2015-03-04 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
office unreve 代表
坂口 純一 |
フランチャイズの歴史について
このコラムのポイント
フランチャイズがどのように生まれたのか。インターネットなどでも歴史について詳しく触れられているページは少ない現状です。ここでは、フランチャイズシステムがどのように生まれたのかなどの背景について触れています。フランチャイズを知らないという方にも興味深く読んでいただけるようなコラムです。
フランチャイズWEBリポート編集部
Office unreve の坂口です、第二回目のコラムとなります。
よろしくお願いいたします。
さて、都心・地方に限らず、私たちが住んでいる町には様々なフランチャイズが存在しています。近所にはコンビニエンスストアがあり、ショッピングモールには必ずと言っていいほど、大手のチェーン店舗が入っています。
朝のコーヒーから夜の夕食まで、ライフスタイルの一部に組み込まれている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は私たちの生活に欠かせない存在となっているフランチャイズの歴史について書いてみたいと思います。
始まりはビールの販売権利型ビジネス
フランチャイズシステムの起源はアメリカだというイメージですが、その雛型となるきっかけはドイツ人たちの作ったビールだと言われます。
1850 年代にアメリカへ移住したアイルランドやドイツの酒造家達は、当時の愛好者に対し販売権を与えることで販売網を広げていきました。やがてその販売権をアメリカの企業が取得したことから、権利販売型のビジネス自体も浸透していったのです。
そもそもヨーロッパでは古くから協同組合(ギルド)が存在してましたし、教会は最古のフランチャイズ・システムですから、拡大するための基盤はかなり前から確立していたのでしょう。
ちなみにフランチャイズという言葉も、語源はフランス語の『francher(制約や隷属から自由になる)』からきています。
当時、国王が都市等に自由権を与える際「charte de franchise」と書面に記していたことが始まりだったのですが、やがて「特権」という意味としてもこの言葉が使われるようになったんですね。
例えば、国が鉄道を始めとした公共事業の認可を企業に任せる際も、「フランチャイズを付与する」と言っていたようです。
フランチャイズシステム導入期は1860年代のアメリカ
アメリカで一番最初にフランチャイズ・システムを取り入れたのは 1860年代、ミシンの小売店であるシンガー社や農機具製造会社のマコーミック社だと言われます。
当初は先に挙げたビールのように自社商品の販売網を広げる代理店方式だったのですが、様々な業態にフランチャイズ・システムが採用されることでビジネスモデルも徐々に変わっていき、スーパーマーケットのA&Pや自動車のフォード社、そしてKFCやマクドナルドといった馴染みのある企業が誕生した 1900年代以降は、研修や教育によって運営の全てをフォーマット化する流れになりました。
そんな大量生産と大量販売システムが当時のアメリカ市民の豊かな暮らしを支えていたのです。
ちなみにここ、日本で最初にフランチャイズを始めたのは 1963 年のダスキンと不二家だと言われていますが、その一年前に岐阜県でコンビニエンス・ストアの第一号店が開店した(1962 年)と言う説もあって、未だ正確な定義はできていません。当時の関連資料が少ないことが原因なのですが、約50年前にこの国でフランチャイズが始まったというのは間違いなさそうです。
世界の有名フランチャイズも、元は小さな個人自営業だった
さて、ざっくりとですがフランチャイズの歴史について書かせて頂きました。現在、世界には有名なフランチャイズチェーンがいくつも存在していますが、その大半は小さな個人自営からのスタートだったんですね。
例えば「フランチャイズと言えば、コンビニ」というくらいコンビニエンス・ストア(CSV)は存在感がある業界ですが、その原型はアメリカの小さな氷小売販売店(サウスランド・アイス社)だったというのも意外な事実なのでは。
そう考えると、優れた価値を持つビジネスは規模の大小関係なく、時代や国境を超える力を持っていると言えます。この国にもそんな企業がどんどん誕生していってほしいですね。