フランチャイズ加盟開発で役立つ法務がわかる
行政書士川本到
2015-09-14 FC本部向け小説
行政書士 川本到

契約期間はどのくらいが妥当!?~FC契約期間と関連契約の契約期間~

 このコラムのポイント

フランチャイズWEBリポートのオーナー募集ページにも明記されている「契約期間」。本部と加盟店の間では様々な契約がとりかわされますが・・今回は賃貸借契約にまつわるストーリーです。

フランチャイズWEBリポート編集部


寝不足。。。
昨日は、夜中まで残業して、鬼の出した宿題をしてた。
ななちゃんにも、昨日は会えなかった(泣)

昨日の夜11時半頃に、わたるさんに出された宿題(法定開示書の裁判に関する部分の説明案文)の回答をメール送信して、身も心もヘトヘトになりながら、かえって風呂にも入らずに寝てしまった。。。

そして、今朝出社するなり、わたるさんから電話。
「おはよ。酒井、昨日は遅くまでご苦労さん。約束ちゃんと守ったな。」
とか言ってる。
期限守らなかったら、いつもの「バカヤロー」って怒鳴り声を出すつもりだったくせに・・・。

「お前の書いた説明書きの『加盟店様がお約束をお守り頂けなかったために、当社からお約束の履行を求めて・・・』って部分なんだけど、これだとロイヤルティとかの請求なのが丸わかりだから、せめて『当社と加盟店間の契約内容に関しての裁判』程度にしておいた方がいいんじゃないか?それ以外は『詳細は、秘密保持条項があるので、お話することはご容赦下さい』はいいと思う。」

人間性はともかくとして、相変わらずアドバイスはすげー適確。。。

「わかりました。修正版読みます。『当社の過去の訴訟についてのお尋ねですが、当社と加盟店様との間でフランチャイズ契約内容についての裁判が行われましたが、詳細については当事者間に秘密保持義務条項があるので、お話することはご容赦ください。』って感じになりますが・・・。」

「うん、それでいいや。まぁ、秘密保持義務って言ったら、聞く人が聞けば、和解したのが丸わかりだけどな。」「はぁ・・・、それってダメなんすか?」

「いや、ダメじゃないよ。和解したなんて誰も言ってないから。聞く人が聞けばわかるってだけの話。お前、この文章書くのに、どのくらい悩んだ?」

「えーっと、1~2時間っすかね。」
「ウソつけ。」

さすが、鬼。。。バレてる。

「はい、3~4時間っす。。。。」

「うん、まぁ、そうだろうな。いろいろ悩んで、ホントはもっと長い文章だったんだろうけど、考えて、考えて、余計なことをできるだけいわないようにしたら、結果的に短くなっただろ? それが、文章を作る作業だから、こういう経験できてよかったな。」

おっと、なんだかんだ言って、結構いい上司風なことを言う。
でも、俺は、こういう時が一番危険なのを、これまでの経験で学んでる。
これは、何か悪い兆候に違いない。

「それでな、昨日の夜に畠山さんから電話貰って、何だか他にもいろいろと相談事があるらしいんだ。畠山さんには、担当は酒井だって言っておいたから、お前、畠山さんのところに言って、昨日の説明したついでに、問題解決してきて。」

悪い予感的中。
しかも、相談内容もきかずに「問題解決してきて」って・・・。
しかーし、こんな程度の無茶振りにめげるほど俺も弱くない!!

行政書士 川本到

外食系上場企業の法務担当、有名飲食チェーンの法務担当者、法務部門責任者などを経験し、2008年4月に行政書士登録。行政書士川本法務事務所を設立。主に、フランチャイズに関する法務コンサルティング、海外進出支援を中心とした業務を行っている。所属は、神奈川県行政書士会、中小企業診断士協会東京支部フランチャイズ研究会、国際取引フォーラムなど。日本経済新聞社主催のフランチャイズ・ショーや福岡県新生活産業多店舗化事業でセミナー講師、「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)や「FCチェーンの海外展開ハンドブック(フランチャイズ研究会)にて著作の実績あり。