株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役松下 雅憲
2017-08-20 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

実は不安なだけ? 店長は「自分都合の解釈」を解消する『聴く勇気』を持とう!

 このコラムのポイント

「これ言ったらなんて言われるんだろうな〜」こんなこと思うだけで『考える』『応える』のが嫌になる。会社・プライベートに関わらず、そんな風に感じる相手とはコミュニケーションどころではありませんね。自分とは合わない、そんな相手には合わせたくない…。相手も然りですが、あなたは自分勝手なレッテルを貼って頭から拒否していませんか? 今回のコラムでは、コミュニケーションの原点と言える、心の距離を感じる相手と近づく方法について知ることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


『不安』は、いつも身から出る

「ああ~きっと、私のこと嫌いなんだろうな…」
「あの表情は、きっと不満があるに違いないよな…」

相手の表情を観て、とてもネガティブな悪い予想ばかりする癖が強い人がいます。

人は誰しも『不安』を抱えています。

特に『相手の気持ち』については、相手に聴かない限り「わからない」ので… 不安です。

だったら、相手に聴けば良いのですが、聴くのも不安…

だって、相手が正直に言ったとき、自分の悪い予想が当たるのが怖いから… だから、もう悪いに決まっていると決めつけて、先に自分を落ち込ませるのです。

人に言われるよりも、自分で決める方が、ショックを調整できますからね。

逆のタイプもいます。

「あの人は絶対私のことを好きに違いない!だから私を意識してわざと無視しているんだ」
「あの表情は、きっと疲れが出ているんだろう。ちょっと休めば大丈夫だろう」

なんて、とっても都合の良いポジティブ(と言って良いのかどうか分かりませんが…)な解釈をする人もいます。

かつての私がこのタイプです。(今もですが…) 

『不安』は何かに置き換えても、解消されないもの

私は、かつて店長だったときに「松下店長はスーパーポジティブな人だ!」と上司に言われて以来、ずっと自分はポジティブな人間だと思い込んだまま、現在に至っています。

でも、実は、そんな私のポジティブさは、『相手の気持ちを自分の都合の良いように解釈して、自分が傷つかないように良いように思い込む』という方法で、相手の本音や気持ちを自分本位に解消しているタイプなのです。

だって、自分に都合の良いように思い込んで、それを『相手の本音』とか『真実』だと信じれば、悩まずに済みますからね。

私だって「本音や真実」を知るが怖いのです。だから… なかなか相手に聴くことが出来ません。

逆に言えば、ネガティブな人は…

『不安』を自分に都合の悪い予想をしてネガティブに表現し、で、真実がわかったところで「ああ~思っていたのと違って良かった」と安心したいのかも知れませんね。

つまり、ポジティブもネガティブも、結局は…

「相手の気持ちをどう『正しく』理解するのか?」というよりも、不安から来る自分のダメージを低減させるために「自分本位に」解釈するための、ただのショックアブゾーバーなのかも知れません。

あらかじめ悪いように予測するネガティブか、良いように妄想するポジティブかの違いなんでしょう。

ということは、私のような「スーパーポジティブ」って、もしかしたら超現実逃避型・超妄想型なのかも知れません。

ちなみに、私は心理学者でも、心理学の専門家でもありませんので、以上の考え方は私の勝手な解釈ですので、科学的・統計的な根拠はありません。

『不安』がつくる落とし穴…「思い込み」は危険!

さて、このような、コミュニケーションにおいてのネガティブやポジティブな解釈ですが、実は、会社やお店のスタッフ間でのコミュニケーションでも全く同じ状況が繰り広げられています。

「相手に本音を聴かずに自分の都合の良いように解釈をする」

これが、一般的なコミュニケーションで行われていると私は考えています。

「相手はきっとこう思うだろう」
「相手はこのように感じるかも知れない」

多かれ少なかれ、私たちは、こんな風にあらかじめ予想をしながらコミュニケーションを行います。

先ほども書いたように、「不安」をベースにしてちょっとドキドキしながらの「予想の思い込み」ですね。

そして、その思い込みは、次にこのような解釈に変化します。

「相手はこう思うに違いない」
「相手にはこのように感じてもらいたい」

そのうちに…

「相手はこのように思うべきだ」
「このように思わないのは相手がおかしい」

こうなると、「思い込み」というよりは「勝手な決めつけ」です。チョット怖いですね。

でも、実はこの「決めつけ」が「不安である証拠」なんですよね。

もしもあなたが、このような不安感を持った予想をしている場合は、もう一度相手を観察しましょう。

そして「あれ?違うかな?」と思ったら、勇気を持って「相手に聴いて」確認してみましょう。

ここで聴かずに、相手の受け止め方を「決めつけ」てしまうと、あなたは、相手の反応があなたの望み通りでは無いとき… あなたは、思い通りに理解しない相手に問題があると考えてしまいます。

怖いでしょ?

「聴かないだけ」でこんな気持ちになってしまうのです。

相手と話す・聴くことが『不安』を無くす原点

相手の理解や気持ちを知るのは、コミュニケーションを柔軟かつ円滑に進める上でとても大切なことです。

自分の都合の良いように「思い込む」こと、もしくは「決めつける」ことをしないようにしていけば、もっと良いコミュニケーションがとれるようになります。

でも、それでも不安だし、聴くのが怖い…というのが本音ですけどね。

なかなか、簡単にはいかないものだと思います。

この不安を完全に乗り越える方法は、色々とあると思いますが、私は「とにかく相手に聴く」ことでそれを打破することをお薦めしています。

もっとイイ方法を見つけたら、またいつかコラムでご紹介しますね。

あなたも「不安を感じたら聴いてみる」… 是非トライしてみて下さい!

 

次回は「意見が違ってもまずは受け止めよう。すると『相手のとの接点』が見てくる」というテーマでお話しします。お楽しみに!

  

  • 参考「『これからもあなたと働きたい』と言われる店長がしているシンプルな習慣」松下雅憲著(同文舘出版) 

株式会社PEOPLE&PLACE 代表取締役 松下 雅憲

大阪出身。1980年日本マクドナルド(株)入社。店舗運営の現場と全社の出店戦略に関わり、2005年4月とんかつ新宿さぼてんを運営する(株)グリーンハウスフーズに入社。すぐに経営情報室を立ち上げ、経営情報の見える化、出店戦略システムの構築、さらにエリアマーケティングをベースにした店長教育システムを導入し大きな成果を上げた。2012年4月株式会社PEOPLE&PLACEを設立。代表取締役に就任。マクドナルドとさぼてんで確立したノウハウを独自の形に仕組み化した「店長ナビ®」を提供し、人材育成を通じて多くの外食企業や小売・サービス企業の業績向上に貢献している。