販路企画 代表田口 勝
2016-05-03 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

起業ブームの今こそ考えたい!会社員でいるメリットと起業の良さ

 このコラムのポイント

近年インキュベーターや政府の後押しで、スタートアップの敷居は以前よりも下がり個人事業レベルでも起業がしやすい世の中になっています。起業とは、経済の活性化に寄与するもので社会貢献性もあります。 しかしながら、ご自身が起業する際の理由を今一度、このコラムを読みながら見つめ直してみてください。

フランチャイズWEBリポート編集部


空前の起業ブームに踊らされるな!会社員か起業家かじっくり悩め

今回のコラムからは起業というテーマをもとに連載をしていきたいと思います。
理由としまして、弊社では、多店舗展開支援を中心にコンサルティングを展開しておりますが、独立起業を検討されている方からも非常に問い合わせを受けております。

しかし、正直、起業への検討が非常に甘く、毎回本当に起業すべきであるか?という基本的なことからお話するケースが多い状況となっております。

そこで起業をする際に、検討して頂きたいことを中心に情報を発信していきたいと思います。

リーマンショックを受けて不況に煽りを受けて、起業率は減少傾向でしたが、近年は回復してきております。理由としては、起業ブームというものがあると思います。

このコラムを読まれている方のほとんどが起業に興味があるか?既に事業を興しているか?という方が多いと思います。

国も起業を後押しし、様々な補助金や情報提供、経営相談施設等を拡充し、バックアップを図るという傾向となっております。

TVやマスコミでも起業の成功事例が多数情報発信され、『私も起業したらうまくいくのでは?』と安易に考え、起業する方が多いというのが本当のところではないでしょうか?

しかし、実情はそのような結果を迎えている方は、少なく、当初の事業形態から変えて再度事業を興しているか?サラリーマンに戻るといった方も多く、『起業を後悔する』といった方が後を絶えないとも思っております。

これには、我々情報を発信する側の問題も非常に高いとも思っていますが、当人の問題も多くあります。

今回は、皆様が起業を考えた際にいま一度検討して頂きたいことをコラムとして明記します。

国が起業を後押しする3つの理由

起業は実は、経済の活性化に繋がるのです。
なぜかと言うと次の3つのポイントがあると考えております。

1.新規雇用の拡大

起業では新しい商品やサービスを生み出し、その事業が成長するにあたって新規雇用を生み出します。また、現在の時代の変化に対応ができない事業は淘汰し、新しい事業が成り立っていくというのが経済の減速です。

つまり、新しい事業が育たないと継続した雇用を生み出すことは出来ないということです。

2.イノベーションの創出

起業では新しい発想や考え方、手法等多くのイノベーションを創出し、商品やサービスを生み出します。結果として、時代の変化に対応した事業が日本で成長を遂げ、経済を大きく引っ張る結果となるのです。

3.生産性の向上

新しいイノベーションを創出した起業家の商品やサービスは、既存の事業にも大きく影響を与えます。既存の事業が新しい、イノベーションが創出された商品やサービスを扱うことで生産性が向上するといった形で、既存の会社も活性化に繋がるのです。

国が起業を大きく後押しするのは、『経済成長』を図り、新しい『雇用』を生み出し、国が豊かになるといったメリットがあります。

そのため、新しい起業家を輩出したいという考え方になります。

では国がバックアップしているのに、なぜこんなにも廃業や事業転換が多いのでしょうか?実はこれは、起業をする前の事前準備段階に大きく問題があると思っております。

その内容は、今後のコラムで明記していきますが、今回はその前段階の『本当に起業すべきか?』というところについてお話をしていきます。

あなたが本当に起業したい理由は何か?

あなたが『本当に起業をしたい理由は何でしょうか?』
また事業を既に興している方は『なぜ起業を行ったのでしょうか?』

『社会に貢献したい』とかいう方もいらっしゃれば、『お金儲けをしたい』という方もいます。また、『会社が嫌になった』『リストラされた』という方もいるでしょう。

起業の理由は別に社会性が高くなくても、利己的であっても私はいいと思っています。

しかし、次の視点は少し検討して頂きたいポイントです。
私が経営コンサルタントとして相談を受けた際に起業の目的としてお話頂くことのベスト2です。

1.自己実現や夢の実現があるのか?

会社にいても出来ること。実はたくさんある

・現在、社会に存在しない商品やサービスでない限り、会社にいても出来ることは実は多い
・むしろ会社にいた方が出来ることも多い⇒もともとの社会的信用や実績等

最終的には会社責任となる

・起業は、働き方は自由だが全て自己責任です。つまり後ろにはあなた以外の方はいないということです。

2.高い地位や所得があるのか?

会社にいれば利益がなくても給料はもらえる

・起業すれば、利益が出なければ給料はない

会社にいれば事業的借金のリスクがない

・起業すれば、資金繰りの悩みがつきまとう

会社にいれば社会的信用・会社の看板がある

・起業すれば、社会的信用は最初ほとんどない

つまり1、2を実現するためには、事業が継続し成長できなければ、実現はできないものなのです。皆様が起業を検討される時に、会社に残るべきか?起業すべきか?という判断基準の第1段階として、上記の視点で考えて頂きたいと思っております。

「今の会社でも出来ることがたくさんあります」安易に起業に流れていませんか?

起業は達成感もあり収入も増える!起業家の先輩として私はこう思っています

今回から、『起業』というテーマをもとにコラムで情報を発信していきたいと思っております。今回は、『会社に残るメリットは何か?』についてお話をしました。その上でも『起業をするべきである』と考えた皆様は、是非、次回のコラムを読んで頂きたいと思っております。

私自身、起業は非常に素晴らしく、達成感もあり、収入も増えるものであることを実感しております。出来ればもっと早く起業すればよかったとも思っています。

しかし、そんな私でも安易な起業は決してお勧めしておりません。是非、起業を検討されている皆様の参考になればと思います。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。