販路企画 代表田口 勝
2016-07-13 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

流通のプロが教える「目玉商品・差別化」の考え方〜飲食ビジネスの勝ち戦略〜

 このコラムのポイント

飲食店経営に必要な商品戦略、中でも目玉商品がある店、ない店ではお客様の獲得も全然ちがうものになってきます。なぜ、お客様は自店を選んでくれるのか、、、いえ、選んでもらえるよう、商品を開発しているのです!

フランチャイズWEBリポート編集部


飲食店の商品戦略はなぜ、目玉が必要なのか?

前回のコラムでは、飲食店開業のために必要な5つの秘訣について概略をお話しさせて頂きました。今回からその1項目ずつを詳細にご説明してまいります。

飲食ビジネスにおける目玉商品の必要性

1つ目は商品戦略として、目玉商品の必要性についてお話してまいります。
皆さまはお店に行くとき、どのように考えて選んでいるでしょうか?

食べたいものが決まっている・・・

お店を通りかかって・・・

勧められて・・・

いろいろなシチュエーションがあるかと思います。その時を想像して下さい。
『何が』あるから入店されるでしょうか?

店舗の目玉商品となる大きな写真を見て、『美味しそう』と思い入店されませんか?とういうことは、
目玉商品はお客様を来店誘引させるにあたって重要なものとなります。

ではなぜ、『業態 (例えば:うどん屋)』だけではいけないのでしょうか?

現在は、同一の業態は山ほどあります。つまり、競合が山ほどあるということです。うどん屋にしてもラーメン屋にしても同じようなお店が近隣の商圏内には山ほどあります。

そうするとお客様によって『どのお店に行きたいのか?』という判断基準が変わってくることになります。
そこでお客様に『うちのお店はこれがウリなのですよ』と伝えるのが目玉商品となるわけです。つまり、差別化を図った結果の商品が目玉商品ということになります。

小売業ではよく来店誘引策としてとっていますが、ドラックストアを例にとってお話します。ドラックストアの菓子はなんであんなに安いのでしょうか?
ドラッグストアではお店の入口に山ほどボリューム陳列しています。お店はお菓子で収益を取ろうとしているのはなく、菓子を目玉商品として価格という差別化要因で誘引し、来店を誘引させ、関連商品としての薬で粗利を稼ぐという形をとっている場合が非常に多いです。

つまり、商品を通じてお客様を来店誘引しているわけです。

これは”価格”という差別化で誘引していますが、商品の質で誘引もできますし、雰囲気なども飲食店としては、来店誘引の商品となります。繁盛している飲食店をみると『すぐに思いつく商品』があると思います。

これが『目玉商品』です。

私は、これから開業するにあたっては、この『目玉商品』をぜひ検討して頂きたいと考えています。
目玉商品をつくる = 差別化商品をつくるということになります。

現在、競合過多で市場が成熟している状況では、この差別化が非常に重要なのです。

「差別化できない=他のお店と同じ」では、圧倒的な立地で勝負しない限り、勝てないという結果となります。お客様はあくまでも商品を購入しに来店されているのです。

目玉商品をつくるには?

目玉商品といってもいろいろあります。皆さまのお店のウリをつくるということになります。手順は次のとおり。

1.業態の決定 2.市場調査 3.商圏調査
4.競合調査 5.自店分析 6.商品戦略の策定

1つずつみてまいりましょう

1.業態の決定

最初は、皆さんの行いたい業態を考えます。これはおおよそ、『うどん屋』や『ラーメン屋』などです。これがない方は飲食店を今から始めたいという方はあまりいないでしょう。

2.市場調査

次は、市場調査となります。インターネットや新聞・雑誌等から、自分が行いたい、業態の情報を収集します。その中で調べていただきたい事は、現状では『どんなお客様が?』『いつ』『どんなニーズがあり』『何を』『どこで』『どのような方法で』購入しているのか?を知ることになります。
重要なことはその5W1Hのなかでの現在の不満やニーズを調べる事です。そしてその不満やニーズを満たす商品コンセプトを検討してみます。

3商圏調査

市場調査は、あくまでも日本ではどうなのか?という視点です。商圏調査で自分が開業をしたいところではどうなのか?という視点です。
商圏調査の手法は今までのコラムでもお話ししてきましたので割愛しますが、商圏調査を行うと商圏内の先ほどの5W1Hが見えていると思います。そこで、市場調査で検討を行った商品コンセプトが商圏に合うのかどうかのか?を検討します。

4.競合調査

商圏に商品コンセプトが合うということがわかれば、次は競合調査を行います。
自社の商品コンセプトに似ている業態や商品を扱っているところがあるか?自店が検討している商品コンセプトに対して強み・弱みを抽出します。

5.自店分析

商品コンセプトの強み・弱みを抽出した後は、自店の強み・弱みを同じ基準で分析を行います。そうすると自店のとらないといけない商品の目玉戦略が自ずと見えてくると思います。

6.商品戦略の策定

これまでの調査分析の結果をもとに、目玉商品を決定します。
ここまで調査をすれば、出来上がっていると思いますが、この目玉商品は明確に『どんなお客様が?』『いつ(利用シーン)』『どんなニーズに対して』『何を(目玉商品)』『どこで(立地)』『どのような方法で購入してもらうか?』が決まっていなければなりません。このお客様が買うシーンが想像できない商品は私の経験上、絶対に売れません。更に、目玉商品と関連して何を購入してもらうか?を決めれば、商品戦略は決定します。

目玉商品=販促と一致させる

上記の手法で決定した目玉商品は、必ず販促と一致させなければなりません。
 販促を通じて、お客様にお店のことを知って頂くわけですから、広告も店頭に置くメニュー表も、店内のメニュー表も目玉商品を意識して作成する必要があります。
ここで内容の食い違いがあると、お客様に自店の差別化要因が伝わらず、成果に繋がらない形になります。

まとめ

本日は、飲食店開業に向けて、目玉商品をつくることについてお話をしました。

「目玉商品」は食べ物だけでなく、「お店の雰囲気」になる場合もありますし、イベント等にもなる場合もあります。私は、差別化要因が全くない店舗を見たことはありません。それが差別化されていることに気づいていないことの方が多いです。調査と分析をして頂ければ必ず見つかりますし、もしなければ作ればいいだけのことです。成功の是非に関わる事ですので、充分に時間をかけて検討して頂くことをお勧めします。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。