ベネッセHD原田泳幸CEOが退任!進研ゼミリニューアルとクラスベネッセのFC展開事情

フランチャイズWEBリポート編集部 |2016年05月12日 公開 (2021年11月18日 最終更新)
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画像は【日本経済新聞「プロ経営者」受難の時代 原田ベネッセ社長退任』より引用】

2016年5月11日、ベネッセHDの原田泳幸会長兼社長が1ヶ月後の6月25日に退任し、福原賢一副社長が社長に昇格する人事案が発表されました。セブン&アイHDのトップ人事ニュースに続き、ベネッセHDのトップ人事が行われた理由と原田氏時代に行われた通信教育サービス「進研ゼミ」リニューアル、学習塾「クラスベネッセ」のフランチャイズ展開事情にこのコラムではせまります。

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6月25日に退任することを発表。退任理由は「2期連続最終赤字」

2015年、2016年に続き2017年も業績不振が続くことが見込まれる

2016年5月11日、都内で開かれた記者会見。原田泳幸氏は「業績不振のけじめをつける」として退任を表明。後任には福原賢一副社長が昇格することも発表されました。

業績不振とありますが、同日行われた『2015年度決算説明会』で発表された内容を見てみましょう。

・前期決算は売上高が前の期比4%減の4441億円、営業利益は108億円と63%減った。

・通信教育事業の子会社、ベネッセコーポレーションが将来の利益を見込んで計上していた繰り延べ税金資産95億円を取り崩したため、連結最終損益は82億円の赤字(前の期は107億円の赤字)だった。業績悪化の要因は「進研ゼミ」の会員が減り続けていることだ。14年7月に顧客情報の漏洩が発覚した余波が続き、今年4月時点の会員数は243万人と、1年前に比べて11%減った。 【日本経済新聞電子版5/11 『ベネッセ、原田社長が退任 2期連続最終赤字でけじめ』より引用】

業績悪化の原因はおととし2014年「進研ゼミ」などで顧客個人情報の流出事件が起こったことによって会員数が減少したことがこの日経新聞の内容からは読み取れます。

これにプラスしての情報ですが前期(2015年期)は107億円の最終赤字だったベネッセコーポレーション。2015年期を下回ることはありませんでしたが、2017年3月期は「2016年比1%減の4388億円、営業利益は31%減の75億円を見込む」とされています。

ベネッセHDは5つの事業を展開していますが、中でも国内教育事業(『進研ゼミ』、『こどもちゃれんじ』)の売上高がHD全体売上の約50%を占めていて、次に続くのがシニア・介護事業(高齢者向けホーム及び住宅)の約18%。いかに国内教育事業が柱事業であってHDとしても重要視しているか、ということがわかりますね。

原田氏CEO時代に行われた進研ゼミの大リニューアル

国内教育事業を行ってきたベネッセコーポレーションは、小学生から高校生までを対象に「進研ゼミ」という添削式の通信講座サービスを提供。そんな進研ゼミが2016年4月に最大リニューアルを行い「進研ゼミ+(プラス)」として生まれ変わりました。通信講座サービス提供にとどまらず、学習塾指導のサービスも行われる新しい教育のスタイルとして教育業界でも注目を集めたニュースです。

【ICT教育ニュース『ベネッセ/「進研ゼミ」来春「進研ゼミ+」に進化 最大のリニューアル』より画像引用】

進研ゼミ+(プラス)にリニューアルして変わったこと

・従来の紙テキストのみで学習に取り組む「オリジナルスタイル」とデジタル教材を組み合わせたカリキュラムの「ハイブリッドスタイル」という2つのコースが用意されたこと

・「ハイブリッドスタイル」の受講者に対し、デジタル教材の進度に合わせ、専用アプリのチャットやメールで学習の意欲喚起を行うこと(学習が滞っている受講者にはアラートを鳴らすという仕組み)

・無料で学びの相談ができる「エリアベネッセ」、進研ゼミ+(プラス)を教材として教室で学べる「クラスベネッセ」、提携塾で対面式にて行われる個別学習サポートをする「進研ゼミ Let's(レッツ)」が開始されたこと

学習塾スタイル、クラスベネッセのフランチャイズ展開事情

ここでフランチャイズの話です。原田泳幸氏は、日本マクドナルドHD時代に、3割足らずだったフランチャイズ店舗を7割超に高めた「フランチャイズ店舗の拡大戦略」を推し進めた人物です。日本のファストフード業界ひいてはフランチャイズ業界の歴史においても賛否両論ですが、影響力を与えたことに違いありません。

そんな原田泳幸氏、日本マクドナルドHDの次はベネッセHDにて「クラスベネッセ」のフランチャイズ展開を本格化しようとしていたところで今回の退任劇が起こるところとなりました。

クラスベネッセは地方の学習塾もフランチャイズ加盟しており、4月以降進研ゼミ+(プラス)の「ハイブリッドスタイル」を教材に使用した指導が開始された模様です。2016年5月現在、全国約20教室ほど。

2016年3月に開催された日本経済新聞社主催の『フランチャイズ・ショー2016』にも出展していたクラスベネッセでしたが、原田氏自ら同イベントのセミナーにも登壇していたことも記憶に新しい出来事です。 (セミナーテーマは、「こどもの成長のためのパートナーリング〜地域を基点にした新たな学びの形を目指して〜」でした)

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教育コンサルタントはこう見る

フランチャイズWEBリポート主催のセミナー登壇、コラム執筆も手掛けていただいている教育コンサルタントの今野篤氏より原田氏退任のニュースを受け、コメントをいただいたのでここに追記します。(2016年5月13日)

原田会長の退任の件、私も驚いています。3月のフランチャイズ・ショーでの講演会では、ベネッセの優位性やクラスベネッセのFC展開を雄弁に語ってましたから。

クラスベネッセのFC戦略はすでに書き上がっているはずなので、 FC展開はしてくるでしょう。ただし、ベースとなる進研ゼミの 会員数の減少が止まらないと、今後の展開に支障がでることは 避けられません。

またベネッセには、民間教育のマーケットを再構築しようとする 意図があるかと思います。かつてアップルがiPodやiPhoneで 音楽や携帯電話の既存市場を破壊したように。そう思うと、もう少し原田さんの戦いを見てみたかった気もします。

『フランチャイズ・ショー2016』登壇から2カ月ほどの退任劇。クラスベネッセ今後のフランチャイズ展開スピードがどうなるかについても目が離せません。

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