会社名の決定は重要なマーケティング!会社設立時に押さえておきたいポイント

原川 健 |2017年04月21日 公開 (2018年03月23日 最終更新)
会社設立のイメージ

起業、独立の1つの手段であるフランチャイズシステム。最初は個人事業として開業しても、経営も軌道に乗り、収益も上がり、従業員も増えてくると、会社設立をして事業形態を個人から法人へ移行するという流れが見えてきます。ここでは会社を設立するにあたり重要なポイントをシリーズで紹介していきます。

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会社設立時に押さえておくべき重要ポイント

一言に会社設立と言っても、安易に考えず、今後のビジネス展開を考慮し、会社名などしっかり検討する必要があります。

会社設立するには、大まかに下記項目を事前に検討する必要がございます。

・会社名
・本店所在地
・事業目的
・決算期
・役員構成
・株主構成、資本金

会社名のポイントについてお伝えしますので、是非参考になさってください。

会社名の決定は最も重要なマーケティング

会社名の決め方ですが、単に好きな名前を付けただけでよいのでしょうか?

会社名は、あたりまえのことですが、登記簿謄本、会社案内、商品のパンフレット、商品の広告、求人広告、名刺、あらゆる書類に記載されるものです。また営業の方も、電話対応をされる方も、一日に何度も何度も、自社の会社名を連呼します。見込み客の方も、求職者の方も、銀行も、まずは会社名を見て、その会社を判断します。そうです。会社名を考えるということは、「会社に対してどのような印象をもって欲しいのか?」を考える、設立前に行う最も重要なマーケティングなのです。

会社名は、適当ではなく、是非、意図を持って、名付けてください。

会社名には想いを込めましょう

会社設立後、会社名の由来を聞かれることがよくあります。

できれば、しっかりと説明できるような会社名にしましょう。創業の想いなどと関連した会社名であれば、説明がしやすいですし、相手の記憶にも残ります。会社名に意味を持たせることで、会社をPRすることができるのです。また会社名の由来は、会社案内やホームページにも掲載することができます。

成長への想いを込めて子供の名前を付けるように、会社名も是非想いを込めて付けてください。

会社名を考える経営者のイメージ

類似商号の規制はなくなったのですが...

旧会社法では、最小行政区画内(同一市町村内)で、同一の営業を営む会社を設立することができませんでした。すなわち同一市町村内で、同じ事業目的であれば、すでにある会社と類似する名称の会社を作ることができませんでした。しかし、新会社法では、類似商号の規制がなくなり、自由に会社の名称を決めることができるようになりました。

ただし、これはあくまで登記手続きのことであり、新会社法においても不正の目的で、他の会社と誤認する恐れのある会社名の使用は禁止されています。また、同一本店かつ同一商号の会社は従前どおり登記できません。

類似商号の登記の規制はなくなりましたが、商標権や不正競争防止法の問題になる可能性がありますので、有名な会社と同じ、または似通った会社名は避けるのが予防法務上必要です。

◆商号調査について・・・

以前は、直接法務局まで行って調査する必要がありましたが、現在はインターネットでの調査が可能になっています。

業種がわかる会社名にしましょう

◯◯不動産、◯◯ソフトウェア、◯◯鉄工所、◯◯建設、◯◯運送など、ひと目で業種がわかる社名もおすすめです。

わかりやすいので、相手に安心感を与えます。小規模で事業が多角化していない段階では、わかりやすさを優先して、あえて業種を絞り込んだ会社名にしてしまうのも検討に値します。

名称が禁止されているものに注意しましょう

株式会社◯◯病院、株式会社◯◯銀行といった名称は、一般の人が会社設立する際にはつけることができません。

医療法や銀行法などと言った各別の法律によって、それらの名称を独占しているからです。保険会社でないのに◯◯保険会社と会社名をつけるのも同様の理由から禁止されています。また、「◯◯出張所、◯◯不動産部、◯◯branch」と言った支店や一営業部を示す文字は、会社としての独立性がないと判断されることから、用いることができませんので要注意です。それとは対象的に、「◯◯株式会社代理店、◯◯株式会社特約店」と言った名称を用いることは可能になっています。

店舗名やサービス名を会社名にしましょう

小売や飲食、サービスなどを行う会社については、お店の名前をそのまま会社名にするのも、おすすめです。また、インターネットサービスなどを行う会社についても、サービス名称をそのまま会社名にするのもよいと思います。お店の名前と会社名が異なる名前になっていると、取引先の方からして、「店舗名・サービス名はこれだけど、会社名はこれなんだ。」と、常にふたつの名前を意識しなければなりません。統一されているとわかりやすく、相手に安心感を与えます。複数の事業を計画している場合、複数の店舗名での展開を計画している場合などは、あえて店舗名などと、会社名は分けた方がよいでしょう。

地名を入れた会社名にしましょう

日本◯◯、関西◯◯、大阪◯◯、梅田◯◯、大手前◯◯など、地名を入れた会社名は少なくありません。不動産、工務店、地場の産業など、地元密着型の事業を展開される場合、エリアを絞り込んだ地名を入れれば、そのエリアの専門業者との印象を与えることができます。 「江坂ホーム」「枚方リフォームセンター」など。

また、イメージのよい地名を入れれば、会社のイメージをよくする効果が期待できます。 「芦屋ベーカリー」「白金ハウジング」など。

ほかにも、大きく広がりがある地名を入れれば、事業の規模を大きく見せる効果が期待できます。 「関西結婚紹介サービス」「東海水道工事センター」など。

業種によっては、地名を入れるのも検討に値します。

名前を入れた会社名にしましょう

「田中製作所」「鈴木自動車販売」「山田ペットサービス」など、苗字を入れた会社名は、会社名を見ただけで、代表者の顔が思い浮かんで、「何かあっても代表者が逃げない。」と、取引先に安心感を与える効果があると言われています。反面、会社が個人商店のレベルから、組織としてのレベルに脱皮しなければならないときにも、苗字入りの会社名が、社員さんや取引先から、同族的な印象を持ち続けられることがあるかもしれません。

社名を考えるイメージ

長すぎない会社名にしましょう

会社名は、電話を受けるとき、電話をかけるとき、名刺を出すときなど、社員さんが、毎日何度も声を出して読まなければならないものです。また取引先の方から、銀行の窓口などでも、会社名が呼ばれます。

「お電話ありがとうございます。株式会社日本◯◯高度構造化技術研究所です。」

長すぎる社名は、呼ぶ方も呼ばれる方も大変です。 発音しやすく、難読ではない、適度な長さのものにしましょう。

会社名に使用できる文字は?

会社名に使用できる文字は、漢字・ひらがな・カタカナ、AaBbCcなどのローマ字、123などのアラビア数字、次の6種類の符号「&」「’」「,」「-」「.」「・」が使用できます。

ただし、符号は字句を区切るためにのみ使用します。

前株にするか後株にするか?

株式会社については、「株式会社」という文字を会社名の前または後につける必要があります。これを含めて会社名となります。

前株か後株かの決め方ですが、これは発音したり、表記したりしたときのはまりの良さとしかいいようがありません。どちらがよいというのは特にありません。

ほとんど90%程度の会社が前株だと思いますので、あえて後株にするか、一般的な方を採用するかといった選択方法もあると思います。

インターネットで類似の社名をチェックしましょう

インターネットでホームページを検索したり、ヤフー電話帳を検索したり、ヤフーファイナンスで上場会社を検索したりして、同じような会社名の会社がないかどうか確認しておきましょう。

特に同業他社や競合となる可能性のある会社については、一通り調べておきましょう。同じ業界に類似する会社名の企業がすでにあったら、取引先などを誤認させるもとになってしまいますし、お互いに気持ちのよいものではありません。業界紙など同じ媒体に、類似する会社名の広告が出ていたりしたら、こちらは広告も出しにくくなってしまいます。

ドメインを確認しましょう

ビジネスを行うにあたって、独自のドメインを取得することは、いまや常識です。 会社名を決めて登記をしたけど、その社名では取れるドメインが無かった。 と言うことにならないように、事前にドメインが取れるかどうか、確認しておきましょう。

サービスマークで保護しましょう

同一の事業で、類似の会社名やサービス名を使われる可能性がある場合、サービスマークを登録(商標登録)して保護することも検討に値します。サービスマークの登録は費用を伴いますので、類似の会社名やサービス名を使われる可能性が低い場合は、特に必要ないでしょう。

会社名は変更が可能です

いろいろ書きましたが、実は会社名はいつでも変更が可能です。 類似商号の規制がなくなりましたので、以前よりも変更がより容易になりました。 しかし、会社名の変更には大きなコストを伴います。

会社の規模が大きくなっていればいるほど、大きなコストが生じます。

登記のコストだけでなく、看板、パンフレット・会社案内・納品書・ウェブサイト・名刺等の変更、行政への届出、取引先への通知などにも、コストがかかってしまいます。 しかし何よりも、注意が必要なのは、顧客からの信用の低下です。会社名を変更すると、必ず既存の取引先から理由を尋ねられます。必然性なく会社名を変えると、何かあるのではないかと、疑いの目を向けられてしまいます。 このようなことにならないように、事業に大きな変化や必然性がない限り、変えずにすむよう、最初に十分検討して、会社名を決めましょう。

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