串かつマル 都立家政駅前店 丸山弘幸オーナー
串かつマルのロゴ

早期退職で異業種飲食の世界へ。自分達が楽しむをモットーに串かつ屋経営に挑戦

アパレルの営業として迎えた50歳。視界にちらつく定年退職、その後の人生について改めて考え直した結果、独立を決意した丸山弘幸(まるやま・ひろゆき)。飲食経験のない彼が、なぜ「串かつ屋」で独立したのか。その背景と、そこに至るまでの険しい道のりに密着します。

17年間勤めた会社が縮小傾向に——老後を考えて50歳の時に独立を検討

アパレルのイメージ
17年に渡りアパレルの営業職として勤務していた前職時代

定年を前にこのままでいいのだろうか——。

多くの人は、60歳や65歳という年齢を節目に、「定年退職」を余儀なくされるケースがほとんど。そんな時に脳裏をよぎるのが、定年後の人生です。少子高齢化が加速する一方で、公的年金の財政難が不安視される現在。年金を頼りに20年以上も続く老後を生き抜くことに不安を覚える人は少なくありません。

52歳で早期退職、いわゆる脱サラで2017年6月30日に「串かつマル 都立家政駅前店」を独立開業した丸山弘幸もそのひとりでした。開業を遡ること2年前、50歳を迎えた丸山は自身の老後について考えざるを得ない状況に直面します。

「アパレルの営業として17年間勤めていた会社の業績がどんどん落ち込んでいきました。定年まで働きたかったんですが、業界の背景として致し方ない部分もあり……。転職も考えたんですが、大企業でさえも安心して働ける世の中ではありません。であれば、一念発起して起業しようと考えたんです」(丸山)

そんな彼が見つめる先には、「飲食業」という選択肢しかありませんでした。その理由は、丸山が14歳のときに死別した父親の存在にありました。

「父親が居酒屋を経営して、小さい頃からお手伝いをしていたんです。継いで欲しいという思いもあったみたいですが、亡くなってからお店を閉めてしまったので叶いませんでした。そういうのもあり、飲食への抵抗みたいなものは全然ありませんでしたね。しかも妻に話したら『お義父さんがやってたんだから大丈夫。やるなら早いうちじゃない?』と言ってくれて。飲食の経験なんてないですし普通は反対されるのがほとんどですが、周囲の後押しもあったので……」(丸山)

そうして独立への一歩を踏み出した丸山でしたが、開業するまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。

FCを検討している中で出会った、飲食コンサルが手掛ける串かつライセンス

「串かつマル」の串かつ
本場・大阪にも引けを取らない「串かつマル」の串かつ

独立を考える以前から、フランチャイズでの副業を検討していた丸山は、迷わずフランチャイズでの独立を目指します。そこで注目したのが、海鮮丼と食パンのフランチャイズチェーン。

「近所にもあって、低投資という意味で気軽に開業できるかな、と。将来的に沖縄移住という漠然とした夢があり、今のうちに飲食経験を積んでいれば、その時になって幅広く活用できると考えました。とはいえ、飲食の経験がないので、ネットでいろいろ検索している時にたまたま見つけたのが、飲食のコンサルを手掛ける『コロンブスのたまご』でした。詳しく見ていると、飲食店開業に関するセミナーを開催するということで参加させてもらいました」(丸山)

その後、飲食業界の将来性やメリット・デメリットを個別で相談するなど、独立への道が本格化していった丸山に、運命的な電話が鳴るのです。2016年の夏頃でした。

「コロンブスのたまごの社長から、『実は、串かつ屋のライセンスを提供している』というお話をいただきました。飲食のプロ集団が手掛けている串かつ屋ということで、とても興味深かったこともあり、後日、串かつの試食をさせていただくことになったんです」(丸山)

そうして串かつの試食会場を訪れた丸山は、その1年後に「串かつマル 都立家政駅前店」をオープンするきっかけとなった衝撃的な体験をすることになるのです。

「試食させていただいた串かつがとにかくおいしくて。食べ歩きが趣味の父親にいろいろなお店に連れていってもらっていたので、舌は肥えているほうだと自負しているんですが、確認する意味でも、その後、自分の足で他店の串かつを食べ比べたんです。すると、どのお店にも負けないのはもちろん、真似できる味ではないな、と。競合が多いゆえ、商品力が高くないと勝ち抜くことはできませんが、この串かつであれば十分に差別化できると確信しました」(丸山)

さらに、丸山が「串かつマル」にライセンス契約をする大きなきっかけとなったのは、運営母体であるコロンブスのたまごにあったのです。

「コロンブスのたまごは、飲食専門のコンサルティング会社です。開店や開業支援はもちろん、業績が悪化している飲食店をいくつも黒字化してきた実績があります。そんな会社とのライセンス契約ということで、はじめての独立開業でも不安なく経営していけると感じました」(丸山)

かくして丸山は、「串かつマル」にエントリー契約することになるのです。衝撃体験をした試食会から数ヶ月後の2016年9月のことでした。

在職中の物件探しに苦戦——オープンに向けて始動も想定外の出来事が続出

串かつマル 都立家政駅前店
都立家政駅から徒歩10秒の好立地に位置する「串かつマル 都立家政駅前店」

その後、物件探しに独立開業の駒を進めた丸山に、予想もしていなかった大きな壁が立ちはだかります。

「自分でも不動産屋を40社くらいまわったんですが、納得のいく物件が全然見つかりませんでした。どうせ自分のお店を持つのであれば、『あの時こうしておけば……』などと後悔したくなかったというのもありますが、ようやく納得いく物件に出会えたのは2017年2月のこと。かれこれ4〜5ヶ月は物件探しに時間を費やしました」(丸山)

そうして、2017年4月に「串かつマル」で本契約を済ませ、その1ヶ月後にあたる5月には、17年間勤めた前職を退社。6月中旬からは開業前研修がスタートすると、飲食未経験者である丸山ならではの苦悩を感じることになるのです。

「研修では、ビールの注ぎ方からサーバーのセッティング、衛生面、串かつの揚げ方や盛り付け方、お客様への提供方法などを一から教えていただきました。今まで経験がなかったということもあり、研修中に飛び交う業界用語などに苦戦してしまって……。全てマニュアルがあるのでその通りにやれば問題ないんですが、慣れるまでは大変でした。ただ、味には自信を持っていたので、オープンしたら確実にお客さんは入ると確信していました」(丸山)

苦悩を感じながらも研修を終えた丸山が「串かつマル 都立家政駅前店」をオープンしたのは、2016年6月30日のこと。そんな「串かつマル 都立家政駅前店」でしたが、オープンするやいなや想定外の出来事が頻発することになるのです。

「オープン直後は予想以上にお客さんが殺到して……。当初は夫婦2人で経営していこうと思っていたんですが、すぐに手が回らなくなってアルバイトを1人採用しました」(丸山)

また、都立家政駅の駅前という立地上、早い時間に来店するお客様をターゲットに16時オープンに設定します。しかし、これも想定が見事に外れることになるのでした……。

ライセンス契約の自由度を活かし、お客様の属性に合わせて柔軟に変化

串かつマル 都立家政駅前店の店内
ライセンス契約ゆえ、椅子やテーブルなども自由に決めてOK

「この周辺は住宅街で、昔から住んでいる方が多いので、シニア層のお客様が多く来店すると予想していました。しかし、ふたを開けてみたら女性の1人飲みや20代カップルのお客様が多く、急遽17時半オープンに変更することにしたんです。串かつ屋ということで男性客が圧倒的に多いと思っていたんですが、実際は4割くらいが女性客。それに伴い、ユニフォームをカジュアルなものに変更するなど、お客様に合わせたお店作りをしています」(丸山)

その時に功奏したのが、丸山が「串かつマル」と契約をする上で大きな決定打となった「ライセンス契約」でした。フランチャイズ契約とは違って制約がほとんどなく、オーナーの裁量に任せられる部分が大きいのがライセンス契約の特徴です。

「オリジナルの事業で独立するのと変わらないくらいの自由度があります。『串かつの定番メニュー』と『ころも』『指定のソース』を使っていれば、ドリンクやサイドメニュー、お店の内装なども自由に決められるんです。若い頃から妻と飲み歩くのが趣味なので、『こんなのを出したらお客さんが喜ぶのでは?』という会話からメニューが決定することもよくありますよ。趣味が仕事に活かされているので、その境目が分からなくなっていますね(笑)」(丸山)

そんな「串かつマル 都立家政駅前店」の1ヶ月目の売り上げは、丸山の予想を上回る130万円。

「8人しかお客さんが来店しない日があれば、30人以上も来店する日もあります。まだオープンして間もなく、よく分からないので、いちいち一喜一憂せず、現実を受け止めて1つひとつ改善していければな、と。そんな時に頼りになるのが、運営母体である『コロンブスのたまご』なんですよ。FCみたいに店舗専属のSVこそいませんが、相談をすれば親身に乗っていただけます。飲食のプロなので、本当に安心して経営に集中できていますね」(丸山)

オープンから2ヶ月が経過した現在、すでに多くのリピーターが賑わうお店へと成長を遂げている「串かつマル 都立家政駅前店」。中には、この2ヶ月の間に8回も来店するお客さんがいるほど。

楽しんでお店を運営していれば、それが自然とお客様にも伝わる。そして、自分たちはもちろん、お客様からも愛されるお店になっていく——。そんな思いを胸に、「串かつマル 都立家政駅前店」は地域に根付いたお店を目指し続けます。


早期退職で異業種飲食の世界へ。自分達が楽しむをモットーに串かつ屋経営に挑戦(2017.11.10公開)
※掲載情報は取材当時のものです。



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串かつマル 都立家政駅前店 丸山弘幸オーナー

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