フランチャイズ加盟開発で役立つ法務がわかる
行政書士川本到
2015-02-03 FC本部向け小説
行政書士 川本到

最新IT機器入れ替え大作戦~加盟店の改装・機器入れ替えの法律問題~

 このコラムのポイント

コンビニや飲食店などでよく使われるPOSレジ。このPOSレジ入れ替えをめぐって、加盟店にどのように説明すれば本部は納得してもらえるのか?ということをシステム部長が、主人公の酒井青年に質問に来ました。果たして酒井青年の出す答えとは・・

フランチャイズWEBリポート編集部


昨日は、今井さんが約束してくれたキャバクラのななちゃんとの食事だった。今井さんも気をきかせてくれて、途中で帰ってくれたし、そのあとも盛り上がって楽しかった。真樹には内緒だけどね。

わたるさんは、相変わらず忙しそうだ。今日は、伊豆半島の方に債権回収案件でSVの今井さんと一緒に出張に行ってしまったので、今日も俺一人。まぁ最初のころに比べたら、一人でもどうにか仕事できるし、鬼がいないと気楽ではある(笑)。

しかーし、世の中そんなに甘くはない。こういう日に限って面倒な案件が持ち込まれる。

「わたるちゃんって、今日いる?」
と入ってきたのは、システム部長の河田部長だった。

「いえ、今日は伊豆に出張しています。」
と答えると、
「伊豆?なに、海水浴?」
とか河田部長は真面目な顔して聞いてくる。

うーん、うちの会社の部長たちで、何でこんなに軽い人ばっかりなんだろう?(笑)

「じゃあさぁ、酒井君、ちょっと相談にのって欲しいんだけどね…」
と河田部長は椅子に座りこんだ。

「酒井君も店舗研修したから知ってると思うんだけど、うちのお店のレジ、POSレジがあるじゃない?あれって、実は結構古いんだ。それで入れ替えをしたいと思っているんだけど、当然加盟店の分も入れ替えないといけなくて、これを強制することができるかどうかってのが相談なんだけど、どう?」

すごーくストレートな相談だ。
でもPOSってそんなに古かったかなぁ?俺の研修店は、まだ新しいお店だったからすごいキレイだった気がするけど…。

「えーと、あのー、POSって店を開けるときにお店に設置するもんすよね?」
「そうだよ。」

「今、河田部長は『古くなった』っておっしゃいましたが、それなら新店のPOSは新しいんじゃないんすか?」
「アハハ、そういう意味じゃないよ。」
と言って、河田部長は解説をしてくれた。

「POSというのはね、パソコンと一緒で、ハードだけでは動かないもので、中のソフトが重要なわけなんだ。今使っているソフトは5年くらい前に開発したもので、途中で何度もバージョンアップをしているけれど、そろそろ時代にもマッチしなくなってきたし、それに我々が要求するデータの集計には限界が生じ始めているんだ。だからそろそろPOSの入れ替えをしなければならないんだよ。」

「あぁ、なるほど。よくわかりました。でもソフトの入れ替えだけならば、現在のレジの中身だけ入れ替えればいいってことですよね?」

「うーん。まぁ、そういう方法もありだな…。」
と河田部長は歯切れの悪い言い方をする。

なんだか、ここに厄介事がありそうだ。
でもソフトだけなら、金額的には高々知れてるだろう。俺の家のパソコンのソフトだって、せいぜい5万とか6万だから…。

「で、金額はどのくらいかかるもんなんです?」
とすごーく簡単に聞いてみた。
「まぁ、一店舗あたりだいたい100万円程度かな。」

行政書士 川本到

外食系上場企業の法務担当、有名飲食チェーンの法務担当者、法務部門責任者などを経験し、2008年4月に行政書士登録。行政書士川本法務事務所を設立。主に、フランチャイズに関する法務コンサルティング、海外進出支援を中心とした業務を行っている。所属は、神奈川県行政書士会、中小企業診断士協会東京支部フランチャイズ研究会、国際取引フォーラムなど。日本経済新聞社主催のフランチャイズ・ショーや福岡県新生活産業多店舗化事業でセミナー講師、「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)や「FCチェーンの海外展開ハンドブック(フランチャイズ研究会)にて著作の実績あり。