販路企画 代表田口 勝
2016-09-07 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

多店舗展開を成功させる5つの秘訣!~成長エンジンとなる出店戦略~

 このコラムのポイント

前回に引き続きお店を多店舗展開していく上でのポイント第2弾!出店戦略について。成功モデルが明確化されたら次は実際に店舗を増やしていくことになります。ただやみくもに出せばよいなどとは、皆さん思いませんよね?

フランチャイズWEBリポート編集部


出店戦略がなぜ重要なのか?

前回のコラムでは、多店舗展開の成功の秘訣である「成功モデルの明確化」についてお話しました。今回は、多店舗展開の2つ目のポイントである『出店戦略』について解説いたします。

まず初めになぜ、多店舗展開で『出店戦略』が重要なのかというと、多店舗展開は当然、複数から多数までお店を出店することで売上を改善します。

その目的は、以前のコラムでもお話しした通り『新商圏の獲得』または『競合の駆逐』であることをご説明しました。

それを実行するには、実は『物件ありき』ではうまくいきません。
当然、『物件』がなければ出店はできないのですが、その前に出店戦略を立案することが重要となってきます。

それは、次のような理由があるからと考えています。

1.物件ありきの出店戦略でいくと、エリアにモレやダブりが大きく発生する可能性がある
2.SV業務や物流などが非効率的になり、経費がかさむ
3.面で展開することができず点として展開することになり、広告宣伝効果が弱くなり、ブランド確立やシェアの確保が難しくなる
4.競合に出店の余地を与えることになり、効率的なシェア拡大につながらない

つまり、計画的に出店のエリアや戦略を事前に立案して、『物件を探す』といった流れが必要になってくるのです。

ここ最近、店舗型ビジネスの出店戦略としてドミナント出店という戦略をよく聞かれる方もいると思います。これも出店戦略の一つですが、近いエリアで高密度な出店を行うことで、シェア確保と経費削減、売上の改善を図る出店戦略の一つです。

実はドミナント出店をする側も、物件ありきではなく、エリアやポイントを事前に決めておいて出店を行っています。

つまり、どれくらいの店舗数をどのエリアで出店するのかを事前に決めていく必要があるのです。

2.出店戦略を決めるには、成功モデルが不可欠

では次に、出店戦略を決める流れについてですが、出店戦略はあくまでも前回のコラムで明記した『成功モデル』を明確にしなければ成り立ちません。

商圏範囲が決まっていなければ、当然、どの範囲で店舗を出店すれば良いかわかりませんし、立地上や商圏上、導線上の成功モデルが確立されていなければ、出店エリアを決めることもできません。
よって、成功モデルを明確にしてから、出店戦略を立案することが重要となります。

成功モデルが明確になっていれば、該当する商圏や導線を地図上で確認をします。
この際は、現場での実査も必要とします。
そこで、出店したいポイントを事前に決めておいて、『物件の発掘』を行っていくことになります。多数、ポイントを決めておき、対象とするエリアで『物件』が見つかり次第、詳細の商圏調査、立地調査、導線調査を実施していく流れとなります。

この商圏調査や立地調査、導線調査を実施するのは、当然、事前に出店基準を作成しておかなければなりません。何が満たされれば出店ができるのか?逆に、どのような場合に出店できないのか?を明確にしておく必要があります。

出店基準は、現在の既存店を商圏、立地、導線の側面で分析し、作成したものとなります。

これが明確であると、出店のブレが出ずに、高い確率で売れる店舗をつくることが可能となります。

店舗数にもよりますが、この出店基準が明確になると『売上予測』を構築することができるようになります。『売上予測』とは、出店基準を点数化し、総合点を売上に置き換えることで、出店する前にあらかじめ、どの程度の売上が見込めるのかを予測することできるのです。この売上予測ができれば当然、ROIもあらかじめ算出することができ、高い出店精度を確立することができるということになります。

以上のような流れが出店戦略を検討する上で重要な流れとなります。

2店舗・3店舗であっても出店戦略は必要であると私は考えています。
サンプルが少ないため、売上予測は立てることができませんが、自社のおおよその出店基準が決める必要がありますし、なによりもさらに多店舗展開を図りたいのであれば、計画を事前に決めておくことは重要なこととなります。

まとめ

今回は、多店舗展開で重要な出店戦略について解説いたしました。
初期段階で、多店舗展開をする店舗はほとんどの場合において、社長様や幹部はこの出店戦略や出店基準の構築が重要な仕事となります。

不採算店を出すわけにはいきませんので、慎重な対応が重要となります。
成功モデルや出店基準は、どの段階の店舗であっても必要となりますので、実際に明確にしていただき、さらに、詳細の商圏調査・立地調査・導線調査を実施されることをお勧めいたします。

編集部より

コンビニやスーパーなどのチェーン店の場合、多くが本コラムでも出てきたドミナント出店(戦略)にて店舗を増やしていますね。売れるお店を作るために理論に乗っ取って、戦略的に出店しているんです。フランチャイズシステムを活用すると、この出店戦略も本部が構築したノウハウを利用できる場合がある。ということも1つのメリットと言えるでしょう。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。