株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2016-06-19 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

繁盛店はやっている!お客様を不快にさせないための開店前チェック

 このコラムのポイント

クリンリネスが飲食店経営には欠かせないとよく言うけれど具体的にどうチェックしていいかわからない、という方にお勧めのコラム。キーポイントはお客目線ですべて開店前にチェックするということです。

フランチャイズWEBリポート編集部


開店前、すべての席に座ることの重要性

「開店前に全ての客席に座ってみるんです。すると、お客様にしか気づかないポイントが見えてくるんです」

あるレストランのオーナーがこのようなことを言っていました。
この方のレストランは、とても繁盛しています。
それもそのはずです。

その理由は、このレストランのオーナーは徹底的にお客様の立場に立っているからなのです。だから繁盛しないわけがありません。

ところで、あなたは、営業時間外に自店舗の客席で何か作業をするとき、また休憩をするとき、いつも同じ席に座りませんか?

特に何も意識していないと、ついつい、いつものテーブルのいつもの席に座って作業や休憩をしてしまうものです。

私も店長の時、まさしくそうでした。
誰もいない客席で、パソコンを広げたり、何かしらの作業をしたりするときは、いつもお気に入りの場所に座っていました。

その時に見える風景はいつも一緒です。
あたりまえですね。同じ席なんですから見えるのはいつも同じなのです。

しかし、先ほどのオーナーは違います。
毎日違う客席に座って、パソコン作業などを行います。
そして、開店前は、全ての客席に座り、色々なことをチェックします。

色々な客席に座ってみると、

ある席では、エアコンの風が当たってとても寒いことに気がつきます。
ある席では、キッチンの様子が丸見えだったりします。
ある席では、トイレの入り口が見えたりします。
ある席では、床に置かれている廃油が見えたり・・・
ある席では、ゴミ袋が見えたり・・・
ある席では、テーブルや椅子のがたつき、破損、汚れなどに気がつくのです。

開店前にやっておきたい!お客様視点での客席・通路・店回りチェック

これは、全ての客席に座らないと気がつけないことです。
営業時間外の作業場所をいつも同じ客席にしている店長や、開店前に全ての客席をチェックしない店長には、気がつかないことなのです。

私たちは、「お客様の立場に立って」店舗運営をしているつもり、のはずですよね。
けれど、そうは思っていても、それを頭で考えているだけでは「お客様の立場に立つ」ことはできません。
「お客様の立場に立つ」とは、文字通りその場所で五感を働かせることなのです。

開店前に全ての客席をチェックする繁盛レストランのオーナーは、それぞれの客席で、眼を見開き、耳を澄まし、臭いを嗅ぎ、肌で感じ、味見さえも客席に運んで行います。
そうすることが「お客様の立場に立つ」と言うことを知っているからです。

もちろん、客席だけではありませんよ。
例えば、お客様が歩く通路を改めて全て歩いてみて下さい。

床が油でネチャッとなったりしていませんか?
トイレ前の通路で何か臭いませんか?
通路をふさぐように箱や空瓶が置かれていませんか?

お店の周辺も同じです。
あなたのお店の周りには、「今日のランチはどこで食べようか?」とお店を探しているお客様や、今あなたのお店で食事を終えてお店を出たお客様がいます。
あなたは、彼らの通る場所を毎日チェックしていますか?

キッチンのバックドア周辺にゴミや荷物が放置されていませんか?
バックドアの下部は靴で蹴った跡がついていませんか?
開けっ放しのバックドアからキッチンの様子が見えたりしませんか?

お客様の入店前、客席、退店後・・・全てがその日の売上、そして明日の売上に繋がるのです。
さあ、もう一度「お客様の立場に立って」全ての場所をチェックしましょう。
本当の繁盛店の店長、オーナーは、ごく普通にやっていることですよ。

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。