office unreve 代表坂口 純一
2015-02-26 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
office unreve 代表 坂口 純一

私がフランチャイズ支援を始めた理由

 このコラムのポイント

坂口純一氏は、良質なフランチャイズ本部を生み出すための支援ビジネスをしている人物。そんな彼がどのようなスタンスでフランチャイズ本部の候補生ともなる企業にアドバイスをしているのか。そして、日本でフランチャイズがさかんなのはなぜなのか・・連載第一回目ということで坂口氏自身のフランチャイズ観がかいま見えるような内容になっています。

フランチャイズWEBリポート編集部


この度「フランチャイズWEBリポート」にコラム連載することになりました。office unreveの坂口と申します。

私事で恐縮ですが、第一回目は仕事を始めた経緯や事業の内容などについて書いてみたいと思います。

フランチャイズ支援業を営み始めたきっかけは、エリアマネージャー時代に

この仕事で独立しようと思ったのは、今から約6年前。地元の企業を0からフランチャイズ構築させて頂いたことがきっかけです。フランチャイズ本部を立ち上げるということで誘いを受けた私は、長年勤めていたフランチャイズグループ(株式会社サニクリーン九州)を辞め、エリアマネージャーとして本部の立ち上げチームに参加しました。

一見華やかな船出のように見えますが、メンバーは私を含め2名(笑)。何もわからないまま、関連本を買い集めることから始めるという、まさに暗中模索からのスタートでした。

認識不足の為か専門家にコンサルティングを依頼するという選択肢は頭になく、自力で自前のFC本部を作ろうと思っていたのです。

結果ずいぶんと勉強代がかかってしまいましたが、チームの情熱もあって半年で全国40店舗展開することができました。その後、とあるご縁から代理店構築業務も個人的にご支援させて頂き、120社以上に加盟して頂いた経験から、フランチャイズ支援業を始めるため独立を決意しました。

大切なのは企業規模に合わせたフランチャイズ本部の構築

現在アドバイスも含め約50社ほどの企業様へご支援させて頂きましたが、0から構築した当時の経験が非常に役に立っています。中小企業がフランチャイズ展開をする際、大半は人材や資金といったリソースが潤沢にあるわけではありません。よって設計書通り進むことのほうが、むしろ例外だと言ってもいいでしょう。

そこで私はフランチャイズという設計書に企業を当てはめるのではなく、逆に企業の規模に沿ってオリジナルのフランチャイズを作っていくという編集を取り入れているのですが、そんな即興性は当時の経験によるところが大きいと言えます。

もちろんフランチャイズのベース自体を崩してしまっては元も子もありませんが、3現(現場・現実・現物)を主体にした場合、基本的なやり方と「主語」が逆になってくるケースがよくあるというのは、実感として感じているところです。

これが大量生産を基礎として安定していた時代であれば形式化し、ルーティンを覚えさせるだけでやっていけたでしょう。しかし変動の激しい時代においては常に工夫するという、主体的な創造性が加盟店にも必要となってきますので「見える形式知」と「見えない暗黙知」の両輪を回せる組織作りをクライアント様へご提案しています。

例えば以前、私がご支援した愛知県にあるFMT整体院様のケースでは、加盟店に対し形式的な技術の習得が目的ではなく、その奥にある患者様を思う「こころ」の理解こそ必要だとしていましたが、上記のように形式的な方法だけを前提に構築すると導入できませんよね。

人も組織もそうですが、それぞれに最適な形というものが必ずあって、その最適解を発見することが大事ではないでしょうか。

学校で教師がある話をしても、心に響く人もいれば、上の空の人もいます。良書を全員に読ませたとしても、感動する人もいれば全く頭に入らない人だっています。本当はそれが当たり前なんですね。

そう考えると私の役割とは画一的な解を与えるのではなく、一人一人の異なった解(トリガー)を探しだすことかもしれません。

日本に幅広い業種のチェーン店があるのは、その民族性によるものでは

当初、この非画一的で多様なFC概念を立ち上げることは非常に困難であると、頭の中では理解していましたが、反面その可能性に大きく期待しています。

なぜなら我々は非常に高い「適応性」を民族性として持っているからです。

例えば日本の農業は、地域の特性に合わせ、植える作物を選び、作り方を工夫するという細かな環境の違いに適応してきましたし、海外から輸入してきたラーメンやカレーやパスタなどを見ても、これだけバリエーションがあるのは日本だけです。

つまり日本は、輸入してきたものを独自に編集し、最適な形にする技術に長けていると言えるでしょう。

私はフランチャイズも同様、皆様が独自に構築し、逆に世界へと発信していかれると信じ、微力ながらそのご支援させて頂いています。

office unreve 代表 坂口 純一

卒業後、全国展開のFCにおいて管理本部として従事。その後地場企業のエリアマネージャとしてフランチャイズ構築に携わり、教育から開発まで全てを行う。半年で 40 店舗展開した経験から、2010 年 officeunreve を設立。主に FC のアーリーステージの本部に対し、基盤のしっかりとした構築やアドバイスを行う。