーションに必要なレベルを変える=誰にでもできる仕組みにする

今回は、人手不足解消の対策の最終回となります。
現在まで、人手不足解消には、「退職率を低下させること」「募集方法を変えること」「求人ターゲットを変えること」「シフト構造を変えること」をお話してきました。

今回は、5番目の「オペレーションに必要なレベルを変えること」についてお話をします。

「オペレーションに必要なレベルを変える」というとなんかレベルが下がるような気持になり、「それでは意味がない」と思われると思います。

これは、お客様に提供すべきサービスの質を下げるという話ではありません。「誰でもできる仕組み」を構築するということなのです。

私は中小企業のコンサルティングを実施しており、中小企業の方の従業員のレベルもよく理解していますし、元々大手でも務めていたので、大手で働く従業員さんのレベルもよく知っています。

そこで、中小企業の経営者の方から言われることがあります。
「うちあたりの小さい会社だと、いい人材は集まらないからしょうがない」
ということです。毎回その話を聞くと必ず答えることがあります。

「人材のレベルは変わりませんよ。むしろ中小企業の方が、任せられる仕事が多くてむしろ経営参画意識が高いから優秀な方も多いです」

「決定的な違いは、大手はどんな人材でも出来る仕組みが構築されているから大手になれる」とお話をしています。

つまり「オペレーションに必要なレベルを変える」とは、「誰でもできるレベルに近づける仕組み」をつくるということなのです。

オペレーションのレベルを変えることは「人件費削減」にもつながる

例えば、入店されてから、1ヶ月は、半人前としてシフトに余剰人員と入れるとしましょう。この方が24日働くとすれば、24人工分は、余分に人員が必要となるのです。

それが、半分の12日で1人前となるのであれば、12人工の人は不要となります。
その分、人がいらなくなり、人手不足解消に向かうということです。

また、シフトに3人工が必要と一般的にされる仕事で、2人で回すことができる仕組みを構築すれば1人分の人手不足が解消され、なおかつ人件費も削減されるのです。

これが、「オペレーションに必要なレベルを変える」ということです。

店舗経営者がオペレーションに必要なレベルを変えるために必要な2つの視点

「オペレーションに必要なレベル」を変えるためには、2つの視点が必要となります。
それはハード面とソフト面です。店舗の投資できるレベルによって当然対策は変わりますので、出来るレベルから始めていくことが必要であると思います。

ハード面の改善=POSレジ+店内レイアウトの変更

ハード面の改善とは例えば、POSレジシステムです。

コンビニのPOSレジは、最先端の技術を導入しており、POSの案内に従って、レジをすれば、誰でもレジが簡単にできるようになっています。

間違いを起こしやすいようなことについては、アラームを鳴らしたりして、注意を喚起し誰でも出来るレベルにしているのです。

これが、ハード面の改善というものです。それ以外では例えば、飲食店の店内レイアウトの配置を変えることで、必要な人員を削減する設計にしたりすることもハード面の改善と言えます。

食材の置き場を変えるというのも、このハード面の改善と言えます。

ハード面の改善は現行店舗の導線を調べてムリ、ムダ、ムラをなくす工場と全く同じ管理をすることで改善ができます。

製造業は拘っていますが、飲食業や小売業等は、この拘る意識が低いため、改善の余地が大きいのです。

ソフト面の改善=マニュアル整備+教育内容改善+業務の流れ変更

ソフト面の改善とは、業務を簡単に理解することができるためのマニュアルの整備を行ったり、教育訓練内容のレベルアップ1日の作業や業務の流れを変えることで効率化を図ったりするものです。

つまり、仕事の改善と人の教育手法の改善の両方の視点で取り組むことが重要です。

昨今、マニュアルは役に立たないと言われています。
せっかく作ったマニュアルは本棚の中という店舗も多いと思います。

フランチャイズ本部の生の声でも、専門家に高いお金出して、マニュアルは沢山作ったけど、何も役に立たないという声はよく聞きます。

当然、支援する我々の側にも大きな問題があると思いますが、役に立たないのではなく、役に立たないものを作っているということです。

マニュアルは別に文章でなくて構いません。動画のDVDもマニュアルですし、先ほどのPOSシステムで注意を表示させるのもマニュアルです。

写真や作業割当に記入するのもマニュアルです。常に使えるものを意識すれば、必ず改訂されますので、一度作ったものがそのままということはありません。あくまでも作り方の問題なのです。

あくまでもどうやったら効率的に、最大効果な教育ができるツールにするかを意識していくことがこのソフト面の改善に繋がると思います。

2つの視点で重要なことはあくまでも個人の能力に起因する部分を減らし、仕組みでカバーを行うということです。

人工知能、ロボットの時代でもオペレーションレベルの変更は必須

今回は人手不足解消として、「オペレーションレベルを変える」ことで、人手不足を解消する方法についてお話致しました。

これから人口知能やロボットが人の代わりに動いてくれる時代が来るということも事実です。これも「オペレーションレベルを変える」という視点で成り立っています。

接客は「人と人との繋がり」が重要されますので、ロボットというわけにはいかないでしょうが、例えば品出しやバックルーム作業等はロボットが活躍する時代が来るのでしょう。

人手不足解消の手法をこれまで5つお話をしてきましたが、これも時代の変化に対応することが重要であると思います。

まずはこの5つを実践し、目の前の問題の解決から改善することをお勧め致します。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。