ファストフード業界も参入する、ちょい飲み&モーニングビジネス事情

フランチャイズWEBリポート編集部 |2015年11月03日 公開 (2021年11月18日 最終更新)
ちょい飲み&モーニングビジネス

秋麗の候、寒暖差も ビジネスも…ちょっとした肴をつまみながら、ほっと一息入れたい今日この頃。「なにかと公私共にイベントの多い季節ですから、体調管理にも気をつけたい。」そんな勤勉なビジネスマンの胃袋をジワジワ活気づけ、ある種「文化レベル」で定着しつつある昨今の市場動向に注目が高まっています。

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夜は早めに、朝の需要増のワケ。外食産業動く

業態別にみても、夜中心の店は苦戦が続く昨今。日本フードサービス協会の毎月の業態別売上高(全店ベース)によると、夜間の営業が中心の「パブ・レストラン・居酒屋」は12年1月以降でみると前年実績を超えたのはわずか4カ月だけ。一方、朝の利用が多くまたアフター5のちょい飲み需要などを巧く捉えたカフェなどは、今年8月まで12カ月連続で増収となるなど好調。

外食チェーンの時間帯別売上高をみても、夜から朝へのシフトは顕著。例えば「モスフードサービス」においては、2009年度の午前7~11時の売り上げ構成比は8%でしたが、12~13年にかけて売上高が前年比で5%増。この結果、14年度には構成比が11%にまで上昇。一方、午後6時以降の構成比は29%から26%に減少。夜に失った3%分、金額にすればおおよそ30億円分の需要が朝にシフトしてきているようです。

多様な働き方、深夜労働者の増加

厚生労働省の労働者健康状況調査によると午後10時から翌午前5時までの間の深夜時間帯に働いている労働者の割合は12年時点で21.8%に達し、97年時点と比べると6割以上増。かつては深夜操業の工場など一部の職場に限られていた深夜勤務だが、ここ10年で3割増えたコンビニエンスストアのような24時間営業の商業施設が増加し、深夜に働く人たちも急増しています。

商業統計調査によると24時間営業する小売店は1997年時点で約31000店舗でしたが、2007年には1.5倍の約47000店舗にまで増加。コンビニは50000店を超え、さらに増加。加えて深夜営業スーパーの増加なども、時代の機運に一層拍車をかけています。したがって、昼夜逆転したビジネスマンや販売員にとって「朝」は主要な買い物時間となってきているんですね。

リタイア層、日中消費の本格化

65歳以上のシニア層も全人口の4分の1にまで増え、定年延長などで働き続けてきた1946年~49年生まれの第1次ベビーブーム世代が65歳を超えて本格的にリタイアするようになり、午前中も自由に友人たちと会食を楽しむ人が増えています。

朝型勤務の導入

こうした動きに拍車をかけそうなのが始業時間を早めて残業を減らす朝型勤務、いわゆる「ゆう活」。政府が今夏、労働時間短縮を目的に導入したが、労働政策研究・研修機構の調べによるとすでに1割の企業が導入済み。さらに2割が今後、導入を検討するといい、今後さらに朝型人間が増える可能性が広がっています。

朝の会合はファストフード、朝からとんかつ、午前中から宴会…朝の外食シーンが様変わりしてきています。働き方の多様化や高齢化などに伴い、しっかりと食べる「朝食」は、次世代消費では、もはや軽食のイメージさえ薄らいできているのかもしれません。

団塊世代が本格的な定年を迎え、深夜労働が多いサービス業の就業人口が増え、また飲酒をする若者の減少となると、夜の飲食需要そのものが縮小の一途。居酒屋でも閉店時間を早める動きが目立ってきているのが現状。この影響は外食事業だけにとどまらず、小売り・サービス業を含めて、昼と夜中心の固定観念を疑い「新たな時間軸」でサービス・商品を練り直す、そんな時期を今まさに迎えているようです。

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