株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-04-30 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

部下のやる気を引き出す基本中の基本!未来を想像させる言葉の力

 このコラムのポイント

「できない」と繰り返し言われると、自分を否定されたような気持ちになり、自分が本来自信を持ってできていたことすらできなくさせてしまいます。詰問は相手を黙らせ、その後の思考を停止させしまうばかりです。今回のコラムでは、上司の語りかけ次第で、部下が過去できなかったことを「できる」にスイッチする方法について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


2つの違いを意識するところから始めよう

「どうして出来ないの?」「どうしたら出来ると思う?」

よく似ている言葉です。
いずれも、部下が目標を達成できなかったときに、上司が言う言葉です。

しかし、この2つの疑問形には、2つの大きな違いがあります。

一つ目は「ない」と「る」の違い。 

「出来ない」は、否定です。
否定語は、聴く側にとっては、とてもネガティブな心理状態になる言葉です。

「出来る」は、肯定です。
肯定語は、聴く側にとっては、前向きなエネルギーが湧いてくる言葉です。 

最初から「否定」をされていると、エネルギーは低下しますから、反省や分析をしようとしても気が重くなります。すると、その反省は「言い訳」になるのです。

それが、たとえ「分析」であったとしても、その中にあるのは「解決策」ではなく、失敗のための反省文なのです。同じ失敗を繰り返さないための役には立ちますが、成功させるための条件を満たしているわけではありません。

「反省」の中には「成功」のヒントはありませんからね。

二つ目は「て」と「たら」の違いです。 

「どうして」は、「過去」「結果」を示しています。
できなかった過去、結果を追求しています。できなかった過去にフォーカスしているのです。

「どうしたら」は、「未来」「仮説」を示しています。
できるための条件を求めているのです。これから先の未来にフォーカスしているのです。 

もちろん、「未来」については、その解決方法はあくまでも「仮説」です。しかし、たとえ「仮説」であっても、「未来」に向かっているわけですから前向きなのです。

前向きなエネルギーは、部下やスタッフをやる気にさせます。「やってやるぞ!」という気持ちにさせます。

わかっていても使えない、だからこそ積極的に使っていく

「どうして出来ないの?」と「どうしたら出来ると思う?」は、よく似ているようで、その言葉の持つ影響力は、180度違うのです。

私の部下やクライアントに、どちらを言われた方がやる気が出るかを聞いてみたところ、90%以上の人が、「どうしたら出来ると思う?」の方を選びました。 

しかし、その部下やクライアントに「自分自信は、普段はどっちの方を言っていますか?」と聞くと、半数以上が、「どうして出来ないの?」と言っていると答えたのです。

私たちは、本当に自分勝手ですよね。

言われたらうれしい言葉を言わずに、言われたくない言い方をしているのです。
困ったものです。

では、彼らが「どうしたら出来ると思う?」の方をいつも言えるようになるには、どうしたらよいのでしょうか?

ポイントはただひとつ。

「部下に言って欲しいこと」を、上司である自分がいつも言うようにする。ただそれだけです。

部下は、上司のマネをしますからね。子供が親の口癖をまねするようになるのと同じです。これは、スタッフのやる気を引き出す、基本中の基本です。

もっと、上級レベルの方法もありますが、まずは、この基本をしっかりと押さえるようにいたしましょう。

そうすると、彼らの表情は確実に変化しますよ。間違いなくね!

次回は「相手軸に立った言葉で部下のやる気を引きだそう」というテーマでお話しします。お楽しみに!

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版)

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。