株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2016-11-06 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

スタッフに求められるリーダーになろう!「従業員満足を高める」ための意識改革

 このコラムのポイント

時代が変われば、人の育つ環境も変わります。スタッフ教育の現場においても、この影響は色濃く、店長が従業員時代に受けた指導を継承したのでは若い世代には響かないと、苦悩の声が多く聞かれます。では、今日のスタッフ教育にはなにが求められているのか。今回のコラムでは、若い世代のスタッフを上手に育てるために「今のスタッフが求めるリーダー像」について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


店長の役割

「さあ~行くぞ~オレに付いてこい!」

飲食店・コンビニ・物販店・パチンコ・美容室・郵便局・保険ショップ・携帯電話ショップなどなど、どこの店にも店長がいます。仮に店長がいなくても「店舗責任者」や「リーダー」はいるはずです。

店長は、野球やサッカーなどの監督と同じです。

監督が替わったとたんに、メンバーは今までとほとんど同じなのに、まったく違うチームに大変身する事ってよくありますよね。あれは「監督の影響力」そのものなのです。

店長も同じです。
店長が代われば、お店の状態は全く違ってしまうのです。

店を利用したお客様が、「また来たいね」「また来よう」と思うのは、「スタッフ」がそのお客様に何をしたかで決まってきます。接客然り、料理の味然り、お店の清潔さ然りです。

その結果、お客様は再来店し、よりたくさんより高い物を買ってくださるのです。
だから、店の売上げは伸びていくのです。

つまり、全てはスタッフが何をしたかで決まるのです。

そして、そのスタッフの能力を最大限に引き出し、最高のパフォーマンスを発揮させるのが、他ならぬ「店長」なのです。

もう一度言います。

店の売上は、スタッフがお客様に何をしたかで決まります。
そして、そのスタッフの力を引き出し最高のパフォーマンスを発揮させるのが「店長」の仕事なのです!

今求められている店長像とは?

では、どんな店長が、今求められているのでしょうか?

「さあ~行くぞ~オレに付いてこい!」

いつもこんな風に叫んでいる、なんだか青春ドラマのような店長って、以前は(と言っても20~30年くらい前かな)たくさんいました。

その頃の「店長」のイメージは、「オレに付いてこい型リーダー」でしたね。
当時のこんな店長の口癖は、「オレの言う通りにやってみろ!」「四の五の言わずにやりゃあいんだ!」「やる気の無い奴は帰れ!」こんな感じでした。

部下であるスタッフが、その時にどんな気持ちでどんな状況で、何に悩んでいるのかなんて関係ありません。基本的に一方的です!(あ、全員じゃあ無いですよ。あしからず)

しかし、あれから30年!
今や時代は変わったのです。

店長がスタッフの気持ちも考えずに突っ走って行くと、振り返ると誰も付いてきていない…今は、そんな時代なのです。

昔は、選択肢があまりありませんでした。だから上司の言うことを素直に信じていた時代でした。

今は、昔に比べると情報がたくさんあるのです。上司以外からも情報は入ってくるのです。だから若いスタッフ達は、その選択に悩んでしまうのです。

つまり、昔よりも、今のスタッフの方が、色々と考えていると言うわけです。にもかかわらず、店長がひとり突っ走っても、誰も付いてきてはくれないのは当然だと思いませんか?

また、大人なスタッフは、ちょっとずるくなり「まあ、ここはイエスと言っておく方が得だろう」と、意図的に素直な態度を取る事が出来ます。

しかし、まだ若いスタッフ達は、全員が大人じみている訳ではありません。
彼らは選択肢の多さに悩んでいるのです。
昔よりも優柔不断になったり、おとなしくなったりしているのではありません。情報が多すぎてうまく選択できないだけなのです。

そんな「悩み多き世代」が主力の今の時代に求められる店長・リーダー像は「伴走型」です。

いつも横にいて「見ていてくれて」「承認してくれて」「励ましてくれて」「(適度に)叱ってくれて」「ほめてくれる」いわば『松岡修造型店長』が人気なのです。(理想の上司ナンバーワンらしいですからね)

悩み多き世代には「応援」が必要!

迷い悩んでいる彼らには「応援」が必要なのです。

彼が書いた「まいにち、修造!」と言う日めくりカレンダーは、むちゃくちゃ売れています。

中には、熱すぎてうざい、と言う声もありますが、やはり、彼のように、よく見て、よく聴いて、よく認めて、適度に叱って、よく励まして、よくほめる、そう言うリーダーが、スタッフの悩みを解消するのかも知れませんね。

昔タイプの店長と、今タイプの店長の大きな違いは、「聴くというコミュニケーション」が、常に行われているかどうかです。そして、その上で「承認する」という行為が日々たくさん行われているかの違いなのです。

「聴いて承認する」・・・現代の店長が、スタッフの仕事に対する満足度を高めるためには、こう言うスタイルが必要なのです。

貴方のリーダーシップは、どんなタイプ?

さてでは、あなたのリーダーシップスタイルは、どんなタイプでしょうか?

昔ながらの「俺について来い」ではありませんか?
それでスタッフは元気についてきていますか?

リーダーシップの目的は「スタッフと前向きに行動する」ことなのです。

だって「お客様の満足度向上」のために動いてくれるのはスタッフ達ですからね。あなたのリーダーシップのバージョンアップをスタッフは望んでいますよ。


次回もひきつづき『従業員満足度6ステージ』について、さらに詳しく!
「スタッフとの信頼関係を築く目標の共有」についてお話ししていきたいと思います。

お楽しみに!

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。