販路企画 代表田口 勝
2016-09-14 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

多店舗展開を成功させる5つの秘訣!~人材採用と育成の仕組み~

 このコラムのポイント

前回に引き続きお店を多店舗展開していく上でのポイント第3弾!多店舗展開の必須条件、人材採用と育成の仕組み!店舗を増やすと当然ながら、お店で働いてくれるスタッフの確保が必要ですね?採用難と言われる今の時代、効率よく優秀なスタッフを集めるには、やはり店舗での教育が重要なんです。

フランチャイズWEBリポート編集部


1.多店舗展開は個人経営から組織経営となるタイミング

今回は、多店舗展開の秘訣の3番目のポイントとなる人材の採用と育成の仕組みについて解説いたします。

前回までのコラムでは多店舗展開の秘訣である『成功モデルの明確化』と『出店戦略』についてご説明いたしました。

次に、絶対に外せないのが今回のコラム、人材採用と育成の仕組みとなります。特に1号店から2号店3号店の経営者様はおおよそ店長の採用と育成が課題になると思います。4号店を超えてくると次は、継続的な採用に加え、SV(スーパーバイジング)が必要となってきます。

今回はこの点について解説いたします。

採用難と言われる時代への対応

近年、人手不足といわれておりますが、これは今後も続いていく現象となるでしょう。
特に多店舗展開ではパート・アルバイトの採用のレベルではなく、店長の採用が必要になりますから、お店を任せる人材を採用し、育成しなければなりません。

特に直営展開で進める場合は、この点が大きなポイントとなります。
おおよその企業で店長は、現店舗で勤務をしているパート・アルバイトの方から勤務状況や能力を加味して決めていくことになります。

そのために、店長を採用するということは、初期段階の多店舗展開を実施する企業によっては、パート・アルバイトで質が高い人材を採用するということになります。
しかし、これは、ほとんどの場合で、最初は分からないことが多い状況です。
どんなに過去の経歴や面接の受け答えや印象がしっかりしていても採用したら違うというのは多々あることです。

つまり、店長になり得る人材を採用することに拘ることよりも、店長となる人材をいかに育成していくかの方が必要となってきます。

これは、4号店以降の店長候補を採用する場合であっても同じです。
中小企業では今いる人材をいかに、力を最大に発揮させ、戦略化を図る方に力を注ぐことが重要であると考えます。

しかし、ここで重要な落とし穴があります。
いくらオペレーションが優秀であっても、店長ができるわけでなないということです。

現場のオペレーションができることはプレイヤーとして仕事をすることができるということですが、上記に加えて私は、人を介して数字改善を図るマネジメント能力が店長に必要となってくるのです。

この人材は、現オペレーション業務をこなすだけでは、正直見につくことはできません。
また、店長としての研修はあくまでもキッカケを与えることであり、研修を受講したからと言って店長としてできる現場ではないと思っています。

つまり、来月多店舗展開を行いたいと思ったからと言って、店長がすぐに育成できるものではなく、事前に店長育成していることが必須となるということです。

出店戦略とこの人材育成計画がリンクしていなければ、店は出したがいいが、オペレーションがボロボロであるといった形になり、間違いなく多店舗展開は失敗します。
多店舗展開を実施するということは、個人経営から組織経営に変わる大きな転機になるのです。

2.店長の役割とは

では、店長はどのようなことを理解して実践できなければならないのでしょうか?
教育とは現状の能力と目標とする能力の差を把握し、差を埋めることを行うことであると考えています。研修だけでなく、OJTも立派な教育です。

1オペレーション業務はすべて把握しておかなければならない

店長はオペレーション業務はすべて把握しておかなければなりません。それは店長の業務として、既存の従業員さんや新規の従業員さんの教育があるからです。つまり、自社の業務について精通しておかなければ指導もできません。

2自社の成功モデルを理解している必要がある

店長の大きな役割は、自社の成功モデルを現場で具現化し、数値改善を図ることです。つまり、自社の商品、立地、サービス、販促の成功モデルを把握しておく必要があります。

3店長は経営者の代理である

店長は、店舗を任される経営者の代わりですので、当然店舗経営について理解をしておく必要があります。店舗の経営数値の見方だけでなく、問題点の抽出の仕方、改善方法も理解をしておかなければなりません。

4店長は従業員の動機付け、教育ができなければならない

・店長は、自分で数値改善を図ることよりも、従業員を活用して、数値改善を図るころが仕事となります。つまり、人を動かさなければ数値は動きません。
・そのために必要なことは教育の仕方もありましが、それよりも動機付けの方法が重要
であると言えます。
・更に従業員を管理し、戦力化する仕組みを構築する力も必要となります。

5店長は常に問題意識と高い数値責任を持てなければならない

・最後に店長は問題意識と改善意欲がなければ成り立たないとおも思っています。
・そのためには、高い数値責任を与え、自覚させることが必要となります。
・この点は店長としてお資質の面として重要な点となります。

まとめ

本日は、多店舗展開で必要な店長という視点で採用と育成について解説させて頂きました。今後のコラムでもこの人材採用と育成については様々なポイントがありますのでお話していきたいと思います。

重要なことは、個人経営の1店舗であっても常に上記のポイントをもって、従業員を育成し続けていることであると思います。そうでなければ、多店舗展開のチャンスがきた際でもそれを逃すことになりかねません。

編集部より

フランチャイズという選択肢で独立開業、起業、事業立ち上げを行った際も、オーナーは経営者という立場です。1人で現場、営業、売上管理、経費管理を行う場合は良いですが、店舗の場合だと当然、一緒に働くスタッフの確保が必要ですね。オーナーは経営者として、人材管理を行わなくてはならないということです。
採用難と言われる時代になり、いかにしてスタッフに店舗に貢献してもらう事を考えるのが、オーナーの役割だとも言えるでしょう。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。