販路企画 代表田口 勝
2016-03-30 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

その価格設定は間違っている!?セブンイレブン元社員が解説する3つの秘訣とは

 このコラムのポイント

経営者が開業したて、開業してからも悩むのがサービスや商品の「値段のつけ方」ではないでしょうか。この値決めには3つの秘訣があります。この秘訣について、セブンイレブン元社員であり経営コンサルタントとして活動されている田口勝氏に解説いただきました。

フランチャイズWEBリポート編集部


値決めが難しいと悩む経営者様!価格のつけ方には3つのコツがあります

マーケティング戦略を考える上で、調査・分析し、基本戦略を考えると最後は、『商品』『価格』『販路』『販促』といった4つのP、つまり4P戦略を考えます。

ここまで考えると一通りのマーケティング戦略が出来上がることになります。

そこでいつもよく聞かれることは『価格のつけ方』が難しいということです。商品は価格/価値で1以上の場合に販売が成立しますので、価値を値段で表すということです。これが非常に難しいということです。

これは実は、経営コンサルタントである私も非常に毎回悩むところです。
この価格の設定の仕方で商品の売れ行きも決まりますし、利益も確定していきます。
安いからいいというわけでもありませんし、高くてもいいというわけでもない。

正確に価値を測定することが必要ということです。
今回はこの『価格のつけ方』の考え方についてお話をしていきたいと思います。
今回は3つの視点についてお話をして参ります。

価格のつけ方1:原価からの積み上げで算出する

1つ目に考えることは、原価から価格を算出する考え方となります。
実は中小企業の商品開発の現場を確認すると価値の測定ではなく、原価からの積み上げで価格が設定されているケースが多くあります。

つまり、『原価がいくらかかり、利益率を〇%乗せるとこの価格にする』という考え方です。この視点も実は一つとして必要なのです。なぜならば市場価値のみで検討をすると、『売れば売る程赤字』という価格設定になりかねないからです。

原価がいくらで、儲けたい利益率は〇%というものを出します。その上でまず、おおよその価格を付けます。これが第1段階として必要です。

利益率は、商品が売れる予測のある『数量』と『販売額』も検討するがあります。
それによって儲けたい利益を算出し、逆算して利益率を設けます。

しかし、これだけだと、価値との整合が取れていない可能性が高く、商品が売れないということになります。

価格のつけ方2:価値を測定する

第2段階は、価値を測定します。お客様の価値は次の要素から決まると思っています。

1.市場評価=競合の類似商品の価格

市場の価格は、おおよそシェアの高い商品の価格や類似競合が出す価格の設定が基準となります。つまり、お客様が事前に目安として把握している価格がこの価格です。

競合よりも商品力として優位であれば、この価格設定よりも高く設定ができるでしょうし、競合よりも優位性がない場合は、お客様から『高い』と判断されるでしょう。
つまり、市場の商品の価格、競合の価格を知らなければ検討できません。

2.商品を購入することで得られるベネフィット

これは、お客様が抱えている問題を解決することで得られるベネフィットよりも価格が安いかどうかということです。つまり基準は顧客の価値基準となります。

例えば、ジムがあるとします。自店のジムは『絶対痩せられる』とコミットできるとします。そうすると、競合のジムは『痩せられるか痩せられないか』わからなければ、競合とは圧倒的に差別化されており、競合の価格設定は関係ありません。

次に価格設定で考えなければならないのは、『痩せる』ということに関して、『顧客がいくらまでなら払うのか?』ということになります。これが顧客のベネフィットに関する価値基準となります。

これは、事前にマーケティング調査を行ったり、テストマーケティングを行うことで計測をしていくことが重要になると思います。

3.顧客の心理

これは、ベネフィットだけでなく、顧客の心理も検討するということです。
先ほどの、『絶対痩せられるジム』がある場合の条件を考えます。

それは、『顧客が本気で取り組む』ということが前提にあるとします。
では、皆さんに考えて頂きたいのは、『数万円の料金』と『〇十万円の料金』であれば、どちらが『本当に本気になれますか?』。

その場合は高い料金を支払った方が、『取り返そうとする顧客の心理』が出ますので、『本気になる』ということです。それによって商品の価値を担保できるということです。価格設定はここまで検討しなければなりません。

価格のつけ方3:マーケティング戦略を加味する

これは、商品の位置づけや主販路、販売促進の経費を鑑みて、価格設定を行うことです。
3つ目は、この視点で考えます。

例えば、お客様と関係を持つための商品を売り、その後、本商品を売るというタイプの戦略の場合の価格設定等です。

この場合の価格設定は、最初の顧客と関係を持つための商品は、あくまでも顧客と関係性を持つことが目的ですから、ここで利益を追いません。ここでは顧客が気軽に購入できるを通常は主とすると思います。

ではその利益をどこで稼ぐかというと、関係が出来た後、購入する本商品の利益率にのせるということになります。

これが戦略上の価格設定です。それ以外にも・・・
販路を卸中心に販売するのであれば、卸から小売りまでが充分に利益として獲得できる利率にしなければ、商品を流して頂けないでしょうし、高い販促費をかけて売っていくビジネスであれば、1顧客獲得当たりに広告宣伝費も鑑みて計算しないといけないでしょう。

市場浸透下戦略をとる場合には、低価格で一気にシェアを取るという考え方もできます。
つまり、マーケティング戦略により、価格の設定の仕方も変わります。

価格設定はマーケティング調査・分析ができて初めてできるもの

今回は価格設定の概略をお話しましたが、上記をお読み頂くとよくわかると思いますが、実行に移すとなると、ちゃんとマーケティング調査・分析とマーケティング戦略が決まっていないと本当は価格設定出来ないということです。

価格設定にお悩みの方は、今一度、調査・分析・戦略に立ち戻って頂き、検討されることをお勧め致します。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。