34年間、小学校の教諭として働いていました。ラストの3年間は教頭をしていたんですが、教頭という立場は職員の管理や学校全体の管理がメインとなってくるんですよ。中には心の病、いわゆる鬱病を持つ職員のケアをしたり、そして職員だけでなく保護者、さらには生徒の子供たちまで心のケアが必要という状況が出てきたんです。そうした中、自分自身もメンタルケアの事を学ぼうと思い、自主的にとある協会の研修を受けに行き、”ビジョントレーニング”というプログラムとの出会いが、そもそものきっかけでした。

ええ。ただ初めて受けたビジョントレーニングの研修でしたが、ただただ驚きでした。目から鱗でしたよ。このプログラムはかなりの部分で今私が見ている子供たちに繋がる、これらを取り入れると、心の病で悩む子供達を変えられるんじゃないかと思いましたね。

30年以上の教師生活でしたが、初めて出会った感覚でした。そして自分の仕事を振り返ってみたとき、自分が管理職として学校でやってることって、8割は子供たちに繋がってないんじゃないの？という疑問が芽生えたんですよ。本来生徒達にしてあげたかった事が、今自分が出来ていないことに気づきました。

未だにいろんな方にも聞かれますよ。良く教師辞めたねって。結局公務員でしょ？言わば保障されてるじゃないですか？なかなかこのご時世、辞められないんですよねぇ。でも東北の大震災があり、その後出張で石巻に行って廃校になった校舎を目の当たりにした時、背中を押されたような気がしました。やっぱり学校には子供たちの笑顔が溢れてないとだめだ。って。

それから3か月後に学校には退職する旨を伝えました。もちろん家族にも相談しましたよ。心配もされました。でも、「どうせ言っても聞かないでしょ？」って、言われました（笑）私の本気度は伝わったみたいでしたし、それからはもう前に向かって進むだけでしたから、フランチャイズ契約やいろいろと開校に向けての準備を進めました。

ビジョントレーニングの研修を受けてたんですが、さらにトレーナーの研修というものを受けて、フランチャイズ契約を結んだという流れです。

そうです。仕事をしながら準備を進めました。ビジョントレーニングの研修を受けて学んだことをテスト的に実際に子供たちに実践してもらうと、すごく手ごたえは感じましたしたね。

事前に退職する旨は伝えてたので、学校も理解を示してくれました。有休を使って更に必要な資格を取得したり、開校まで緻密にスケジュール管理して準備しましたよ。3月に退職後、9月開設だったのですぐ家の改装を始めて、その間家庭教師的なこともしながらそこでメンタルケアの話をしたり、プロモーション活動していましたね。

地元情報誌の習い事枠に載せていただいた際は反響が大きかったです。「集中力を上げる」というキーワードがすごく親御さんには響いたんだと思います。目の学校という名前が名前なので、どうしても「視力」に関することだと思われがちですが、この「集中力」「脳力開発」という点を理解いただくと、通ってもらいやすくなりますね。

そのアプローチに動き出してから、ドラマの始まりでしたね！学校のプログラムにどうしても目の学校のビジョントレーニングを入れたかったんですよ。だったら先生向けに講演しないといけないと思い、京都の学校にFAXを流してみたんですが、最初は反応ゼロ。そうこうして知り合いの校長先生にお電話入れたところ、FAXの内容だけでは分からないので、説明に来てほしい。という依頼に繋がったんです。結果、すごく良い反響でした。

実は学校へのアプローチも、元々は同じ目の学校の別のフランチャイズのオーナーさんからお願いされたことだったんですよ。上坊さんがモデルケースとして成果を上げてくれれば、他の地域や学校も注目してくれるって。まさにでしたね。今では週に一回、朝の時間に全校生徒でビジョントレーニングを行ってもらっています。

こうなるともう教育委員会や商工会議所、行政へのアプローチに全力ですよ。そんな時ちょうど私の講演活動を耳にされた商工会議所さんや教育長さんとも関わりを持つことができて、ここまで本当にドラマチックに繋がってきましたよ。これまでご協力いただいた皆様のおかげですね。

実はこの物件もドラマの続きで、以前の自宅を改装した教室だと遠方から来る生徒がいたので、どこか良い場所がないか探していたところだったんです。という話をしていたら、うちのスタッフがここの物件、「空き」が出てたよって、連絡してきてくれて。大家さんにお願いしたところ、「目の学校さんだったら是非」と言ってもらえたんです。

ますます頑張らなければならないと思いましたね。

そうだと思います。先ほどお伝えしたようにどうしても「視力」の事に思われがちですが、実際に体験してもらうとすぐにご理解いただけます。お子様の「目」に何が起こっているのか、それを解決してあげることで、勉強へのフォローになるんですよね。

さすがに校内で営業活動は行えませんが、保護者の方や先生も、後からご自身で問合せてきていただきますよ。他で調べても対応されている教室もないですからね。

とんでもないですよ。最初の教室を開校した時には退職金の全てをつぎ込みましたし、今の教室に引っ越してくる経費もかかりましたしね。車も処分しましたし、以前の地位も教師を辞めてなくなりましたし、私自身に残っているのは今は身体一つと、この教室だけですよ（笑）事実、事業としてはまだ黒字とは言えませんから。

今の生徒数でも、他の教室だったら利益を出しているオーナーもいらっしゃると思います。でも私は今無給ですよ（笑）先行投資に経費をつかっているので。しんどい事もたくさんありますが、これが私にとっては正しいと思っています。自分がしたかったことですから、今全力で走っていますね。周りの同い年の方はもう還暦、皆さんが年金生活で通常の収入がなくなるころに、私は年収1,200万円になっていたらいいなと思っています。（笑）

うちの場合はスタッフを多く雇い入れているんですよ。うちは教室規模の割にかなりスタッフが多いです。競合がいない間だからこそ、教室を更に増やして目の学校を広めていかなければいけないですからね。まずは今からスタッフを育てておかなければとの思いです。皆、良いスタッフばかりで、本当にありがたいですね。

そうですね。立派に教室を運営してくれていますよ。人がいなければ成り立たない事業ですので、スタッフの教育にはすごく力を入れています。

最初のころは私の教え子が多かったです。これまで1,000人以上の生徒達を見てきてるんでね。同窓会であったりしたら、今先生辞めてこんなことしてるの、なんて紹介したり。 こちらのスタッフもそんなこんなで今は教室を立派に運営してくれますからね。

私も元先生の教え子で、上坊先生が「目の学校」をされているのも知ってたんですよ。でもどんな事をされているのかは全く知りませんでした。

ええ、上坊先生に一度遊びにおいで！って言ってもらって、意味も解らず教室に来たんです。今子供が2人いるんですけど、子供たちの目のチェックをしてもらったんです。落ち着きがない原因とか、字がうまく書けない理由が分かりました。「目」で本当に変わるんですよね。我が子通じて目の学校を体験し、私もやりたい！と思ったんです。

落ち着きがないとか字が上手く書けない等の症状に対して、目を鍛えてあげると改善されるんですよ。上手にできると、お母さんははしっかりと褒めてあげる。単純な事なんですけど、それの繰り返しなんですよ。

先日なんか、同窓会で会った男の子に、「大学で学ぶ意味が分からない」って相談されて、じゃぁうちで働きなさい。と勧誘しました！私の教育のゴールって、子供が社会に出たときに、どう生き抜いていくか、それを理解して成長してもらえるようにどれだけ情報提供できるかだと思っているんですよ。それを理念としてやって今も教育の現場で仕事しています。

そうですねぇ、2013年に目の学校を開校して今年で3年、昨年は新たに大阪でも2校目も開校しました。子供たちが社会に出たときにしっかりと生きて行ってくれるよう、これからも伝えていくのみですね。そのために教室が必要なら、教室を増やさなければいけませんし、教室が増えるとそこで仕事してくれるスタッフが必要になります、なら、スタッフを育てなければいけません。「目の学校」がまだまだ知られていないなら、講演活動も続けますし、何だってしますよ！

教頭時代に受けたビジョントレーニングの研修をきっかけに、人生が大きく変わったと思います。家族の理解もあり、学校の理解もあり、皆さんのご協力をがあるからこそ今ここまで来れたと思っています。走り続けないといけませんね！

思わないですね。あの時、心に病を抱えて苦しんでいる他の若い先生や保護者、生徒に対して、当時は8割くらい関係のない事をしていたと私自身感じたのでね。中には転職を薦めてあげたい若い先生もいても、伝え方を間違えるとパワハラになりますし。組織の中ではルールがあるので、このまま守って言いたいことを抑えて”違う”と思う仕事を続けると、干物になってしまうと思いましたからね。子供たちに夢をもって社会で活躍してもらえるよう、私も夢をもってそして夢をかなえる見本を見せられるよう、教育の現場で「目の学校」を続けていきますよ！