株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-04-16 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

煙たがられる上司ではダメ! 部下をドンドン誉めて、主体的に行動できる環境をつくろう

 このコラムのポイント

部下が何を考えているかわからない、問題が起こったと聞けば面倒なことばかり…。上司になりたがらない社員、部下を上手くコントロールできないと悩む上司が増える昨今。その多くが、良い上司に育てられた経験が乏しく、結果、自分が過去上司から受けた扱いを部下に再現してしまっているようです。今回のコラムでは、そうした悪循環を起こさないために、部下の主体性を表面化させ、上司がその動向を管理しやすくする方法について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


部下を「誉める」のは、上司の勤め!

「いや~誉めてしまうと、調子に乗って何するかわかんないからな~」

こんな事を言う店長がいます。

社長や部長や課長や店長にも、こういうことを言う人がいます。
残念なことですが、この人達は「誉める」という事の目的を根本的に理解していません。

そもそも『誉める』ことの目的は、「部下を調子に乗らせること」なのです。

私たちは「誉められる」事によって、『自信』をつけ、もっと誉めてもらいたいという欲が生まれ、張り切るのです。しかも、「誉められる」事によって、「自分から進んでやろう」という『主体性』『自主性』そして『自律性』が生まれるのです。

これらは「誉める」事でしか生まれないのです。 

主体性を育てる鍵は、部下のチャレンジを「見守る」こと

ところが、普段は「自ら進んでやりなさい」「自分で考えて行動しなさい」「人を頼らず自分の力でやりなさい」なんて事を言うくせに、いざどんどん調子に乗り始めて、彼らが自分で考えて動き出すと「チョット待って」と、部下の動きを止めようとするのです。

部下が動くことによって、起きるかも知れない『ミス』『トラブル』の対応や後始末をするのが面倒なのでしょう。

これでは何のための上司かわからないですよね。発言と行動が矛盾しています。

では何故、彼らはそんな矛盾したことをしてしまうのでしょうか?

それは、部下のことを『見守る』ことをしないからです。

見守っていないということは、見ていないということです。
見ていないから何が起こるかわからないので不安なのです。

皮肉を込めて言うならば、自分が部下を見守るという(少し面倒な)仕事をしなくて済むようにするために、部下が主体的に動くことを止めさせようとしているのです。悲しいですね。 

「え?そんなことはないよ!」と言いたげな上司達の心の声が聞こえてきます。

そう言うのだったら、もっと見守ってあげれば良いのです。
見守りながら、チャレンジをさせてあげれば良いのです。

あなたが部下をしっかりと見守ってあげていれば、『ミス』を犯す前にフォローができるでしょ?

しっかりフォローすれば、トラブルも起きにくくなりますね。 

主体的に動く部下を味方につけるために、上司が慎むべき言動

しかし、こういう上司は決まって次のように言います。

「四六時中は見ていられないし、報連相もしてくれないから… 把握できないんです」 

勘違い上司は、こういう所も勘違いしています。

そもそも部下が上司に報連相をしないのは、報連相をすると、ロクな事が無いからです。

部下が思う「ロクな事が無い」とは、仕事が増えたり、止められたり、条件付けされたり、色々とゴチャゴチャうるさいからです。部下が、「上司に報連相すると良いことがある」と思えば必ずします。

繰り返しますが、部下が上司に報連相をしないのは、「報告すると邪魔をされるのでやりたいことができない」からなのです。

こういう上司は、部下に「自分で考えて行動しろ」と言いながら、逐一報告をさせて、その都度邪魔をします。その結果、せっかく主体的に動き出した部下の『やる気』に水を差すのです。

そして彼らはこのように言います。

「まったく、最近の若い奴は、指示をしないと自分から全然動かない…」

そうさせてしまっている原因は、そう言っている上司にあるのですけどね。

さて、あなたは大丈夫ですか??

部下が調子に乗ってドンドンチャレンジすることを面倒くさがっていませんか?
部下を見守り、彼らを成功に導くようにフォローアップしていますか?

それが、上司の仕事なのですよ。

 

次回は「教えることは『身につく』ことと『成長する』ことの必須条件」というテーマでお話しします。お楽しみに!

 

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。