ATカンパニー株式会社 代表取締役浅野 忍土
2015-01-19 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

新規事業をフランチャイズで成功させるコツ

 このコラムのポイント

フランチャイズビジネスに参入するときに知っておきたいコツが質問形式でわかります。そもそも自社(自分)はフランチャイズに向いているのか向いていないのか?、フランチャイズビジネスを新規事業で検討するならどのような点に着目して選べばいいのかのポイントもまとめています。

フランチャイズWEBリポート編集部


新規事業を構築する上で、自社向けのFCをどうやって見つけたら良いか?


これまでに、数百に及ぶ企業や個人の方々のFC事業選定のご相談に乗らせて頂いた経験を踏まえて、ご質問にお答えさせて頂きます。また一定の考える手順や視点をお伝えさせて頂きます。ただし、あくまでも手順であり、臨機応変にご自身であった形で最終的にはご判断頂く事をお勧めします。

FC事業選定の上で、まず考えるべきは『FCビジネスを見つける前に、そもそも貴社(あなた)にとって新規事業(個人の方ならば独立)が本当に必要なのか?』、今一度お考え頂く必要があります。

それは

・企業の場合であれば、そもそも新規事業が必要なのか?
・個人の場合ならば、独立する必要があるのか?


など、経営戦略や個人のライフプランの観点から、本質的な事業参入の意義を考えることをお勧めします。

新規事業(何らかの手段で独立)が必要だと判断した場合、次に考えるべきは、『なぜFCビジネスでなければならないのか?』です。

言い換えれば、FC加盟によって、貴社(あなた)は何を得たいのか?その点を明確化する事が大変重要であります。

更には、『FCビジネスの中でも、どんなFC業態が良いのか?なぜそのFCでなければならないのか?』をしっかりと考える事が成功への第一歩です。


ただなんとなく儲かりそうだから、ただなんとなく時流に乗っているからと事業を選定することは後々ご自身の有限な資源(お金や時間等)を無駄にする可能性が高まります。
事業は後戻り出来ませんし、逆に想いを持って取り組める事業に出会えた場合、その成功確率は高まります。だからこそ、皆様には、事業選定、FC選定をしっかりと考えて頂きたい。

ここまでの話を整理しますと、FC選定上、考えるべき手順は、

手順1 貴社(あなた)にとって、なぜ新規事業(独立)が必要なのか?

手順2 貴社(あなた)にとって、なぜ新規事業(独立)としてFCで無ければならないのか?

手順3 貴社(あなた)にとって、なぜFCビジネスの中でも、今検討しているそのFCビジネスでなければならないのか?


最低限、この三点に関して、明確に答えられる必要があります。この三点に関して、しっかりと考えられていれば、自ずとFC選定は精度の高いものとなり、貴社(あなた)に合致した事業を選定する事は可能となります。
各手順に関して、もう少しだけ詳しく説明していきます。

手順1:貴社(あなた)にとって、なぜ新規事業(独立)が必要なのか?


そもそも、新規事業への挑戦は大変な労力を必要とします。企業の場合であれば、その労力や資源を既存の事業分野に向け成長する事は出来ないのでしょうか?

もしも限られた資源(お金、時間、人)を新たな分野ではなく、既存分野に投下した場合に、成長余地が見込めるならば既存分野への集中をお勧めしますし、個人の方であれば、本当に独立する必要があるのか?、どんな目的、意図を持って、独立されたいのか?、その点を十分に考えた上で、行動されることをお勧めします。

企業の場合であれば、将来的な衰退リスクを回避する為や、それ以外にも新規事業分野へ挑戦は、多くの成果を得る事が出来ます。

新たな収益の柱の構築だけでなく、そもそも新規事業分野に挑戦する事で既存の組織に対して良い影響を与えるなども期待出来ますし、他にも、ノウハウの習得や資産の有効活用等、経営に好影響をもたらす可能性は高く、しっかりと新規事業挑戦の理由を明確に取り組む事がまず初めに大変重要な視点であります。

手順2:貴社(あなた)にとって、なぜ新規事業(独立)としてFCで無ければならないのか?


さらに新規事業として、FCシステムで無ければならない理由はなんでしょうか?FCはある種のアウトソーシング事業です。事業の一部である研究開発や商品開発、人材育成などをFC本部にアウトソーシングしているのが、FCシステムです。

故に、加盟店は一定の構築されたノウハウの基に事業を展開出来るのですが、一方で、制約も発生します。FC故に、自由が利かないことも多々あります。

加盟店はある一定の構築されたノウハウを得る事で、事業の成功確率を高めることが可能になる一方で、一定の制約のもと、例えば、同じ看板を使用しなければならなかったり、スケールメリットを活かす為に、同一の業者から仕入れを行わなければならなかったり、独自にサービスが開発出来ないなど、事業上の成約を課される事となります。当然、類似業態を自社で展開することなどは基本的に出来ません。

この様に一定の制約の基に、経営を行わなければならない事を十分に理解する必要があります。FCシステム自体が貴社(あなた)の価値観に合致するのか?、十分に検討する必要があります。 ここまで明確に検討が進むならば、後はFC事業の具体的な選定が重要となります。

手順3:貴社(あなた)にとって、なぜFCビジネスの中でも、今検討しているFCビジネスでなければならないのか?


FCビジネスは探せば無数に存在します。その中でも、自社(あなた)に合った事業を選定しなければなりません。

例えば、あなたが外食事業で企業を考え、その中でも、ラーメン業態に関心を持ったとします。無数にあるラーメンFC本部の中で、どのようにして自分に合った業態、本部を選びますでしょうか?視点はいくつかあると思います。

 

視点1 その事業体が属する市場に関しても着目する(市場環境)

視点2 その事業体の重要な要素に着目する(成功要因)

視点3 その事業体を展開するFC本部の体制や姿勢に着目する(本部ノウハウ等)

視点4 その事業体を展開するFC本部の経営者に着目する(経営者の価値観等)


最低限これら四つの視点に関して、しっかりと抑えなければなりません。

 

視点1:その事業体が属する市場に関しても着目する(市場環境)

当然にして、伸びている市場に属する事業は成功する確率が高まります。市場の状況には注意を払い、事業選定をしなければなりません。

一昔のデイサービス市場は成長分野と言えましたし、現在であれば放課後等デイサービス(2015年1月現在)を初めとする児童デイサービス市場は成長マーケットとして注目です。逆に、外食業態はどの市場も、超成熟化を迎え、大変な競争市場であると言えます。

 

視点2:その事業体の重要な要素に着目する(成功要因)

次に着目すべきは、その事業が成功する為の要因を見極める事。事業によりその成功要因は異なります。

例えば、外食事業ならば、味や立地、接客等、事業を成功させるには事業毎の異なる要因が存在します。その点を事業毎に見極め、今、検討している事業がしっかりとその成功要因を兼ね備えているかを見極める必要があります。

 

視点3:その事業体を展開するFC本部の体制や姿勢に着目する(本部ノウハウ等)

成功要因と共に、重要な視点が本部にノウハウがあるのかどうか?、そして、現時点だけでなく、将来に渡り、ノウハウを構築し続ける体制が兼ね備わっているのか?もしっかりと見極めなければなりません。

 

視点4:その事業体を展開するFC本部の経営者に着目する(経営者の価値観等)

最後に、事業の成功は極論、TOPである社長次第です。ですから、加盟を検討される際には、最終的にFC本部の経営者に対する見極めを行わなければなりません。

同時に、貴社(あなた)との価値観や方向性が合致しているかも、大変重要な視点です。本部と加盟店が同じ方向性や価値観を持って、一丸となって経営出来たとき、そのFCビジネスは大きく成長すると確信出来ます。


以上の手順と視点を活用し、より良いFC事業を選定頂きたいと考えております。

ATカンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土

経営コンサルティング会社でフランチャイズ開発に携わり実績を上げた後、2009年ATカンパニー設立。各企業の経営戦略に沿って有望な新規事業を提案。小規模デイサービス事業、乳幼児教育事業など幅広い業種のフランチャイズ企業を支援。支援チェーンの一つ、乳幼児教室「TOE Baby Park」は3年半で、200加盟達成。2009年10~2014年9月までに延べ272件、月平均約5.4件ベースで加盟開発を実現する等、短期間での多店舗チェーン作りを得意とする。