株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-02-12 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

仕事の満足度を高める!部下の上手な「叱り方」

 このコラムのポイント

「何度も言っているじゃないか!なぜできないんだ!」ヒステリックに怒る上司には、理解のある部下も呆れ顔…。なにかと滞っている印象を受ける会社では、大体こうした相手の思いを推し量らない物言いをよく耳にするような気がします。今回のコラムでは、仕事上で必ず起こる「部下に注意や問題の解決を促すシーン」で、部下と上司がお互いに無駄なストレスを抱えずに済む「伝え方」について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


「下手な叱り方は、かえって部下の成長を妨げ、仕事の満足度も下げてしまいますよ」

叱り方の下手な店長を見ると、私はいつもこのように注意を促します。
ほとんどの人は、ただ叱られても嬉しくはありません。悲しくなるだけですし、自信も無くなります。

中には、叱られる方が嬉しいと言う人もいます。
しかし、それは上司の叱り方と誉め方のバランスが絶妙だからです。

これについては、次回のコラムでお話ししますが、そんな叱り上手な上司に恵まれた部下以外は、一般的には叱られてもちっとも嬉しくはないのです。

私も同じです。私の場合は、叱られるとすねちゃいます。

特に、自分でも、それを認め反省しているときに、追い打ちを掛けるように叱られると、逆に怒りさえ覚えるようになるのです。 

そうなると、叱った人の『叱ること』の目的は、全く達成されません。『叱ること』の効果そのものが、ほとんど無くなるのです。わずかに残る効果は、叱った側の「自己満足」だけなのです。

私は『叱ること』を否定はしていません。「上手な叱り方をしよう」と言いたいのです。

今回のコラムでは、「上手な叱り方」についてお話ししましょう。

相手に「間違い」を気づかせる方法

そもそも『叱る』と言う行為は、相手に正しいことを気づかせるための「手段」であり「方法」です。

目的は、相手に、間違いに気づかせ、その間違いを認め、二度と同じ事を繰り返さないように心に深く刻み込ませ、次の行動に活かせるようにすることです。

この目的を達成するには、別に『叱る』という方法でなくても良いのです。

「誉める」という方法で、気づかせる人もいます。
「問いかける」という方法で、気づかせる人もいます。
「諭す」という方法を使う人もいます。

しかし、これらの方法を学ぶ機会がほとんどありません。
だから、昔から自分がされてきた『叱る』という方法を使うのです。

ただ、考えてみて下さい。

親でも、上司でも、先生でもそうなんですが、叱ることが非常に上手い人はそう多くはありません。むしろ、感情的に『怒る』という方法で『叱る』人の方が多いと言えます。

だから、みんな『叱る』のが下手なのです。
店長もまた、その多くが、この「叱る」のが下手です。

なので、問題のある部下に対して、いくら叱っても目的は達成できず、問題は解決しないのです。

多くの店長は…

「何度言ったらわかるの!」
「バカじゃない!」
「何も考えてないでしょ!」
「違うって言っているでしょ!」

こう言う叱り方をしています。

これは『叱る』というのでは無く、自分のいらつきをただ感情的に相手にぶつけているだけです。

真意が伝わる「叱り方」について考えてみる
〜伝えたいことの真意を整理する〜

では、先のような『叱り方』のどこに問題があるのでしょうか?

それは、何が問題で、どうやったら改善できるのかを、相手に伝えられていないという点です。

つまり、必要なことを伝えない「叱り」は、ただの感情的なストロークであって、相手に恐怖と不安といらだちを与えるだけなのです。

「効果的な叱り方」をするには、次のような点を押さえる必要があります。

1)問題点を認識しているか?
2)原因が特定できているのか?
3)改善策を理解しているか?
4)なぜ・何のために、そうしなくてはならないかを「納得」しているか?
5)同じ間違いを犯さない工夫を具体的に行っているか?
6)正しく出来たときにそれを「認めてほめられて」いるか? 

これらのステップが重要なのです。

こうしない限り、何度叱っても、相手からは「またイライラして怒っている」と思われるのがオチなのです。

特に、4)の「なぜ・何のために」はとても重要です。

作業的なミスは、マニュアルやルール、ポリシー通りにしなくてはなりません。
しかし、多くの店長は、その目的や意義や効果を部下が納得する前に、ただ「こうしなさい」と求めているケースが非常に多いのです。

これでは、何度叱っても効果は上がりません。

「何度叱っても成長しない…」そういう部下に対しては、上司の叱り方にも問題があるケースがほとんどなのです。

「目的」は「叱る」ことではありません。

ガミガミ叱ることで「自分はちゃんと言っている」と自己満足しても意味がありません。ただ感情的に叱っても、部下からは、あなたの自分勝手な本質を見抜かれてしまうだけです。

そして、その上、部下のやる気も無くしてしまうのです。

部下の成長を促し、そして仕事の満足度を高めていくためにも、部下を叱るときは「本当に解決したいことに対して目的を伝え、具体的な指摘とゴールを目指してアドバイスをする」ようにしたいですね。

 

次回は「『誉める』と『叱る』のバランスとは」というテーマでお話しします。お楽しみに! 

 

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)

 

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株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。