イタリアン食堂店内に立つミアン サミ
イタリアン食堂のロゴ

加盟したFC本部への絶望を糧に——「イタリアン食堂」が創造する新たな飲食FCとは

株式会社エイジー・エムがフランチャイズ展開する「イタリアン食堂」。釜で焼き上げる本格ナポリピザや、厳選したワインなどをリーズナブル価格で提供するイタリアン料理のお店です。2017年に本格的にフランチャイズ展開するまでには相当の期間を要しました。その背景を当社の代表取締役、ミアン サミがお話します。

フランチャイズに加盟して絶望した現実……

株式会社エイジー・エムの代表取締役ミアン サミ
株式会社エイジー・エムの代表取締役ミアン サミ

「コンビニエンスストア」「飲食店」「コインランドリー」……。

見慣れた街の風景には、フランチャイズの店舗が意外と多く並んでいるもの。そもそも「フランチャイズ」は、商品やサービス、看板などを使用する権利、そして財務管理やスタッフ教育などの経営ノウハウを提供するかわりに、対価として加盟金や毎月のロイヤリティを支払うことで成り立っている経営システムのことをいいます。

つまり、まったくの未経験や異業種からの加盟でも早期に事業を立ち上げられる、というメリットがあります。また別の角度から考えれば、フランチャイズ本部を構築しようと考えた際、それ以前に何かしらのフランチャイズに加盟することで、オーナー視点からフランチャイズ本部のノウハウを学ぶことだってできるのです。

当社が「イタリアン食堂」を事業展開する以前、「ヤキタテピザ佐野」に加盟したのも後者が理由でした。

「それまではずっと金融の世界で働いていたので、フランチャイズはもちろん、飲食業界のことが何も分からなくて……。そこで、まずはフランチャイズオーナーという立場でいろいろ勉強させてもらうことにしたんです」(ミアン)

ところがどうでしょう?

すでに成功しているフランチャイズという前提で加盟したはずが、ミアンのイメージを大きく下回る運営体制に、「期待してたものと違った」と当時を振り返ります。

「加盟する以前は、フランチャイズ本部に対してしっかりしているイメージを持っていました。しかし、加盟してみたら想像と違うことがたくさんありました。たとえば数字。シミュレーションの数字と実際の数字に予想以上の乖離がありました。また、スタッフ採用に関しても、本部の助けがあってもなかなか人が集まらないなど、自分のイメージしていた店舗運営と実態は異なりました。」(ミアン)

「ヤキタテピザ佐野」ではなく、新たな業態でフランチャイズ本部を構築

イタリアン食堂の本部(株式会社エイジーエム)の経営理念
イタリアン食堂の本部(株式会社エイジーエム)の経営理念

フランチャイズ本部の運営ノウハウを学ぶつもりで加盟した当社でしたが、実はオーナーの裁量によるところが多かったのです……。しかし、それも学びのうち(!)。自身がフランチャイズ本部を構築する際の材料として蓄積していきます。

「本部に100パーセント頼ることができず、自分たちの判断でやらないといけないことが多かったことは、いま思えばとてもためになる出来事でした。この経験をもとに、自分がフランチャイズ本部を構築する際は、加盟店オーナーに私たちと同じ思いをさせてはいけないと強く感じましたね」(ミアン)

試行錯誤しながらも、「ヤキタテピザ佐野」のフランチャイズオーナーとして新鮮な毎日を過ごしていたミアンでしたが、目標はあくまでもフランチャイズ本部を構築すること。そして、そこから優秀な経営者を輩出すること——。

そんなミアンは、加盟からほどなくして、大胆な戦略を打ち立てることになるのです。それは、「ヤキタテピザ佐野」を本部ごと買収するというもの。そして、将来的には100店舗ほどを展開するなど、壮大な構想を作りあげるのです。しかし、ここで大きな壁が立ちはだかります。

「加盟してから気づいたんですが、熱々のピザを提供するピザ屋では、季節的な要因が直接売り上げに関係してきます。また、平日のランチにピザを食べる食文化が浸透していないことなどから、収益予測が立てにくいんです。つまり、ピザだけで事業を拡大していくのは難しいことが分かりました」(ミアン)

その後、マーケットのリサーチを繰り返したミアン。すると、ある解決策が浮上します。

「個人の方が経営するイタリアンのお店はそこら中に溢れていますが、実際に行ってみないと味は分からないんですよね。ですが、値段もそれなりなので、入りづらいというのも事実。もちろん、安くておいしいイタリアンのお店もありますが、決して多くないというのが正直なところ……。そこで、ヤキタテピザ佐野のメニューをボリュームアップさせることで、安くて美味しいイタリアンのお店を100店舗作ろうと考えたんです」(ミアン)

メニュー考案から1年、「イタリアン食堂 五反田店」がオープン

女性からも好かれるメニューのイメージ
女性からも好かれるメニューも多くラインアップ

舵を大きく方向転換させることでゴールが明確になったミアンは、外部へコンサルタントを依頼するなど、本格的にメニューの考案に取り掛かるのです。高くておいしいイタリアンのお店を作るのはそう難しくありませんが、安くて大衆から愛されて、かつ季節的、時間的な要因により売上が左右されないイタリアンのお店でないといけません。

「どの時間帯にお客さんが来店されたとしても、何らかの需要があるように偏らないメニュー構成にしています。さらに、季節にも左右されないメニューの考案に成功しました。それでいて、客単価はランチが800円〜900円、ディナーでも2000円〜2500円で抑えるなど、リーズナブルな金額に設定しています。その結果、週に2000円〜3000円のお小遣いしかないサラリーマンの方でも、週に1度は来ていただけるようなメニューになっています」(ミアン)

その背景には、ミアンが以前からイタリアン料理のお店に抱いていたある違和感が色濃く反映されています。例えばそれは、お店が提供するドリンクの値段。

「個人的にですが……イタリアンのお店に行くと、だいたいのお店は小さいグラスのビールが600円だったりコーラが400円だったり。自動販売機がすぐそこにあるのに、3〜4倍の値段を払ってオーダーしないといけないことに違和感を覚えていて……。これと同じことをやってはお客さんに失礼だと思って、ビールは380円、ワインは480円、ソフトドリンクも200円そこそこの値段に設定しています」(ミアン)

こうして、実に1年にもおよぶトライ&エラーを繰り返して、安くておいしい、大衆から愛されるイタリアンメニューの考案にこぎつけるのです。そして、すべてが整った2016年5月にオープンさせたのが、「イタリアン食堂 五反田店」なのです。1〜2週間に1度は気軽に来店できるようなお店という意味を込めて「イタリアン食堂」と名付けました。

そんなミアンの思惑が的中し、多くの飲食店がひしめく五反田において、多くの有名メディアにも取り上げられる人気店に躍り出るのです。

人気店となった直営店のノウハウをもとに「温かみのあるフランチャイズ店」を全国展開へ

イタリアン食堂の直営2号店となる蒲田店の外観
イタリアン食堂の直営2号店となる蒲田店の外観

1年にもおよぶ長期間の構想を経て、見事に人気店を築き上げたミアン。しかし、目標はあくまでも「イタリアン食堂」で100店舗展開すること。そのためにもこの五反田店は、実験の場に過ぎないと言います。

「五反田店は机上で作ったお店がうまくいくか実証するためのお店。売上などの数字は問題なくクリアしましたが、では、それ以外の要素は果たしてどうだったのか。直営のお店を10店舗も20店舗も展開しようとしているわけではなく、フランチャイズという手法を使って優秀な経営者を育てるのが目的です。そのためには、五反田店で改善点を見極める必要があったのです」(ミアン)

この時点で十分にフランチャイズ展開する実績を作ったミアンですが、五反田店での改善点を糧に、実験の場となる直営2号店を、大田区は蒲田の地にオープンさせるのです。2017年1月のことでした。

「ヤキタテピザ佐野の加盟店オーナーとしての経験から、フランチャイズ展開するまでにはかなり慎重に歩みを進めました。初期投資も安いうえに十分な利益も出ている。さらに、経営指導やマインドトレーニングまでしてくれるフランチャイズ本部はないのでフランチャイズ展開しても大丈夫。そうコンサルの方からも言われていたのですが……。まだ十分なノウハウやマニュアルもなかったので、蒲田店をオープンさせることにしました」(ミアン)

そうして蒲田店をオープンしてから半年が経過した2017年7月現在、当社ではフランチャイズ展開するにふさわしい十分な手応えを感じています。

「ヤキタテピザ佐野での3年と、五反田店・蒲田店で多くのトライ&エラーを繰り返してきました。20店舗や30店舗を展開する同じ規模の業態と比較しても、圧倒的なノウハウがあります。また、フランチャイズでありながら、『イタリアン食堂 佐藤』『イタリアン食堂 鈴木』など、屋号にはオーナーさんの名前を入れられます。ですので、フランチャイズの安心感だけでなく、オーナーさんのオリジナリティを打ち出せる飲食ブランドだと自負しています」(ミアン)

まだまだフランチャイズ展開がスタートしたばかりの「イタリアン食堂」。 飲食業界の常識に縛られない発想とチャレンジで、いい意味でFC店らしくない、地域に密着したお店というブランドコンセプトを掲げています。安くておいしいだけではなく、食の安全を確保するために生産段階から明確にする「トレーサビリティ」を徹底することで、安心して集えるお店を加盟店オーナーと共に目指し続けます。


加盟したFC本部への絶望を糧に——「イタリアン食堂」が創造する新たな飲食FCとは(2017.9.11公開)
※掲載情報は取材当時のものです。



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