ミニストップ西尾久2丁目店/萬田伸昭オーナー
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オーナーは現場で頑張らない!二度の経営危機を乗り越えたどり着いた経営のカタチ

東京都荒川区の「西尾久2丁目店」をはじめ、6店舗のミニストップを展開する株式会社オータムの代表取締役 萬田伸昭(まんだのぶあき)オーナー。加盟当時は多店舗展開に積極的ではなかったという萬田オーナーですが、ある危機に遭遇し組織化を目指し、実現させました。その経緯や、現在の働き方などをお話しします。

サラリーマンとして夢を持てずにいた時に誘われたコンビニオーナーの道

ミニストップ6店舗を運営する株式会社オータムの代表を勤める萬田オーナー
脱サラ後に、6店舗のミニストップを展開する法人の代表となった萬田オーナー

「もう1店舗コンビニを出店したいから、東京に戻ってこないか?」——。

16年ほど前のとある日、仙台のインテリアメーカーで営業として働いていた萬田オーナーの元に1本の電話が入りました。その相手は、東京都内でミニストップのオーナーとして働く両親からでした。

「実家は東京ですが、仙台の大学を卒業してからも、そのまま仙台に残って営業として働いてたんです。でも、出世欲もなければこれといった目標もなかったので、生活のためにただ働いているだけで……。両親は電話がある3年くらい前からミニストップに加盟していて、2店舗目をオープンするというタイミングで長男の私に声がかかったんです」(萬田オーナー)

先が見えない毎日を送っていた萬田オーナーにとって、まさにひと筋の光が差し込む出来事……かと思いきや、当時のことを「微妙だった」と振り返ります。

「そりゃあ、家族がいますからね(笑)。妻は仙台の人間ですし、当時は小学4年生と2年生と2歳、3人の子どもがいたので、二つ返事で『イエス』とは言えないですよ。多くはないにしても家族を養えるだけの給料はもらってましたし、経営するってなると最悪の場合、赤字になって家族を巻き込んでしまうことだって考えられますからね。それはそれは不安でした……」(萬田オーナー)

とはいえ、最終的には家族で東京へ移住し、コンビニオーナーとしての人生を選んだ萬田オーナー。そこには、周りからは想像できないさまざまな思いが交錯していたのです。

「そもそもは、母親が定年後もずっと働いていたいということでミニストップに加盟したんです。そんな母親に、妹とトラックの運転手をしていた父親が賛同して家族経営をしていました。年をとっても元気に働く父母を応援したかったのと、私もサラリーマンとして今後のことを考えたときに今が決断するときかな、と。妻と子どもをなんとか説得して16年ほど前に家族で東京に移り住むことにしたんです」(萬田オーナー)

はじめての経営にやる気満々ながらも空回りする日々

独立当初はオーナーとして失格だったと語る
加盟した当初は人材教育やマネジメントができずに苦労したという萬田オーナー

かくして、コンビニオーナーとしての人生を歩むことになった萬田オーナー。コンビニ経営に関するネガティブな印象は一切なく、明るい未来しか想像していなかったといいます。

「オーナーとして一つのお店を自分で経営するなんて、サラリーマンをしていたら経験できないですからね。なので、気持ち的にはやる気満々でした(笑)」(萬田オーナー)

とはいえ、経営の「け」の字も知らない状態でのスタート。現在でこそ東京都内で6店舗を展開する経営者として活躍していますが、「当時はレジ打ちすらまともにできなかった」と振り返ります。

「頻繁にコンビニに行っていたわけでもなかったですし、レジ打ちなんてしたこともなかったので、コンビニオーナーなんていうのは肩書きだけで、ただの素人経営者でしたね(笑)。しかもミニストップにはファストフード(以下、FF)があって……。料理なんてほとんどやったことなかったので、マニュアル通りといっても最初は本当に大変でしたね」(萬田オーナー)

萬田オーナーが苦労したのはそれだけではありません。スタッフのマネジメントに関しても多大なる苦労をしてきたといいます。

「15年間サラリーマンとして働きましたが、出世欲がなかったので昇進試験などもずっと受けなかったんですよ。なので、部下がいたことはなくて、後輩に指導をした経験もほぼありませんでした。マネジメント経験もなしにいきなりオーナーになったので、自分の思い通りにしたいって気持ちが上回ってスタッフに対してもちょっとしたことでイライラしちゃって(笑)。経営者として失格というレベルでしたが、いま思えば、やる気が空回りしちゃってたんでしょうね」(萬田オーナー)

慣れないコンビニ経営に苦戦しっぱなしの萬田オーナーでしたが、売り上げは順調をキープしていたといいます。しかし、そんな状態が続いていたのも束の間のこと……。なんと、母店としていた1店舗目が危機的状況に陥るのです。

「私がオーナーをしていた2店舗目は順調だったんですが、父母が運営していた1店舗目の近くに競合店ができて売上がガクンと落ちたんです。何もなければ2店舗でずっと展開していく予定だったんですが、そうもいかず……。すぐに3店舗目をオープンさせ、そうこうしているうちに、1店舗目は閉店に追いやられてしまいました」(萬田オーナー)

経営者としての覚悟を目覚めさせた最大の危機

現場に入るだけが仕事ではないと思うようになった
危機に直面したことで、経営者が現場中心に動いていてはいけないと気づき組織化を進めていった

オーナーとしては及第点ぎりぎり、そして母店だった1店舗目が閉店するという現実を突きつけられた萬田オーナー。このままではダメだ、家族共倒れになってしまう——。そう考えた彼は、これまでの考えを一新。ある大きな決断をすることになるのです。

「それまでは家族経営の、いわゆる“パパママストア”だったんです。でも、1店舗目の売り上げが落ちた時に、この状態から脱却しないと今後も同じことを繰り返していく。2店舗だけを経営していくなんて考えず、リスクヘッジを兼ねてどんどん多店舗展開していかないとダメだって思ったんです」(萬田オーナー)

そうして、経営者としての自覚が芽生えた萬田オーナーは、家族を巻き込んだ大改革をやってのけるのです。

「ずっと父親が社長だったんですが、この状態のまま経営していくのはまずいということを話し、『俺にやらせてくれないか?』と私が社長になったんです。そして、有限会社から株式会社化したり、ハローワークで社員を募集したり組織を作っていきました。1店舗目が閉店するなど危機的状況に直面してなかったら、もしかしたら今もボケーっと経営してたかもしれませんね(笑)」(萬田オーナー)

その後は、立て続けに出店を続けていった萬田オーナー。これで今後も安心だ——そう思っていた矢先、またしてもある店舗の近くに競合店ができて売り上げがガクンと落ちてしまうのです。しかし、すでに4店舗を展開していただけでなく、ミニストップの“ある特性”が萬田オーナーを、そして彼の家族を助けることとなるのです。

「ミニストップにはFFがあるので、競合店とも差別化ができるんですよ。しかも、手作りのお弁当や量り売りの惣菜を販売する『ホームデリ』があるのも大きくて、ミニストップの中でも最初に始めた方なので、もう10年くらいホームデリを扱っています。やることは増えるので人員確保などは大変ですが、競合店との差別化という意味でも、やっぱり扱うことのメリットは大きいですね。だって、手作りのお弁当と普通のコンビニ弁当だったら、作りたてで手作りを食べたいはずですから」(萬田オーナー)

多店舗展開と同時に萬田オーナーが重要視してきたのが「組織化」でした。これまでの家族経営を脱却するためには、避けては通れない道だったのです。

「それまでは、『スタッフ全員が平等』という考え方だったんですが、それだと一生懸命やってくれてるスタッフが腐っていくな、と。そこで、社員数名に腹を割って会社の状況を伝え、組織化していきたいという話をしたんです。そのためにも、まずは自分が変わらないといけない。独りよがりな経営ではなく、一緒になって頑張ってくれる仲間を増やしていこうと思いました。自分の思いだけでは、お店はもちろん、会社を変えていくのは難しいですからね」(萬田オーナー)

フランチャイズの利点を最大限に活用

数ヶ月に1度棚卸しをする萬田オーナー
現在、萬田オーナーの現場での業務は数ヶ月に1度の棚卸しぐらいだという

現在では、アルバイトスタッフの面接を含めた採用関係から教育に至る部分まで、すべて各店舗の責任者に一任するようになりました。そこには、萬田オーナーの会社員時代の経験がありました。

「社員のモチベーションを上げるという意味でも、会社のモットーや、やりたいことを自分たちで考えて決定し、それを実践してもらうようにしています。そこにオーナーとして関わったり、自分の意見を通すようなことはしていませんね。会社員時代、上司から命令されて嫌な思いを経験してきたので、うちの社員には自分たちで考えて自主的に動くことを楽しんでもらえればと思っています」(萬田オーナー)

また、社員の自主性に任せるために、システムとしてフランチャイズを大いに活用しているともいいます。

「店舗というのは、あくまでもスタッフとSVで運営していくものと考えているので、オーナーの一存で『こうするべき』って決めるのはおかしな話かな、と。本部が運営方法などについて指導してくれて、それに対してロイヤリティを払うのがフランチャイズのメリットですから。本部が提案するツールなどは、一度必ず利用しています。使ったうえで店舗の方針と合わないと感じたら、本部と話をして方向性を決めているんです」

その結果、社員や本部を軸にしたピラミッド型の組織を形成することに成功。萬田オーナーは店舗に立つ必要もないくらいにスタッフたちだけで運営していけるまでになったのです。

「どこかのタイミングでこういった組織化はやらないといけないんですよ。それがいつやるのかって話なだけで。よく、『お忙しいところすいません』って言われるんですけど、全然そんなことないんですよ。会社の代表なので手続きや資金についての処理はありますが、組織化したことで、現場で私がやる仕事はほとんどなくて、各店3ヶ月に1回ある棚卸しに行くぐらい。オーナーがシャカリキに働いてたら、誰もオーナーになりたがらないですからね(笑)」(萬田オーナー)

その後も多店舗展開を進めていった結果、現在は6店舗を展開するまでに拡大。リスクヘッジはもちろんですが、社員やアルバイトスタッフのモチベーション維持、そして彼らの今後のことを考え、必要があれば積極的に多店舗展開していこうと目論んでいます。


オーナーは現場で頑張らない!二度の経営危機を乗り越えたどり着いた経営のカタチ(2019.5.26公開)
※掲載情報は取材当時のものです。



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