株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役川上 健一郎
2015-04-27 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

私がフランチャイズ研究家になった理由と活動内容

 このコラムのポイント

フランチャイズ研究家というお仕事をしている川上健一郎氏。フランチャイズ研究家って何をしているのか?、なぜそのような仕事を始めたのか?実際にフランチャイズ本部で現場のことを知って、本部のことも加盟希望者のことも見続けてきた同氏のエピソードにフォーカスしてみました。

フランチャイズWEBリポート編集部


みなさん初めまして!
株式会社ディライト・ジャパンの川上と申します。

今回フランチャイズWEBリポートさんからこのような機会を頂き大変感謝しております。私の経験が皆様のフランチャイズ本部選びに少しでもお役に立てれば幸いです。


今回はまず第1回目ということで、私がなぜフランチャイズ研究家というお仕事をしているのか?実際どのような活動をさせて頂いているのかという所からお話をさせて頂ければと思います。

私の経歴とフランチャイズビジネスとの出会いから簡単にお話をさせて頂きますね。

職業決定の決め手は独立するための経験づくりだった

私は学生時代いわゆる苦学生と言うのかもしれませんが、学費はもちろん生活費も基本的に自分自身のアルバイトで捻出をしておりまして、居酒屋やガソリンスタンド、引越屋、喫茶店、福岡ドームのビール売り、家庭教師などありとあらゆるアルバイトを掛け持ちで行っていました。

その後、当時は非常にお給料も良かった携帯電話販売のお仕事を始め、卒業後はエスカレーター的に就職。

この企業で経験を積んだ後、父が造船業を営んでおりましたので、今度は父の企業の職人として将来的には跡を継がないかと言うことで職人仕事に従事しておりました。

ただ夏場になると船の中は60度、怪我は多く、将来的なことを考えても船の時代が来るとはとても思えなかったこともあり、父の引退とともに私も転職をした先がフランチャイズ本部でした。

小さな頃から私の父が自営業者ということもあって、将来的に自分も何か独立して事業を行いたいという思いがあり、フランチャイズ本部に就職すれば独立される方と多く接することができるのではと考え、自身の将来の独立にも有意義なのではないかと思ったのがきっかけでした。

結果私が入社したのは、長谷川興産株式会社というフランチャイズ本部でした。まぁ「おそうじ本舗」というブランド名の方が皆さんなじみがあるかもしれませんね。

おそうじ本舗オーナーからの言葉が専門家になろうと思ったきっかけに

2001年入社当時、おそうじ本舗は全国に200店舗弱もう既に存在しておりましたが、今のような認知度も無く、ハウスクリーニングを普通に使うと言うような文化もまだまだ醸成されていなかった時代でした。

入社当時はSVと言っていわゆる加盟店オーナーへのアドバイスや指導をする部門を希望しておりましたが、最初の数ヶ月以降は加盟店開発営業部門にて勤務させて頂きました。

この加盟店開発と言うお仕事に付き、ある出来事を経験したことが、今私がこのフランチャイズの業界で仕事をさせて頂いているきっかけになったといっても過言ではありません。

それは入社して2年くらいでしょうかたった時の出来事です。当時「おそうじ本舗」は60歳未満の方を対象にしていました。ですが、実際は55歳くらいまでの方でないと、ハウスクリーニングと言うお仕事である以上、体力的に難しいのではないかと私は思っておりましたので、60歳以上の方々は基本的にお断りさせて頂くことも多くありました。

そんな中でのエピソードです。

大阪在住の59歳の加盟希望者が説明会に参加され、後日加盟の意思を頂きました。その方は、前職は会社の役員でどちらかと言うと私もまだ20代でしたので、多少横柄な部分もあり、かつ楽して儲けたいと言うような甘い考えの持ち主だったと記憶しています。

そう言う方でしたので、当然本部としては受け入れることはできませんし、受け入れたとしてもそのままの状態では成功は難しいなぁと感じておりました。

その方は結局加盟審査の段階で3回程お断りさせて頂きました・・・。

ただその方は、諦めなかったんですね。
「どうにかやらせてほしい。」何度もご連絡を頂きました。

そう言ったこともあり、最終的には加盟をして頂いた訳です。

加盟されたあとも、定期的に担当者ですので、その後の状況を伺っておりましたが、ある時本部に現場の帰りに立ち寄られました。

それは、加盟されて2年か3年くらい絶った後だったと思いますが、
「あなたが最初に厳しく接していてくれたお陰で、今ではしっかり売上も安定しました。以前は将来が不安で不安でしょうがなかったけど、今では孫にも小遣いをあげられる余裕も持てました。本当にありがとう。」
と言うことをわざわざ本部に来て頂いて、涙ながらにお礼を言って頂けました。

「魂のごちそう」とでもいうのでしょうか。
私が、本当に心からこの仕事をしてきてよかったと思えた瞬間ですね。

その後、お陰様で多くの方々にそう言ったお声を頂けるようになりましたが、その一番最初の経験が独立して、フランチャイズの専門家としてやっていこうと思ったきっかけはこの出来事でした。

加盟店開発の責任者として、上記のような経験を多くさせて頂いて、長谷川興産には7年間お世話になりました。

長谷川興産の後は、本部と加盟希望者のためのアドバイザーに

その後、コンサルティング会社を経て独立して現在7年目になります。

なぜ、このようなフランチャイズビジネスの専門家として仕事を行っているかと言うと、フランチャイズの現場を知っている専門家が本部のコンサルティングに入ることで

・本部候補企業のためのフランチャイズ展開を始める上での道先案内人
・加盟希望者が、加盟後のトラブルを防ぐ&本部選定のためのご意見番


このような役割が必要だと思ったからでした。

それを私が行うことで本部としても、加盟希望者としても良い結果につながるのではないか?

そう思いスタートし、7年目になろうとしています。

フランチャイズの業界に入って14年が経ち、今までお会いした加盟希望者の方々はゆうに1万人を超え、加盟店オーナーだけでも数千人とお会いしてきました。

最近では、「フランチャイズ研究家?ってどのような仕事をされているのですか?」
と聞かれることも最近多くなり、お問合せも九州だけでなく全国的に頂けるようになりました。

実際にフランチャイズ専門家として行っている具体的なお仕事

もちろん、様々な本部の調査や研究と言うものも行っていますが、私がお仕事としてお受けしているのは下記になります。

■フランチャイズ本部の構築支援コンサルティング
フランチャイズ展開するにも、当然ですが展開できる為の条件があります。
まずは、展開を開始する前に、そのブランドがフランチャイズ展開できるかの診断をきっちり実施し、フランチャイズ本部として必要な機能や人材教育、マニュアル、各種ルールの整備を実施し、加盟店の開発が自社でできる所までお手伝いさせて頂いております。

■フランチャイズアカデミーの実施
1業態1社でフランチャイズ本部向けの勉強会を主催させて頂いております。
フランチャイズビジネスはノウハウビジネスですので、他のフランチャイズ本部との関わりが薄いことが多いのですが、各本部が悩んでいる悩みの多くは他の本部も悩んでいることだったりします。その為、1業態1社限定で情報交換を含めた勉強会を実施しております。

■加盟希望者の相談
最近一番増えてきているのが、加盟希望者からのご相談です。
「ここの本部は実際どうなんですか?」
「この業態でスタートする場合の注意点は何かありますか?」
等色々聞かれますので、私の知りうる範囲でお答えしています。


それ以外では、日本政策金融公庫様主催のセミナーや各フランチャイズフェアでの講演をスポット的にさせて頂いております。

今後の連載では、フランチャイズビジネスのあらゆることについて私の経験に基づいて述べさせていただこうかと思っております。よろしくお願いします。

株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

福岡県嘉麻市出身。久留米大学法律学部卒在学中、学費や生活費を全てアルバイト代で捻出するため、株式会社光通信関連企業にて営業職に従事し、そのまま就職。その後家業の造船業を経て、2001年長谷川興産入社。加盟店開発の統括責任者として入社当時の200店舗から800店舗までを牽引。退社後は、コンサルティング会社を経て「日本のフランチャイズビジネスの成功率を10%引き上げます!」をミッションに2008年にディライト・ジャパン設立。現在、全国様々なフランチャイズ本部の本部支援コンサルティングを実施。