私がコンビニ支援を始めた理由

2015-04-16  専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 社会保険労務士・人材育成トレーナー 安紗弥香

コンビニ業界を専門に活躍する社会保険労務士の安氏がなぜ、コンビニ業界に特化したビジネスを始めたのか。ディズニーの店舗マネジメント業からコンビニ業界へ転向した異色の経歴をもつ彼女のバックグラウンドがわかるコラムです。

フランチャイズWEBリポート編集部

こんにちは、コンビニ社労士、人材育成トレーナーの安紗弥香です。
「コンビニ経営」に関するテーマで、コラムを担当いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。

第1回は、私がコンビニ支援を始めた理由について、自己紹介とあわせてお話したいと思います。

ディズニーからコンビニへ〜コンビニって面白い!〜

私はもともと、小売・サービス業出身です。業界の経験年数はかれこれ15年になります。

大学在学中からディズニーストアという小売店で働き始め、そこでディズニーならではのゲストサービス(接客)を学び、実践していました。

大学卒業後ほどなくして、学生アルバイトから店舗マネジメントを任される契約社員に昇格し、接客の楽しさだけでなく、キャストとのチームワークやコミュニケーションを積極的にとることの大切さを実感できたのですが、3年目に、転機が訪れます。それは、コンビニ業界出身の方が、私の直属の上司として赴任してきたことでした。

「売上を作るには、確かに接客も大切だけど、売場作りをいかに行うかで、ゲストの購買意欲に変化が出る」

「売場を整える、売れたら補充する。たったそれだけのことで、視認率が上がる」

「商品の発注や売場作りは、天気、気温、周辺のイベント情報をちゃんと見て行うことが重要だ」

「特にケーキ屋は情報をシビアに見て商品を揃えているからね。小売業に携わるなら、そういうところにも目を向けておかないとね」

上司は次々と、コンビニチェーン本部でスーパーバイザーを担当していた時に得た情報取得および活用のノウハウを、惜しげもなく私に示してくれました。

いわゆる『接客バカ』だった私にとって、天気や気温の情報が人の行動心理に大きく影響する、というのはもちろん、ディズニーの売場でケーキ屋の動向が参考になる、というのは、私にとってはものすごく衝撃的でしたし、コンビニ業界に興味をもつきっかけになったのは、まさにこの一言だったのだと、今でも思います。

コンビニって面白そうだな…!

気づけばディズニーでスキルアップをはかるよりも、コンビニ業界で店長として働き、お店の経営指導に当たれたらいいな…と思うようになっていました。

ディズニーストアで働き始めて5年、ちょっとした紆余曲折を経て、とあるコンビニチェーン本部への転職が決まりました。

コンビニって簡単だと思ってました…

コンビニチェーン本部に転職し、最初に配属されたのは、なんとオーナー・店長研修を行う教育部。これからコンビニ店舗を開店するオーナーや、オーナー店で働く店長候補者を対象に、業務習得やトレーニング方法、売場や人材マネジメントなど、経営に関する全般知識と経験を積むためのトレーナーとして、配属されたのです。

それまで、ディズニーのキャストやマネジメントを行う管理職の一員として働いてきた私が、いきなりオーナー研修を担当…。コンビニはフランチャイズの仕組みであり、研修に来る人はみんな、自分の資金で経営を行っている経営者です。しかも、私は入社したばかり。業務のことをまるで知らない…。

もちろん、すぐに研修に登壇させられるようなことはなく、最初は近隣の研修店舗で朝から夕方まで修行をすることを求められました。そこで気づいたことは、コンビニの仕事って、とても楽そうに見えていたのが、実はとても大変だったということ。楽に見えていたのは、熟練したスタッフがいとも簡単にこなしていたからなのでした。

だからこそ、私はトレーナーとして赴任したのだから、すぐに業務を習得して、教えられるようにならなければならない。幸い、ディズニーでトレーニングは豊富に経験できていたので、あとは業務をしっかり自分のものにして、教えられるレベルまで自分自身を鍛え上げるしか道はない、と覚悟を決め、積極的に接客、発注、クリンネス業務を習得していきました。

コンビニで働く人になぜ光が当たらないのか…

コンビニチェーン本部で私が担当した業務は、オーナー研修以外にも、社員研修、新店の立ち上げサポート、新業態店舗の業務マニュアル作り、バイヤーのサポート、店内イベント企画と取引先との交渉など、多岐に渡りました。コンビニ業務にとどまらない経験ができた、というのはもちろん有意義だったのですが、コンビニ一つを経営・運営するのに、こんなにも多くの人が絡むのか…ということのほうが、気づきとしては大きなものになりました。

また、コンビニは最先端のシステムを構築し、加盟店に提供、加盟店もそれを活用して店舗を経営・運営しています。その最新の情報を仕入れるべく、私の所属するところにもたくさんのマスメディアが駆けつけました。でも、放映されるのは、いつもその仕組みや体制の話ばかりです。

研修を行っていても、なぜ『人』にフォーカスされないのだろう…最新の仕組みをフルに活かしてお客さまのあらゆるご要望に応えているのは『人』なのに。いつしか私は、そんなことを思うようになっていました。

そしてその疑問は次第と、社内でいち研修担当として従事しているだけではきっと解決できない、これまでの人材育成の経験と社労士資格を生かして、中からではなく、外部から、本部社員にとらわれない形で、コンビニに関わる『人』を多方面からサポートしたい、という気持ちに変わっていきました。具体的には、人材育成、労務管理、事業承継など。それはもちろん、加盟店だけでなく、本部も対象です。

先にそうしたサポートを行っている方がいるかどうか調べてみると、人材育成だけ、社労士だけ、加盟店だけ、というような方はいても、トータルサポートの活動は誰も行っていません。

それなら、自らその立場に立って活動することで、多くの店舗で働く方々、本部で働く方々の『本当の幸せ』や『やりがい』を応援したい。そして、お客さまや取引先含め、人が集まる場所、生活に欠かせない場所として、コンビニがさらに機能するよう、志を同じくする専門家に呼びかけて、一緒に行いたい、と思ったのです。

メディアも有効活用して、これまでにないサポートを行っていく

意を決して、私は2013年に独立。それから現在に至るまで、コンビニオーナーの人事・労務サポートや、派遣会社のスタッフ育成研修を行っています。また、協力してくださる方を集め、思いを行動に移すために、テレビ出演、コンビニ関連の記事の執筆、書籍の出版など、積極的にメディアを活用して情報発信を行っています。このコラムもその一つです。

挑戦はまだ始まったばかりですが、情報発信を続けた結果、多くの素晴らしい協力者との出会いに恵まれ、少しずつその体制は整いつつあります。
すべては、コンビニに関わるすべての方々の幸せのために。私は、残りの人生をかけて、形にしていきます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
次回は、「経営統合に伴うオーナーの影響」について触れていきます。

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