株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2016-07-31 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

割安感は満足度を左右する!飲食ビジネスのメニュー開発の注意点

 このコラムのポイント

○○円均一!という居酒屋や安さを売りにした飲食店も数ありますが、安さに魅かれるお客様はいても安っぽさ魅かれるお客様はいないでしょう。繁盛店はやはり、価格だけでなくお客様に満足感を与える商品を提供しています。

フランチャイズWEBリポート編集部


いくら安くても「安っぽい」メニューを提供するのは絶対に止めよう

「うわ~・・・いくら190円でも、これはないよね~」

ある居酒屋さんで、ちょこっとメニューと称した突き出しを注文し、それがテーブルに届いた時の素直な感想です。

おかげで、それまでイイ気分で食事と飲み会が進んでいたのに一瞬にして興ざめしてしまいました。

そこに出てきたのは、小さなお皿にチョコンと乗った輪切りのコーンが2個。その隣には申し訳程度のマヨネーズ。
味は悪くないですよ。きちんと蒸されているし、プリッとした実は普通にジューシーなのです。

でもね・・・
これで、190円はないよな~・・・
と言う、あまりの貧相な盛り付け・・・

このお店のちょこっとメニューの構成は、価格別に3種類に分けれており、それぞれ190円、290円、390円とありました。
この時は、190円と290円の料理をいくつか注文したのですが、そのどれもが、貧相で安っぽい盛り付けでした。

確かに、価格は安いです。
ちょこっとメニューはスピーディにすぐに出てきます。

一通り食事をした後でも、何か料理がないと間が空いてしまうので、こう言うメニューも必要なのでしょう。しかも、単価が安いこともあって注文しやすいので、客単価も高くなるのでしょう。このお店は、きっとそう言う心理を突いて、単価アップを狙ったのでしょう。

狙い通りにいったとしても

このお店は、客単価アップと引き替えに、イメージダウンという数値化しづらい大きなダメージを受けています。

その証拠に、私は、次回の飲み会では、このお店を利用するのはもう止めようと思ったからです。恐らく私と同じような印象を持ったお客様は少なくないはずです。

居酒屋さんに限りませんが、飲食業を観察していると、「安い」と「安っぽい」を取り違えているお店に良く出くわします。

たしかに「安い」のは良いことです。

お客様の立場からは大歓迎なのです。
しかし、「安っぽい」のは、残念な気分になります。誰も歓迎はしていません。
そして、せっかくの飲み会、宴会の楽しい場をしらけさせる要因になります。

確かに原価の高い材料を多くすると、安く提供することが難しくなりますので、やむなく小さめの器にチョコンと盛り付けるようにするのが一般的です。
例えばそれが、コース料理の中の一品で、小さなカクテルグラスの中にあしらわれていると高級感を感じていただけるでしょう。

しかし、1品1品注文する居酒屋さんで、小さな器に少ない量の料理が出てくると、いくら原価が高くてもその価値は伝わりにくいです。
しかも、スピードメニューや「もう一品いかがですか?」みたいな補助的なメニューだと余計に貧相さが増幅されるのです。貧相な突き出しが意外に高かったら嫌な気分になるのも同じです。
それならば、キャベツを思いっきり山盛りにして塩昆布とポン酢を掛ける方がよっぽど嬉しいです。

お客様には”価値”の提供を

こう言う感覚は居酒屋さんに限りません。
例えば、100円くらいでハンバーガーやサンドイッチやサラダなどにトッピングを追加できるお店がありますが、ほとんどのケースで、この100円にその価値が感じられないのです。

例えそれが原価の高いパクチーとかであっても、もとの値段が400円や500円程度の物ならば、それに追加で「味付け程度」の物を100円出したいとは思わないのです。単品が400~500円でしたら、追加でトッピングしてもイイかな?と思えるのはせいぜい1割程度です。
それ以上のトッピングは、それがミートパティ1枚ほどの価値あるもので無い限り、特にそれが味付けレベルの物でしたら、「割高感」を持ってしまい、それがそのお店やブランドの印象になってしまいます。

普通に考えたら190円も100円もムチャクチャ安い金額です。
しかし、その「安い料理」が、提供される量、盛り付けられるお皿、トッピングとしての価値を間違うと「安っぽく」なるし、さらに「割高感」が増幅されるのです。

たった100円で「割高」と思われるなんてお店にとっては心外なはずです!
しかし、お客様にとっては、価値ある1000円は「割安感」を感じ、そのお店に好感を持ちますが、価値を感じない100円は「割高感」を感じ、そのお店に嫌悪感を持つのです。

あなたのお店は大丈夫?

さて、あなたのお店の「スピードメニュー」「もう1品追加メニュ-」「トッピングメニュー」は、お客様にどう思われているでしょうか?
少しでも不安感があるのならば、もう一度よく見直して見ましょう!
お客様に嫌われないうちにね。

編集部より

フランチャイズの場合だと商品の価格もメニュー開発もオペレーション管理も皆本部が一括で担っている事が多いです。お客様にリピートしてもらうためには、再度来たくなるお店づくりが基本ですね。本部が貧層で安っぽい商品・メニューをを新企画として打ち出してきたら、、、まさに運命共同体のフランチャイズシステム。フランチャイズ加盟を検討される際はくれぐれも慎重に本部を見極めてください。

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。