「CoCo壱番屋」がハウス食品の子会社に!買収劇とそれでも強いココイチの秘密にせまる

フランチャイズWEBリポート編集部 |2015年11月12日 公開 (2021年11月19日 最終更新)
「CoCo壱番屋」がハウス食品の子会社に!買収劇とそれでも強いココイチの秘密にせまる

国内で1,400店舗以上を展開する大手カレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋(通称ココイチ)」。そんなココイチを展開する壱番屋(愛知県一宮市)は食品大手、ハウス食品グループに買収されることが明らかになりました。

今回は、ハウス食品グループの壱番屋の買収について注目し、ココイチがハウスの傘下に入った理由を深堀りしていきます。さらに、ココイチのオーナー独立支援制度などについてもご紹介します。

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ココイチがハウスの傘下に!?現状と買収劇にいたった理由をおさらい

2015年10月末、『カレーハウスCoCo壱番屋(通称ココイチ)』を展開する壱番屋(愛知県一宮市)は食品大手、ハウス食品グループに買収されることが明らかになりました。ハウス食品は今月の11月2日から株式の公開買い付けを行い、すでに保有している分(元々19.5%を保有していた)と合わせて壱番屋の株式のうち51%を取得することがメディアでもささやかれています。

両者の関係性は一朝一夕のものではなく、ココイチのカレーに使われている原材料をハウス食品が供給していた事情もあります。ココイチの中国展開のために合弁会社が設立されていますし、ハウス食品がココイチのブランドでカレーショップを運営しているのです。

海外展開の話にすこし触れましたが、日本国内のカレー市場は成熟模様にあり、原材料高騰も問題視されていました(このような背景からココイチはトッピング具材の値上げをしたとされています)。そこで、壱番屋は売上高で5倍以上、総資産で7倍以上の大手企業であるハウス食品の子会社になることを選択した、という可能性が考えられます。

ココイチがハウスの傘下に入った理由を両社長のコメントから深堀

さて、この買収劇の理由について。前文にも挙げた、カレー市場の現状なども関係していると考えられますが、ここで両社長のコメントを振り返りたいと思います。10月30日に開かれた記者会見による両社長のコメントです。

ハウス食品の浦上博史社長:「(ココイチと)連携して日本のカレー文化を世界に広げる」
壱番屋の浜島俊哉社長:「将来の経営にプラスになると確信している」

と、このようにハウス食品としてはアメリカやアジアなどで展開をしているココイチのノウハウが魅力的に感じており、壱番屋の店舗展開がさらに加速し日本式カレーの食文化を広めることで、自社カレールウの販売拡大につなげたい考えのようです。

対するココイチの浜島社長は「もう少し長いレンジでモノをみている。創業者が亡くなったときのことも考えて、株を安定的にしっかり持ってくれるハウス食品に任せるのがいいだろう」とも語っているまさに言葉そのままの理由でしょう。

ちなみに、浜島氏は壱番屋の二代目社長で、創業者の宗次徳二氏の元、創業初期にアルバイトから勤め上げた人物で、宗次氏の後継者としてココイチの海外展開戦略を積極的に行っています。そんな彼のドラマについては、「飲食の戦士たち」というメディアなどでも取り上げられていたので興味がある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。

カレー外食業界で一人勝ちのココイチ。しかしカレー外食業界自体の規模が小さい?

さて、ここでカレー外食業界でのココイチの規模感を改めて見てみましょう。

まずココイチの店舗数は国内で1,400店舗を超えたところです。これはカレー外食業界ではトップ。そして2位の『ゴーゴーカレー』は2位で80店舗ほど。ほぼ、一人勝ち状態といってもいいでしょう。

となると、ココイチは店舗数の側面から見るとライバルがほぼほぼいない状態ともいえるのですが、カレー業界自体が外食業界の中でも小さい市場規模とも言われています。以下、国際情報誌『SAPIO』による市場規模調べがあったので引用します。

「外食産業での「カレー」の存在感は意外なほど小さい。カレー専門ショップの市場規模は約890億円、店舗数は約1500(2013年見込み、富士経済調べ)。焼肉店(市場規模約5200億円、約1万6000店)、宅配ピザ店(同約1260億円、約4000店)などと比べると明らかに見劣りする。」
『SAPIO』2014年4月号より

カレー=国民食とも表されますが、外食業界から見たカレー業界の規模は実は焼肉業界などに比べると小さいのがわかりますね。そのため国内だけでなく海外にもシェアを拡大しているのでしょう。

新しく掲載開始したオーナー募集情報まとめ

ココイチ強さの秘密!?オーナー独立支援制度「ブルームシステム」とは

カレー外食業界で一人勝ち状態のココイチ。その強さの秘密に「ブルームシステム」という独自のオーナー独立制度を持っています。いわゆるのれん分け制度ですが、これは美容室や飲食店に多くみられる店舗展開のための制度ですね。

チェーン店というのは、直営店のみの展開をしているところもあれば、フランチャイズ展開を活用し店舗数を拡大しているところもあります。直営店とフランチャイズ店の違いについては、「直営とフランチャイズの違いとは?」という当サイトの記事があるので参考にしてください。

直営店での展開メリットとしては、「そのチェーン店独自のイメージが守られやすい」ことですが、フランチャイズ展開を利用しない場合と比べると店舗展開のスピードがどうしても落ちる傾向にあります。

ただし、イメージ保守もスピードもどちらも大切にするべき秘策・・それがココイチが開発した「ブルームシステム」なのです。 ココイチの社員として働きながら収入を得つつ、店舗オペレーション、人材マネジメントや教育、経営ノウハウを学ぶという仕組みなのですが、入社時の資金は必要なくロイヤルティ不要。そして、壱番屋が全部債務保証を受ける形で銀行融資を活用した独立が最終的にかなうのです。

ただしこれで独立できるオーナーというのは約1割とも言われています。独立までには9つのステップがあり、3つめのステップをクリアするまでは独立できないとされているのですが、どうやら独自の厳しい基準が設けられているようです。

晴れて独立できた場合は、独立後も支援を受けることができ、担当のスーパーバイザー(店舗相談員)が定期的に臨店し経営相談に乗るのはもちろん、商品開発と供給も行われ、メディアを活用した広報宣伝も本部が行ってくれる。そんな仕組みになっています。

と、このように、飲食未経験のオーナーでなく、社員として店舗オペレーションなどを熟知し、厳しい基準もクリアした元社員がオーナーになるからこそ1店1店の成功率も保たれ全国展開のスピードもさらに上がる、ということではないでしょうか。


「CoCo壱番屋」がハウス食品の子会社に!買収劇とそれでも強いココイチの秘密にせまる

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