フランチャイズ研究会 中小企業診断士楊典子
2017-10-26 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士 楊典子

経営者の時短術!~時間管理は起業成功のキーポイント~


事業成長の障害は経営者自身かも?

こんにちは。女性のローリスク起業を支援する一般社団法人キャリア35の理事、楊典子です。

いざ事業を始めるときには、まずは資金をどうするか、そして人手をどうするかという順番で考えていく方が大多数です。
お金の算段もついた、人も確保できた。しかし実際に事業を始めてみると、思ったように進まない・・・。よくある話ですが、社員数名規模の小規模事業や個人事業を経営するケースで、この真の原因となっているのは、実は『経営者の時間がないこと』だったりします。 

コストを下げるため自分も現場に入り、ぎりぎりの人数(または個人)で事業を進めた場合、真っ先に『未来のために考える』時間がなくなります。

時期的に販促の一手を打たなければならない、と頭で分かっていても、落ち着いてそれを考える時間がなく、そのタイミングを逃してしまう。

ビジネスを拡大するアイデアが浮かんでも、日々の作業に忙殺されて、アクションまで起こすことができない。これらが代表的な例でしょう。 

経営者の大きな役割は『利益を増やす次の一手を考える』こと。考える時間をとれない状況に陥ることは、事業の成長を減速させる大きなリスクとなるのです。

まずは経営者から働き方改革を!

企業だけではなく、国を挙げて「働き方改革」が提唱されています。

この大きな理由の一つが、「生産年齢人口が総人口を上回るペースで減少していること」です。すでに人口のピークは過ぎ、現状のままでは、2050年には総人口9,000万人前後にまで減少することが予測されています。

※参考:内閣府HP「人口・経済・地域社会の将来像」

加えて、総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)はより早いペースで減少を続け、2013年には8,000万人だった人口が、2027年には7,000万人、2051年には5,000万人まで減少するとの予測もあり、労働力の不足が喫緊の課題として取り上げられています。

※参考:国立社会保障・人口問題研究所HP

働き方改革の対策の一つが、「長時間労働の改善」です。働く時間を短くしても、同じ成果を出せるようにしよう、つまり「生産性=(効率)を上げよう」というものです。

経営者となったら、社員やスタッフに「生産性を上げること」を説いていくことが必須なのは間違いありません。雇用者のいない個人事業主であれば、自分の生産性が収入に直結しますので、なおのこと意識せざるを得なくなるでしょう。 

まずは経営者自身が時短術を活用し、「生産性を上げること」&「考える時間を取り戻すこと」に取り組んでみましょう!

経営者の時短術

経営者が考えるべき抜本的な時短術の一つが、自分の持っている仕事(タスク)を社員や外注先にまかせる、というものです。

経営者が時給1000円でお願いできる仕事を一日2時間行っているのであれば、ここは社員やパートさんに任せ、その時間を売上向上やコスト削減の仕掛けづくりに費やしましょう。

月に20日で4万円の人件費が増えますが、知恵を出して行動につなげることで、月に4万円以上の利益増につながるなら、そちらを選ぶのが得策です。

伝票処理や経理作業などを経営者自身が行っていて、時間を費やしているのであれば、経理業務を外注してしまうという手もあります。現在はクラウド型の会計システムなどのおかげで、税理士事務所も業務効率化が進み、委託費用なども格段にお安くなっていますので、改めて相場を確認されるのもよいかもしれません。 

もし忙しすぎて、「何の作業を任せるべきか分からない」となっているようであれば、一週間ほど、起きてから寝るまでの時間を記録する「ライフログ」を試してみるのも効果的です。以前は紙での記録なので書くこと自体が大変でしたが、今は様々なアプリが登場していますので、スマホをお使いであればぜひアプリを活用してみましょう。

自分の時間の使い方を「見える化」して、どこにムダや付加価値の低い作業があるのかを認識できると、時短のために執るべき手段はすぐに見つかるはずです。 

経営者が自身の時間管理や生産性に敏感になることで、次第に職場全体にその意識が広まっていきます。自身が時間効率化のための取り組みをしていないのに「効率化を進めましょう!」と社員に伝えたところで、まず効果は見込めません。

これから事業を興す、フランチャイズに加盟して事業を始めようというケースなら、「働き方改革」を取り入れるベストタイミングです。

自分を含めた人員配置と時間配分の計画段階から、しっかりと「考える時間を確保する」ことを念頭に、計画を練りあげましょう。

開業後の機動力が高まるのはもちろん、パートさんなどのスタッフもより集めやすくなるはずです。

変化はチャンスでもあります。ぜひこの働き方改革を追い風にしてください。

編集部より

「働き方改革」最近毎日のように新聞やその他メディアを通して目にしますよね?通常「生き方」や「働き方」と聞くと、会社に勤める立場の人が今後のキャリア設計をどうしていくか?という意味に捉えている場合も少なくないでしょう。しかし、会社を経営する立場の人も、自分の働き方を考えることで会社の業績や今後の成長にも大きく影響してくるんですね。これから独立や起業を検討してる方は是非、本コラムを参考に起業後経営者としてどう仕事をしていくか、プランを立ててみてください!フランチャイズ加盟を考えているのであれば、成功しているオーナーの働き方等を参考にオーナーがすべきことを考えながら、いろいろな業種業態をさがされてみると良いでしょう!

フランチャイズ研究会 中小企業診断士 楊典子

福島県出身、立教大学経済学部経済学科卒。新卒から一貫して経営コンサルティング業務に従事し、外資系コンサルティングファーム等を経て独立。五葉コンサルティング株式会社代表取締役。世界的企業から個人の創業まで、多数の支援実績を持つ。製造業の業務改革や各種FC本部構築などに関わる。主な著書にフランチャイズ入門(同友館)、フランチャイズ本部構築ガイブック(同友館)、好きを仕事に!―私らしいローリスク起業(BKC出版)など。