株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2016-06-26 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

お客様に選ばれる店舗づくりにはスタッフの身だしなみに妥協は厳禁!

 このコラムのポイント

スタッフ指導の一環、「身だしなみチェック」しかし若手スタッフがルールを守ってくれない。そんな事ありますよね。顧客に選ばれるお店づくりをする上では、スタッフに「ルールを守らせる」ではなく「仕事を理解させる」事が重要になってきます。

フランチャイズWEBリポート編集部


店舗ビジネスにとっての繁盛ポイント「身だしなみ」

「髪の毛をくくっていないくらい、別にどうってこと無いじゃあないですか」

例えば、お店のルールで、「長い髪の毛は首の後ろでひとつにまとめてくくる」と決まっているにもかかわらず、それに従おうとしないスタッフがいたとします。髪の毛にかかわらず、「身だしなみルール」をきちんと守らないスタッフや社員って結構たくさんいます。
そんなとき店長であるあなたはどのように対応していますか?

まさか・・・
「きちんとルールを守らせたいけれど、へそを曲げられたり、辞められたりしても困るし・・・」

「そんなに厳しくしなくてもいいルールだから、別にガミガミ言わなくても良いかな・・・」

「そのルールを守っていないベテランがいるんで、そのスタッフに注意しにくいんだよな・・・」

こんな風に考えてしまっていませんか?

店舗ビジネスにとって「身だしなみ」はとても大切な繁盛ポイントです。
これは、飲食店に限ったことではありません。
小売店でも、サービス業でも同じです。

「そんなことわかっている・・・けどね、最近の若い子は身だしなみなんて自由だと思っているんですよ」

たまにこんな反論(言い訳?)をする店長がいます。
身だしなみに、若い子もベテランもありません。
そもそも、「身だしなみ」をルールだからと捉えているから、上記のような消極的な考えに陥ってしまうのです。
「身だしなみ」が大切だというのは、それが「繁盛ポイント」だからです。
「繁盛ポイント」つまり、「お客様があなたのお店を選ぶ理由」のひとつに「身だしなみ」が入っているのです。
逆に、それを守ることが出来ないと「不振要因」になってしまうのです。

お店のブランドイメージにも繋がる

たとえば、航空業界のキャビンアテンダントの身だしなみはいかがでしょうか?
高級ホテルのサービススタッフはいかがでしょうか?
デパートの化粧品売り場の美容部員はいかがでしょうか?

彼女たちはそれが仕事だからきちんとした身だしなみで仕事をしているのでしょうか?
もちろんそれもあるでしょうけれど、彼女たちは「身だしなみ」が自分達のブランドイメージを作り、それが信頼に繋がり、お客様の満足や幸せに繋がり、そして売上に繋がり、ひいては、それが自分達の報酬になってかえって来ることを知っているのです。
彼女たちは、単にルールだから、守らないと会社がうるさいからなどと言う低いレベルでは考えていないのです。
もちろん、彼女たちにも収入を増やしたいという目的もあるでしょう。
しかし、それより以前に「お客様に喜んでいただきたい」という、仕事に対する確固たるスタンスが固まっているから、厳しい身だしなみ基準を守ることが出来るのです。

仕事に対するスタンスは、年齢やキャリアには無関係です。
仕事は、お客様を満足させることによって報酬を得ることが原則です。

理解させることがスタッフの成長、お店の成長に繋がる

お客様が、どう捉え、どう感じ、どう思うのかが大切なのです。
いかがでしょうか?

スタッフの「身だしなみの乱れ」を厳しく指導出来ない店長は、お客様に満足して欲しいと思っていない、と言う事になるのです。

では、なかなか言うことを聞かない「最近の若い子」に対する指導はどのようにすれば良いのでしょうか?
ポイントは、「ルールで決まっているから」ではなく、「なぜ?何の為にそのルールがあるのか?」について理解をさせることです。
さらに言えば、「理解させるには、自分で考えさせる」と言うことが大切なのです。

例えば、「なぜ、長い髪の毛はくくる必要があると言うルールがあるのだろうか?」と質問をするのです。
考えることや答えることを拒否するのならば、そもそも「身だしなみルール」の問題ではありませんよね。
この先も一緒に仕事をしたいスタッフならば、粘り強くその問いに対する答えを出すまで我慢して待つことです。
「ルールの目的」を店長が、焦って教えてしまうと、そこまでの理解が不十分なスタッフは「表面的なイエス」を言ってその場を終わらせようとします。それでは、スタンスは整いません。
この質問は、学ばないと答えられないような高度な数学の試験ではないのです。
仕事として店舗ビジネスを選んだ人ならば「考えれば」100%答えられる質問です。

そして、スタッフが答えた質問を、さらに「では、それはなぜだと思う?」と質問するのです。
トヨタ方式のように、「なぜを5回」繰り返さなくても、恐らく3回くらいなぜを繰り返せば、ルールの目的には到達出来るはずです。

ルールの目的を答えとしてあなたが「押しつける」のではなく、スタッフ自身でそのルールの目的に到達するまで考えさせましょう。

あなたが、そのスタッフに本当に成長して欲しいと考えていれば出来るはずです。
さあ、もう一度、「身だしなみの大切さ」を理解していないスタッフと話をしてみましょう。
きっと答えを持っているはずですよ。

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。