キズカスカンパニー 代表コンサルタント加藤 圭
2016-04-29 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
キズカスカンパニー 代表コンサルタント 加藤 圭

神奈川県の起業・フランチャイズ開業で成功するためのポイントとは?

 このコラムのポイント

神奈川県は日本の中でも起業志向が高い都道府県(東京都、大阪府に続き全国3位)とされています<創業手帳調べ>。起業熱が高い神奈川県で起業するならどのようなビジネスがいいのか?開業するならお勧めの場所は?フランチャイズを活用して独立するなら知っておきたいことは?などのポイントを神奈川県の経営コンサルタント、加藤圭氏に解説いただきました。

フランチャイズWEBリポート編集部


神奈川県での起業におすすめな業種と開業場所

神奈川県で起業するなら「情報通信(ネット)業」と「サービス業」がおすすめ!?

神奈川県は全国的にも起業志向の高いエリアの一つに数えられます。横浜駅をはじめとするターミナル周辺の商業エリア。また、湾岸エリアから県内の幹線道路網を使った工業地帯です。



商業から工業産業まで、幅広い業態が点在しております。そこで県内の産業別増減率について、確認してみましょう。

経済活動別の対前年度増減率(平成25年度)

      対前年度増減率   構成比
   24年度 25年度  24年度 25年度  25年度
   億円  億円      
全産業合計 267,766 271,384 -2.1 1.4  
農林水産業 605 594 2.9 1.8 0.2
鉱業 17 17 18.8 1.7 0.0
製造業 51,078 51,672 10.3 1.2 17.1
建設業 13,889  14,910  1.2  7.4 4.9
電気・ガス・水道業 6,741  7,936  5.6  17.7  2.6
卸売・小売業 32,919  32,756  0.9  0.5  10.8
金融・保険業 10,524 10,353 0.6 △1.6 3.4
不動産業 57,648 57,266 0.2 0.7 19.0
運輸業 16,514 15,965 △1.6 △3.3
5.3
情報通信業 17,114 17,801 △1.3 4.0 5.9
サービス業 60,717 62,114 △0.3 2.3 20.6
平成25年(2013)年度 神奈川県 県民経済計算(平成27年11月版)より

電気・ガス・水道業、建設業の成長がみられますが、FCビジネスとして展開するには、投下資金と参入ハードルが高い業種です。

情報通信(ネット関連)・サービス業などであれば伸び率から見ても有望ということがわかります。スタートアップ(起業)を予定されている方には、比較的参入しやすい注目すべき業種です。

起業(開業)時は6割が個人事業主からスタート。低資金開業が増加

起業を予定されている方から「経営形態」と「準備資金」について、よくご相談をいただく機会がございます。そこで下記の表をご覧ください。

開業時の経営形態
年度 個人事業主 株式会社等
2000 71.0 29.0
2002 69.5 30.5
2003 64.6 35.4
2004 60.4 39.6
2005 63.5 36.5
2006 63.0 37.0
2007 66.1 33.9
2008 61.2 38.8
2009 62.6 37.4
2010 60.4 39.6
2011 64.1 35.9
2012 63.8 36.2
2013 61.1 38.9
2014 61.0 39.0
出展:新規開業白書「2015年版」

2006年に会社法が施行されたことにより、資本金1円から「株式会社」としてスタートすることが可能となりました。また6割の方は、少ない資金からスタートされる「個人事業主」を選ばれています。

では、創業(開業)時にどのくらいの費用を準備されているのでしょうか?
開業費用について見てみましょう。

開業費用
年度 500万円未満 ~1000万円未満 ~2000万円未満 2000万円以上
2000 24.4 29.2 25.2 21.2
2001 22.6 32.2 24.5 20.7
2002 24.9 28.8 25.2 21.1
2003 29.6 30.2 23.0 17.2
2004 29.8 28.9 21.7 19.6
2005 31.8 29.0 19.8 19.4
2006 30.1 27.1 23.9 18.9
2007 31.7 28.6 21.4 18.3
2008 35.4 29.1 21.6 13.9
2009 34.3 28.3 21.6 15.8
2010 38.1 28.5 17.9 15.5
2011 39.8 26.6 19.2 14.4
2012 35.4 31.1 19.2 14.3
2013 34.7 31.0 21.1 13.2
2014 32.5 31.8 20.5 15.2
※新規開業白書(2015年度版より)

“起業=大きな資金”を準備しなければいけないというイメージから、2004年を機に、起業へのハードルも低くなり、それと同時に低資金でスタートできるビジネスの選択肢が増え、起業家の数も増えてきたと言えます。

神奈川県内の事業所数ランキングとインキュベーション施設活用のススメ

神奈川県内の事業所数TOP5は、下記のとおりです。

1.横浜市(18区合計)  114,454
2.川崎市(7区合計)    40,916
3.相模原市(3区合計)   23,124
4.横須賀市         13,410
5.藤沢市          12,944

横浜市内の詳細は、中区(13,610)・次に港北区(11,345)の2区だけで、市内の事業所数の約1/5(21.8%)を占め、特に小売業・不動産業が集中するエリアと言えます。

上記の地域には、創業予定者・ベンチャー企業等に対し、創業・成長に適した事業スペース等の提供や支援、低廉な賃料の事業スペースあるいは、自治体等によるベンチャー賃料補助制度の利用が可能です。

※インキュベーション施設一覧(神奈川県HP内「県内のインキュベート施設」をご確認ください)
URL:http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f223/

必要な開業資金の目安。500万円以内で開業する人が多い傾向

横浜駅~みなとみらい地区、半径約5キロ以内に多くの商業施設が集中する一等地エリアは、集客面では大きなアドバンテージがありますが、反面、高額な賃料だけでなく、保証金として出店前から多額の資金が必要となります。では過去15年間で、全国平均の開業費用(初期投資)を見てみましょう。

開業費用
年度 500万円未満 ~1000万円未満 ~2000万円未満 2000万円以上
2000 24.4 29.2 25.2 21.2
2001 22.6 32.2 24.5 20.7
2002 24.9 28.8 25.2 21.1
2003 29.6 30.2 23.0 17.2
2004 29.8 28.9 21.7 19.6
2005 31.8 29.0 19.8 19.4
2006 30.1 27.1 23.9 18.9
2007 31.7 28.6 21.4 18.3
2008 35.4 29.1 21.6 13.9
2009 34.3 28.3 21.6 15.8
2010 38.1 28.5 17.9 15.5
2011 39.8 26.6 19.2 14.4
2012 35.4 31.1 19.2 14.3
2013 34.7 31.0 21.1 13.2
2014 32.5 31.8 20.5 15.2
※新規開業白書(2015年度版より)

2004年以降、500万円以内の資金からスタートされる方が多くなっております。

このことから、最初は小規模(スペース)からスタートし、初期費用を抑え、ランニング用の資金を確保する“堅実な経営”で、始められる方の比率が高くなったと感じます。

飲食店の場合、15坪前後。事務所また小売業(物販業)の場合、5~10坪程度を目安にテナントを選ばれ、開業される方が多いと言えるのではないでしょうか?

立地調査が起業・フランチャイズ開業で勝敗を決める

神奈川県内は、JRまた私鉄各線、また国道1号線をはじめ主要幹線道路が数多くあります。初期投資の資金や規模によっては、地域の特色を把握した上で、選ぶ必要があります。
私自身、経営コンサルタントになる前から20年以上、新規出店に際し全国各地の「物件調査」を行ってまいりました。

例えば駅前立地であっても、東口と西口では生活圏と商業圏で全く異なるお客様層となるため「家賃が安いから」いって出店したことで、集客が上手く行かず、販促費の負担が予想より多くなり、経営を圧迫することさえあります。そうならないためにも、投資金額内でランニングできる立地(物件)選びが、重要となります。

神奈川県でフランチャイズ開業するときに押さえておきたいポイント

まずは低資金で開業できるビジネスから始めてみる(介護事業は将来性高くおすすめ)

フランチャイズ関連のサイトを見ると、「0円(加盟金・保証金・ロイヤリテイなし)で開業できる」ものから、飲食店のような数千万円の投資が必要な事業もあります。

上記の表からもわかるとおり、まずは小資金からビジネスをスタートし、経営のノウハウと人材を育てる環境づくりや組織づくりを身につけ、業務を拡充していく“プロセス型経営”を弊社はオススメしております。

今後、高齢者数のピークを迎える2030年に向け、「訪問医療マッサージ」や「訪問治療院」など医療保険適用ビジネスも、ますます増え、後発FCが出てくると予想をしております。

資金・立地・自身の経験・FC本部との相性を見据えフランチャイズ加盟を決める

投資(投下)資金+立地+ご自身の経験+FC本部との相性=起業のタイミングをしっかりと見据え独立していただきたいと考えています。

昨年度、武蔵小杉駅前の再開発がほぼ完了いたしました。これから先、二俣川駅南口(平成30年完成予定)、大船駅北第二地区(平成31年完成予定)さらに、相鉄線のJR線・東急線(平成30~31年完成予定)への乗り入れなど、上記地域に関連する駅周辺の整備も同時に行われ、商業エリアとして、今後の出店エリアの選択の一つとして、注視されてみてはいかがでしょうか?

ご自身のビジネススタイルと今後の地域の発展をイメージしながら、慎重にFC本部を選んでいただきたいと思っております。

キズカスカンパニー 代表コンサルタント 加藤 圭

外語専門学校卒業後、プリンスホテルに入社。サービス部門にて接客を学び、人事課では研修教官・人材育成を担当。その後、藤田商店(旧日本マクドナルド)系列会社にて、チェーンオペレーションを学ぶ。以降、飲食店・物販店・アパレルなど上場企業を含むチェーン店を中心に、店長・スーパーバイザーを経験。またフランチャイザーとマルチフランチャイジーの本部社員と役員を歴任。新店舗の立ち上げから立て直し、店長・SV・社員まで4,000名以上の人材育成経験から、机上の経営指導ではなく、店舗経営を知り尽くした“現場指導型のコンサルタント”として、全国各地で指導を行う。現在は、女性リーダー(マネージャー)育成支援、経営者向けセミナーを開催。