株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-03-19 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

会社のミッション達成に新発想!現場チームの能力をフル稼動させる方法

 このコラムのポイント

なぜか上下間の人間関係がうまくいかない、「なぜそのタイミングで… 」と眼を覆いたくなる社長や経営陣の発言に頓挫するプロジェクト… 。社長・経営幹部が「やらせたいこと」、会社・サービスとして「やらねばならないこと」、チームとして「やりたいこと」、それぞれの立場で会社が今よりも良くなる方法を考えているにもかかわらず、良い結果に結びつくどころか会社転倒の危機。まさに本末転倒です。今回のコラムでは、「上司と部下」「経営幹部と中間管理職」「経営幹部と現場」の関係を追いながら、会社の意思を現場が自由に表現できる円滑な関係づくりの方法について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


悩める上司、社長・経営者からの呪縛

私(著者本人):「部下がしたいようにやらせてあげれば良いのに… 」

部下を持つ上司:「そんなことさせていたら、いつまで経ってもやらなければいけない事ができません!」

これは、私と あるクライアントの「部下を持つ上司」との会話です。

彼らは、彼らの上司、つまり社長などの経営幹部から「もっと部下がしたいようにさせて、権限を与えて、任せないと部下は育たないよ」という指導やアドバイスを受けていて、彼らも社長のおっしゃることの意味は良く理解しています。

しかし、彼らは、その意味は理解しつつも、現実とのギャップや矛盾に板挟みになり、とてもとてもその通りにはできないでいるのです。

でも実は、そんな彼らの実情を理解せずに「好きなようにさせなさい」とか「任せてあげなさい」と言っている、その上司(社長や経営者など)にも問題はあるのですけどね。

「やりたいこと」が、指示命令に化ける会社

確かに、部下に任せて『やりたいこと』をさせれば、部下も仕事が楽しいだろうし、やりたいことをやるんだから成果も出るだろうし、成長もするでしょう。

先ほども言いましたが、悩める上司もそれは理解しているのです。 

問題は、部下に「好きなようにさせたくても」現実には、社長や経営幹部が「好きなようにさせず」に「自分がやらせたいことをさせようとする」ため、間に立つ中間管理職はその板挟みになり、社長や経営幹部からの要求を叶えるために、彼らは部下がいる現場に「指示命令」をして、動かさざるを得ない状態になっているのです。

だから、現場は「上司や本社は現場のことがわかっていない」と反発して不満を言い、経営幹部や本社は「現場は、全体的な方向性や戦略がわかっていない」と、現場に対して蔑んで見てしまうのです。

典型的な上下間ギャップですね。
でも、現実には、こう言う会社って多いのです。

現場に任せても、会社のミッションが達成される会社

では、「理想的」な状況とはどういう状況でしょうか?

1)
上司、経営幹部、本社が、お客様のニーズや動向、さらに現場のニーズや状況を理解し、それを活かしながら業績を高めるための「戦略戦術」を企画する

2)
現場は、会社のミッション・目指す方向を理解し、それを実現させるための方法を積極的に提案する

3)
現場で働く人材をそれぞれの能力・適性に応じて適材適所に配置し、十分な予算と権限を与える


これらを確実に実行すればいいのです。

すると、「やらせたいこと」や「やらねばならないこと」と「やりたいこと」は、自然とひとつにまとまって行くのです。

理想的ですよね。

ところが、多くの会社では、この1)・2)・3)が、ほとんど行われていません。
不思議でしょ?

たった、これだけのことなのですよ。

こんな簡単なことができない会社が多い一方で、この3つを確実に実行し、「やらせたいこと」「やらねばならないこと」「やりたいこと」をひとつにまとめている会社も存在します。

その会社は、現場が「好きなようにやっても」会社のミッションが達成できているのです。

大切なのは「相手のため」ではなく「相手の立場に」なること

では、その会社はどうやってそれを実現しているのでしょうか? 

まずは1)ですが、これについては、経営幹部や上司が「答えはお客様や現場にある」と信じていないと、できることではありません。

いや、むしろ 逆なのかもしれませんね。

この1)を徹底的にやらないから、現場を信じることができないのです。
お客様と現場の声を徹底的に聴くことをすれば、お客様や現場のことを理解できるようになります。

たったこれだけのことをやれば良いのです。難しくはありませんよ。

しかし、ひどい会社になると、経営者や幹部達は「現場は、厳しく言っても何もできないから、『サルでもできるよう』に仕組みを作らなければならない」と考えています。

現場を「サル扱い」しているのです。
こんな考えでは、現場の力を引き出すなんて、できっこありませんよね。

現場の能力を開くカギは「相手軸」

実際、現場には、もの凄い能力が埋まっています。
多くの会社では、その現場のものすごい能力を見逃し、放置しています。

見逃したり、放置されたりしているレベルでは、その能力を活かせはしないのです。

現場と経営者とのお互いの信頼を構築するには、お互いにもっと相手軸に立って話を聴けば良いだけです。

そうすれば、経営者は現場が実行しやすいように戦略を説明するようになり、現場はそれを全力で達成しようとするようになるのです。

つまり、2)は、1)を行えば 自然と行われるようになると言うわけです。

1)・2) が行われるようになれば、次はそれを活かせるように動き始めます。
それが、3)の予算と権限です。

ここまで行けば、「やらせたいこと」「やらねばならないこと」「やりたいこと」って、もうひとつにまとまっていますよね。

さて、あなたの会社ではいかがですか?

相手軸に立つ… たった、これだけですよ。

 

次回は『 ポジティブシンキングは「相手軸シンキング」』というテーマでお話しします。お楽しみに! 

 

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。