株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役川上 健一郎
2015-05-11 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

フランチャイズ本部選びの基準は明確か?~前篇~

 このコラムのポイント

今回のコラムではフランチャイズで失敗する人の共通項について、本部のスーパーバイザーとしての経験もある川上氏に語ってもらいました。失敗しないフランチャイズ加盟のためにも、今一度フランチャイズの選び方を見なおしてみましょう。

フランチャイズWEBリポート編集部


今回は、第一弾ということで「フランチャイズ本部選びの基準は明確か?」と言うテーマでお話しさせて頂きます。

私は今まで約1万人の加盟希望者の方々とお会いしてきました。
その中には、

・何かしらのフランチャイズに加盟されて成功されている方
・何かしらのフランチャイズに加盟されて失敗された方
・結局加盟はされないままの方

が、当然ながらいらっしゃいます。

では、フランチャイズに加盟して失敗する方の特徴や共通点は何なのか?多くの加盟希望者の方々とお会いし、様々なご相談をうかがう中で、私が感じていることが3つあります。

それは、本部選びの基準が無いと言うことでした。

加盟を検討する段階で、選考の過程である程度本部をしぼっていかれるかと思います。その際に、本部を選ぶ基準を持って選定出来ている方がどの程度いるのかと言うと非常に少ないと言う印象を持っています。
ですから、「今の自分」「今の自社」が開業できる業態を選びがちです。

ちなみに、もし私が加盟希望者だとしたらと本部のどのような所をみて行くのかという視点で考えてみましたので参考にして頂ければ幸いです。

私がフランチャイズに加盟をする場合、基準として考えているのは大きく下記の5つになります。

1.理念に共感できるか?
2.自身の棚卸し、人生計画との整合性
3.本部のステージ
4.単月黒字化までの期間
5.投資回収期間、収益性

今回はその中でも2点目までについて具体的に解説してきたいと思います。

1.理念に共感できるか?

フランチャイズビジネスはよく、理念共同体だと言われますが基本的に本部の掲げる、理念やミッション、実現したいビジョンに共感した人たちが集まっているのがフランチャイズビジネスの根本となる考え方だと私は思っています。

私も色々な本部をみてきました。当然フランチャイズビジネスもビジネスですので適切な経済性も非常に大切です。

ただ、フランチャイズ加盟の際に、「このビジネスは儲かりそうだから」とか経済性ばかりを優先して加盟された方は、後々思ったような結果が出ない場合に「話が違う」という話になっている方が多いように思います。わかりやすい言葉で言うと、お金で入ってきた方はお金で辞められます。

また経済性だけで加盟された方の場合は、思ったような結果がでない場合、その事業に対しての思い入れが薄いため、なかなか踏ん張りが効かないように思えます。結果として早期の撤退につながることもあるようです。

また、1店舗目の加盟が成功された場合も、理念に共感されて加盟された方とそうでない方は差が出てきます。
どういうことかというと、理念に共感されて加盟された方の場合は、その事業に関しての思い入れや、社会に対しての必要性を強く感じられている場合が多いですので、近隣エリアに同じ事業を横展開されるケースが多いと思います。この場合は、自身の1店舗目成功させてきた経験もありますので、ゼロから他の事業を開始されるのに比べたら事業を成功させる確度は高いように思えます。

ただ、そうでない場合は、「他に何か面白い事業は無いか?」と隣の青い芝生を探し始めます。当然リスクヘッジで様々な事業を展開することも1つの考え方ではありますが、同じ事業を横展開する場合と比べると成功の確度は低くなると言わざるは得ないかと思います。

ですから、加盟を募集する本部側もそうなんですが、まず経済性ばかりで選ぶのではなく、自身がその本部が掲げている理念やミッション、ビジョンに共感できるのか?という視点で一度みて頂ければと思います。 

2.自身の棚卸し、人生計画との整合性

続いて、2つ目に移りましょう。
2つ目は、自分自身の棚卸し、人生計画との整合性です。

自分の棚卸しとは、わかりやすい言葉で言うと自身の強みと弱み、自身の過去の成功体験を知ることです。

私も経験がありますが、例えば営業一つでも得意な営業方法と苦手な営業方法がありますよね。私の場合で言うと、「飛び込みによる営業」はあまり得意ではありません。ですので、飛び込みによる営業を必要とする事業は行いません。

なぜか?

それは、結果を出すことが単純に難しいと考えるからです。

ですので、自分が得意の営業手法で最大限のパフォーマンスを発揮できる営業手法、又は自身でも出来る営業手法の事業を行うようにしています。

事業を立ち上げるにあたってまず最初に必要になるのはもちろん売上です。売上が上がらなければ、いくら良いサービス、良い商品を提供できても事業の継続は出来ませんので、まず加盟するにあたり自身の営業面での強みを活かせる事業なのか?というのは検討する必要があるでしょう。

また、自身の棚卸しをするにあたり、人生計画の作成することをお勧めしてます。

自分自身は◯◯才になった時にどのような状態になりたいのか?
こういう目標や計画は非常に大切です。

例えば、現在40才の方が今年事業を始めたとしましょう。
その方は10年後には現場はある程度従業員に任せて、オーナー業を行って行きたいと考えられているとします。
その場合、当然実際そのようなオーナーがいるフランチャイズビジネスに参入されるのが近道になります。

最終的にどうなっていたいのか?という所から逆算して行く視点も一つ持って頂ければと思います。

今回も最後までお読み頂きありがとうございます。
参考になりましたら幸いです。

次回は3の本部のステージからお話しできればと思います。

株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

福岡県嘉麻市出身。久留米大学法律学部卒在学中、学費や生活費を全てアルバイト代で捻出するため、株式会社光通信関連企業にて営業職に従事し、そのまま就職。その後家業の造船業を経て、2001年長谷川興産入社。加盟店開発の統括責任者として入社当時の200店舗から800店舗までを牽引。退社後は、コンサルティング会社を経て「日本のフランチャイズビジネスの成功率を10%引き上げます!」をミッションに2008年にディライト・ジャパン設立。現在、全国様々なフランチャイズ本部の本部支援コンサルティングを実施。