一般社団法人士業フランチャイズ支援協会 代表理事 税理士 原川 健
プロが教える節税対策まとめ

役員報酬に関する節税

所得税率を考慮して報酬を設定する

個人の所得税の計算は、超過累進税率を採用しており、収入が増えれば増えるほど、適用される税率が高くなります。最高税率はなんと45%です。さらに自治体ごとに異なりますが、住民税の税率が付加されることになります。超過累進税率を全く考慮せずに役員報酬を設定してしまうと、税負担が大きくなる可能性があります。

中小企業においては、会社に利益を残さないような金額に役員報酬を設定し、個人で利益をすべてとりきってしまうことも、効果的な節税方法のひとつとされています。ところが、この超過累進税率により、場合によっては役員報酬を上げすぎない方が、法人と個人のトータルで見た場合、得策であることもあります。法人税の実効税率と個人所得税の実効税率とを総合的に検討し、役員報酬を設定しましょう。


役員報酬をギリギリに設定する

役員報酬を支給しなかった場合の1年間での会社の利益が800万円見込める場合、役員報酬を支給した方がよいか、会社にお金を残した方が良いか、税負担を比較検討してみます。

1,役員報酬を年800万円に設定したケース
会社の利益が0円になるため法人税などの会社負担の税金はありません。一方、個人の所得税や住民税は、給与収入が年800万円となり、ご本人の家族構成などで変わってはきますが、実効税率15%程度と仮定して、税負担は約120万円です。

2,役員報酬を0円に設定したケース
会社の利益が800万円残ることとなり、実効税率30%程度と仮定して、税負担は約240万円です。一方、個人の所得税や住民税は、給与収入が0円のため、税負担はありません。

上記のように、倍以上もの税負担の差が生じる場合がありますので、役員報酬の金額は慎重に設定する必要があります。


役員を使用人兼務役員にする

役員に対する賞与は、事前確定届出給与または利益連動給与に該当しない限り、経費として認められません。しかし、役員であったとしても使用人兼務役員という立場であれば、その使用人分に対する賞与を経費として計上できます。

使用人兼務役員とは、役員のうち取締役営業部長など使用人としての職務をもつ者をいいます。ただし、使用人兼務役員になれる条件や、使用人分の賞与が経費として認められるための条件があります。また、使用人兼務役員である旨を書面で証明できるようにしておくことや、使用人兼務役員であることを客観的に認定させるための様々な条件があります。

上記のような条件を満たす必要はありますが、役員であっても賞与を支給することができ、節税につながるということと、役員の更なる勤労意欲を向上させることができますので、是非検討してみてください。


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