パチンコ業界は安泰ではない。30歳までに考えていた新たな挑戦
パチンコ事業は安定こそしているものの、業界の先行きは決して安泰ではない。30歳を前に新たなチャレンジへ打って出たい――。そう考えていたのは、兵庫県神戸市で、30年以上続くパチンコ店で営業部長を務めていた新井オーナー。
周りの同業者をみると、フランチャイズの仕組みと所有している土地を活用したコインランドリー事業などが流行っているものの、果たしてコインランドリー事業を始めるのにフランチャイズに加盟する必要があるのか、という疑問を持っていたと言います。そんななか、情報収集を兼ねて訪れた日本最大級のフランチャイズの商談イベント『フランチャイズ・ショー』で、BBQ太郎と運命的な出会いを果たすのです。
「具体的に何をしようかまでは考えていなかったので、本当にフラットな状態で個人的に興味のあった飲食FCなどを中心に本部に話を伺いました。中古販売事業もいいかなと思ったんですが、ロイヤリティや投資が高すぎたり、持ってる土地を有効活用できるかで考えたとき、決め手に欠ける印象でした。そんななか話を聞いたBBQ太郎の『事業内容に興味を持ち、フランチャイズ1号店になれる』という誘いに魅力を感じたんです」(新井オーナー)
一般的に言えばフランチャイズ1号店に不安を感じる人は少なくありません。まったくの異業種である、BBQ太郎に魅力を感じた理由を『共に成長できるフランチャイズだったから』と新井オーナーは言います。
「フランチャイズのイメージは、ルールが厳しく営業方針に自由が無いのものと思っていましたが、本部もフランチャイズ展開に関してはこれからということで、共に手を取り合いながら、成長させていくことができるんじゃないか、と思いました。本部の方からも、同様の姿勢を感じることができたので、加盟店としての成功例を作り上げたいと思いました」(新井オーナー)
こうして、新しいチャレンジを探して訪れたフランチャイズ・ショーで出会ったBBQ太郎。本部と加盟店がタッグを組み、BBQ太郎のフランチャイズをゼロから創っていくことになったのです。
開業当初の『本当に需要があるのか』という不安を払拭する忙しさ
BBQ太郎で初めてのフランチャイズビジネスに挑戦し、2018年7月の初現場を経て約1年を迎えた新井オーナー。この間、これまでのパチンコ店営業とは異なる苦労や魅力に出会えたと言います。
「開業当初の依頼は0件の週も少なくなくて、配達の仕事が入らず実際の配達の流れや段取りもつかめない、という不安のなかポスティングをしたり、会場の下見などをしていましたが、電話のならない時間が長く怖かったです」(新井オーナー)
じつは、自身もBBQケータリングサービスの利用経験がなく『BBQは業者に依頼しなくても、自分達でできるのでは?』と思っていた節があったという新井オーナー。そうした背景からも、開業当初の依頼が少ない状況に不安を隠せなかったといいます。しかし、その不安も、少しずつ入り始めた依頼で吹き飛ぶことになるのです。
「BBQというと、学生だったり家族だったり、休日の遊びとしてのイメージがありました。でも実際に開業してみると、法人のレクリエーションでの利用や福利厚生の一環で、という問い合わせが多かったことには驚きました。小人数のBBQであれば自分達で機材を持ちよってできますが、会社行事等の大規模イベントになると、手間も少なくないことから私たちのBBQケータリングサービスに対する需要が高くなると実感しました」(新井オーナー)
その後夏休みに入ると依頼も急増し、全くといって余裕がない日々に突入。そうして軌道に乗り始めた新規事業。BBQ太郎のBBQケータリング事業の魅力を新井オーナーは次のように語ります。
「異業種ということで未経験スタートだったんですが、本部の研修を受けていても難しいことって何もなかったんです。現場に少し早めに着いて、重たいものを運んだり、炭に火をつけるたりと、作業自体はとても簡単なことばかり。でもその準備や片付けって意外と大変ですよね。だから、利用者の方にすごく感謝されるんです。もちろん失敗することもありますが、BBQが終わる頃には利用された方々に笑顔になってもらえます。そんな仕事なのでやってて嬉しいし、やりがいがありますね」(新井オーナー)
そうして順調に売上を伸ばしていったBBQ太郎神戸店。じつはその裏には、コツコツと積み重ねたある取り組みがあったのです。
一つひとつの地道な取り組みで、カタチを創り成功を手繰り寄せる
「最初は効果的な宣伝手段がわからず、待ちの時間が長くなっていましたが、利用してくれたお客さまに当日の記念写真付きの手紙を送ったり、一件一件の現場を大事にこなしていくことで、徐々にリピートや紹介を増やすことができました」(新井オーナー)
とにかく情報発信が重要という本部が用意してくれているBBQ太郎公式ページにある各店舗のブログ。その運用を担当する福田さんに頭が上がらないと新井オーナーは言います。
「福田さんが一緒になってBBQの記事のアイデアを考えたり、実際に記事を書いてくれたので、一人ではないと活力がでました」(新井オーナー)
福田さん:「右も左もわからなかったんですが、苦戦しながらもアクセス数で全店舗のトップを目指して、鮮度の高い記事をたくさん投稿しました。すると、他の後輩加盟店さんから『参考にします!』という声を頂けたり、Google検索でも上位に表示されるようになったりと、一つずつ積み重ねていったことは決して無駄にはならないんだ、ということを実感しました」
しかし、順調にリピートを獲得していく一方で、不慣れが故の苦戦もあったと語ります。
「神戸は平均したら10〜20人ぐらいの案件が多いんですが、大きい現場では100人以上の方が来ることもあります。こうした大型案件をいかに獲得していけるかが、売上を伸ばす上で非常に重要になってきます。今は慣れてきましたが、最初の頃は案件のとり方や人材リソースの割き方に苦戦しました」(新井オーナー)
そうして苦戦をしながらも、ピークの8月を乗り越えたBBQ太郎神戸店。その後も神戸を中心とした兵庫県での実績を着実に積み上げ、更なるチャレンジとして大阪の北エリアを追加契約。サービスエリアの拡大に向けて動き始めるのです。
「関西で事業を行う上で、大阪は必ず押さえておかなければならないエリアです。BBQ太郎の事業を始めてから、車代や人件費、設備代など諸々で1,500万円ほど投資しましたが、大阪での事業を軌道に乗せることができれば、一年以内の投資回収も難しく無いと思います」(新井オーナー)
BBQ太郎の成長とともに続いていく新井オーナーの挑戦
大阪への増店を果たし投資回収も見えたという新井オーナーですが、季節要因の大きいBBQビジネス故に皆にこぞって尋ねられる質問があると言います。
「BBQ事業って冬場はどうしてるの?ってよく聞かれますね。秋口は法人様からの大型案件依頼を多くいただいたのですが、それを過ぎると依頼は少なくなります。ようやく休めると思っていた矢先、本部から新たな『餅つき』の提案を受けました。寒いなかでの餅つき……、正直あまり乗り気ではなかったんですが、やってみたら意外と楽しくて驚きました」(新井オーナー)
どちらかと言うと積極的ではなかった餅つきですが、じつは『楽しい』以外にも多くのメリットがあったのです。その1つが事前の打ち合わせ。餅つきの場合は、事前に入念な打ち合わせを行うため、お客さまと信頼関係を築くことができ、夏のBBQの依頼を受けることもできました。そして2つ目は、会社の敷地内での開催が多くBBQと異なり場所取りの必要がない点。3つ目は、大人数での利用度が高く、売上に貢献したという点でした。
「もちろん餅つき事業一本で大丈夫とまでは言えませんが、BBQの冬場の落ち込みをカバーするには十分でした。また冬場については、本部が推奨している餅つきの他に、知人がスキー場を経営しているので、冬はウィンタースポーツ事業というのも面白いんじゃないか、と考えています」(新井オーナー)
未経験のチャレンジでありながら、フランチャイズ1号店を軌道に乗せるだけでなく増店まで果たした新井オーナー。現在15店舗と拡大しているBBQ太郎の後輩加盟店や未来の加盟店へのアドバイスを次のように語ります。
「本部が福岡ということで、関西ではちょっと……みたいな部分のローカライズだったりを提案すると、そのまま挑戦させてもらえたりと自由が利く面は確かにありますが、まずは基本に忠実にしてほしいです。BBQケータリングサービスと聞くと、新しいもののように感じてしまうかもしれませんが、お客さまと相対し、満足してもらうという商売の基本は変わりません。だからこそ相手を喜ばせられるように、しっかりとサービスを磨き上げることが大切だと思います」(新井オーナー)
30歳までに考えていた新しいチャレンジとして『BBQ太郎』のフランチャイズを選択した新井オーナー。その挑戦は始まったばかりと言っても過言ではありません。40歳までには長年の夢という焼肉店の経営にもチャレンジしたいと言います。
今後もさまざまな取り組みで、フランチャイズ1号店としてBBQ太郎を、そしてBBQケータリングサービス業界全体を盛り上げて行ってくれることでしょう。今後の活躍から目が離せません。
※掲載情報は取材当時のものです。