株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2016-12-11 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

「ありがとう」の習慣が会社を変える!従業員満足度を高める重要な言葉

 このコラムのポイント

大切な従業員・優秀なスタッフには、永く会社に貢献してほしい… 経営者の切なる願いです。今回のコラムでは、マクドナルドで店長を歴任した筆者が、従業員の日常から生まれ習慣的に使われるようになった「ポジティブワード」を例に、従業員満足を高める取り組みについて知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


感謝の言葉と従業員満足度の関係

「ありがとう」

あなたは一日に何回この言葉を言いますか?

店長やスタッフの立場だったら、お客様に対して一日何十回と「ありがとうございます」と言っていますよね。

では、「仲間に対して」「後輩に対して」「スタッフに対して」「上司に対して」「お取引先に対して」お客様に言うように「ありがとう」を言っていますか?

実は、この「ありがとう」と言うごく自然であたりまえの「感謝の言葉」が、スタッフ同士で飛び交うお店は、従業員満足度、つまりスタッフの仕事に対する満足度が高いのです。

スタッフの言葉・行動に現れる「従業員満足度」の違い

「従業員満足度」が高いと言うことは、スタッフの離職率も当然ながら低くなります。

お客様に対してもご満足いただけるような接客を積極的にするようになります。
お店の問題点や課題をいち早く発見し、それをチームとして改善していこうと行動するようになります。

そして、一緒に働く仲間を増やすために、後輩や友人、兄弟をスタッフとして紹介するようになるのです。

「ありがとう」は、「従業員満足度向上」に極めて重要な要素と言うわけです。

反面、「従業員満足度」が低いお店は、この「ありがとう」が、スタッフ同士でほとんど飛び交っていません。何かしらの手助けをしても、「ありがとう」がかえってきません。

すると、手助けをした方は、それに対して「感謝がない」とぼやくようになります。

少しマシな状況のお店では、感謝の言葉の代わりに「すみません」と言う言葉がかえってきます。

これは、反応が無いよりはよっぽどマシな方ですが、「感謝」を「謝罪」でかえすのってそもそもおかしいですよね。

マクドナルドの従業員が毎日交わす、ポジティブワード

ところで、マクドナルドの「スタッフ同士の返事」って『サンキュー』であることをご存じですか?

最近は、ハンバーガーなどのオーダー指示はモニター画面を見て確認するのでキッチン内であまり言葉を交わすことが無くなったようですが、私が現場にいた頃は、なんでもかんでも「声」で伝えることが基本でした。

するとカウンターからキッチンにオーダーを通すとキッチンは、それを受けて確認の返事をする必要があります。でないと、何をいくつオーダーしたのかがわからないですからね。

当時のマクドナルドはその返事が『サンキュー』だったのです。

オーダー以外にも、何かを指示したりお願いしたりすると、返事は全て『サンキュー』なのです。店長から指示されても、スタッフからお願いされても、全て『サンキュー』で答えます。

「了解」とか「招致しました」とか「わかりました」とか「はい」では無いのです。もちろん、手伝ってもらったり助けてもらったりしたときのお礼も『サンキュー』です。

なので、一日に何百回も『サンキュー』を言う事になります。
すると、自然とこの『サンキュー』が習慣になります。

アルバイトの頃は、自宅で母親から何か頼まれたときに、思わず「サンキュー」と答えてしまって「何それ?」と笑われたことがあるくらいでした。

「ありがとう」の効能

何でもかんでも返事を『サンキュー(ありがとう)』にすると、店内にたくさんの「感謝」が飛び交うことになります。

「ありがとう」は、言う方も気持ちの良いものですが、言われるのもまた気持ちの良いものです。

つまり「従業員満足度」の高いお店は、たくさんの「ありがとう」が飛び交い、「気持ちの良い空気」でいっぱいになっているのです。

さて、あなたのお店は、「ありがとう」がいっぱい飛び交っていますか?

もしも、何百回、何千回と飛び交っていたら、きっと、あなたのお店の退職率は低下し、従業員満足度は向上し、さらにお客様のリピート率も増えていることでしょう。 

ちょっとしたことでも「ありがとう」とかえすことで『従業員満足度』は高まります。

それがなかなか習慣にならないのならば、マクドナルドのように「返事」を「ありがとう」にしてしまえば良いのです。

そうすることで、あなたの悩みはいつの間にか小さくなっていきますよ。

 

次回は、「スタッフが仕事以外で店や事務所に来ることについて」と言うテーマでお話しします。

お楽しみに!

 

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)

 

 

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。