FC加盟で赤字会社を年商100億円に!メガフランチャイジーに聞いた「FC経営成功の秘訣」

フランチャイズWEBリポート編集部 |2022年01月09日 公開 (2022年04月21日 最終更新)
サンパーク 代表取締役 髙木健

現在「ゴンチャ」や「エニタイムフィットネス」をはじめ、10ブランドを超えるフランチャイズに加盟し、国内外で65ものFC店舗を運営している株式会社サンパーク。フランチャイズ加盟によって成功を収めた企業として、メガフランチャイジーと称されることもある同社。創業は1966年ですが、じつは1992年にフランチャイズに加盟するまではオリジナル事業だけを展開している企業でした。

今回はそんなサンパークの二代目社長として就任後、フランチャイズ加盟戦略に舵を切り、会社の立て直しを果たした髙木 健 代表取締役にインタビュー。フランチャイズ加盟の『成功の秘訣』について伺いました。

続く後編では、サンパークのオリジナル業態としてフランチャイズ展開する5ブランドの特徴はもちろん、メガフランチャイジーの経験がパッケージ作りにどう落とし込まれているのか、そして今後の展開などお届けします。

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国内外で100店舗!2つの顔を持つフランチャイズ企業

──まずはサンパークの現在の事業内容から教えてください。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

株式会社サンパークは、大きくは「フランチャイズ加盟」による店舗運営と、「フランチャイズ本部」としてフランチャイズ加盟店を募集したり運営のサポートをしたり、2つの軸で事業を展開している会社です。

フランチャイズ本部としての話は後ほどさせていただきますが、加盟店としての話をさせていただくと、「びっくりドンキー」や「丸源ラーメン」「リトルマーメイド」などにフランチャイズ加盟しています。そして日本国内はもちろん、シンガポールやタイ、台湾、ハワイなどの海外でも運営しています。なかでも「ビアードパパ」は、フランチャイズ本部である株式会社 麦の穂に代わって国外で加盟店を募集できるマスターフランチャイズ契約をタイで結んでおり、タイで12店舗のビアードパパの運営のほか、フランチャイズ本部としても活動しています。

髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

株式会社サンパーク代表取締役
髙木 健

兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学を卒業して株式会社丸井に入社。その後、ホテル業界に転職してホテルスタッフとして従事。31歳の時に義理の父親からの誘いで株式会社サンパークに入社し、1997年より現職。国内外でフランチャイズ加盟店として65店舗以上を運営する一方、複数のオリジナルブランドも展開する。2018年には著書「楽しくない仕事はするな(辰巳出版)」を出版。

海外に展開している店舗
海外に展開している店舗
──飲食店を中心にマルチフランチャイジーとして、さまざまなフランチャイズに加盟しているんですね。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

はい。最近だとエニタイムフィットネスなどにも加盟をしていますが、現在は飲食店を中心に国内外でトータル65店舗ほどのフランチャイズ店舗を運営中です。

その他にも、「感激たぬき」や「讃岐 髙木うどん」などオリジナルの業態開発や、M&Aも積極的に活用して業態とエリアを拡大してきました。またこうしたオリジナルで開発した業態をフランチャイズパッケージ化し、「マジカレー」や「髙木珈琲」などはフランチャイズ本部としても事業展開を行なっています。フランチャイズ店舗同様にオリジナル業態も海外進出をしており、サンパークとして手掛けている店舗の総数は100超になります。

オリジナルブランドの「豚骨火山らーめん」は海外でのみ展開している
オリジナルブランドの「豚骨火山らーめん」は海外でのみ展開している
──ありがとうございます。フランチャイズ加盟だけでなく、オリジナルの業態開発やフランチャイズ募集にも力を入れているんですね。

フランチャイズ加盟は失敗の少ない選択

──サンパークが最初にフランチャイズ加盟したのは1992年とお聞きしています。きっかけを教えてください。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

ホテルマンとして働いていた私が、義理の父から会社を継いだのが30年くらい前。その時はガソリンスタンド1件とレストラン2件を経営していたんですが、どれも赤字経営で……。もちろん資金繰りも厳しく、ボーナスも出ないので多くの社員が辞めてしまったんです。

そうなっていた理由を簡単に言うと、職人が支配する社風だったんです。料理長がすべての采配を奮っていたので、下の人間は料理長のご機嫌ばかりをうかがってお客さまを見ない。まずはこの空気を一掃し、コックレスの社風を作っていかないと変わることはできないと考え、フランチャイズ加盟を検討しました。

髙木氏が社長を継いだ当時サンパークが経営していたレストランの画像
髙木氏が社長を継いだ当時サンパークが経営していたレストランの画像
──オリジナルの事業を展開する選択肢もあるなか、第一にフランチャイズ加盟を検討されたんですね。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

もちろんオリジナルのブランドを立ち上げる選択肢もありましたが、リスクが大きいですからね。そもそも資金繰りが厳しいので融資を受けることもできない。カネもなければヒトもいない状態で、でも会社を潰したら周りからは「二代目のせいだ」と言われてしまう。

入社した当初は後悔しましたね。ホテルマンとして働いていれば良かった、こんな会社継ぐんじゃなかったって(笑)。ただ、どうにか会社を立て直そうと、入社してすぐに3つの目標を立てたんです。

──どのような目標を立てたんですか。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

「年商100億」と「経常利益10億」「関連会社10社」の3つです。この目標を紙に印刷し、自室に貼って毎日インプットしていました。正直、当時の会社の状況を考えると途方もない目標でしたが、何か目標を立てないと会社が潰れる前に自分自身が潰れてしまいますから。

そこで、まずは会社を立て直すことを最優先し、リスクを抑えてミドルリターンが狙えるフランチャイズで検討し、「びっくりドンキー」と「洋麺屋ピエトロ」に加盟しました。

2018年、目標のひとつである年商100億を達成した記念に著書「楽しくない仕事はするな」を出版
2018年、目標のひとつである年商100億を達成した記念に著書「楽しくない仕事はするな」を出版
──失敗は許されない状況ですが、結果はいかがでしたか。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

もともと経営していたレストラン2件を業態転換し、それぞれ「びっくりドンキー」と「洋麺屋ピエトロ」としてオープンしましたが、どちらも大繁盛、大成功でした。

その結果、500万〜600万円くらいの月商だったレストランが、「びっくりドンキー」に業態変更したことで2500万〜3000万円くらいの月商に。一方、年間1000万円の赤字だったレストランは、「洋麺屋ピエトロ」に業態転換したことで年間6000万円の黒字にまで跳ね上がりました。

──絵に描いたような成功ストーリーですね。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

はい、まさかこんなにうまくいくとは思ってもみませんでしたが、結果として代替わりしてから1年後には黒字に転換しました。私がフランチャイズ加盟すると言ったときに大反対していた人たちは、この結果を見て何も言わなくなりましたね。

サンパーク 代表取締役 髙木健

フランチャイズ加盟で会社規模を拡大

──その後もたくさんのフランチャイズに加盟し、会社の規模をどんどん大きくしていっていますね。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

そうですね。「びっくりドンキー」や「丸源ラーメン」「リトルマーメイド」「ピザーラ」「博多もつ鍋やまや」「ゴンチャ」など、10以上のフランチャイズに加盟しています。

「シャトレーゼ」は海外に出店してから国内に出店し、先にも紹介しましたが「ビアードパパ」はタイに12店舗を出店しているだけでなく、マスターフランチャイズ契約をし、タイでフランチャイズ本部としての役割も担っています。

──どれも普段から馴染みのあるブランドばかりですが、フランチャイズに加盟するにあたってどのような選定基準を設けているのでしょうか。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

たとえば「びっくりドンキー」や「洋麺屋ピエトロ」に関しては、安心・安全で、かつ安くておいしい。どこの店舗に行っても繁盛していますよね。

また、加盟しているブランドをご覧になっていただくと分かりますが、多くの人が子どもの頃から口にしているものばかりなんです。そういうブランドは大人になっても変わらず食べていただけるので、長きにわたって愛されますからね。

また一部例外はありますが、基本的に1000円前後の客単価に収まるブランドに絞って加盟するようにしています。

サンパークが加盟しているフランチャイズ業態
サンパークが加盟しているフランチャイズ業態
──そういう理由で馴染みのあるブランドが多いんですね。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

そうなります。とはいえそれだけではなく、もうひとつ重要なポイントがあって。フランチャイズ加盟を検討するなら基本的なことですが、フランチャイズ本部の経営者の理念に共感できるかどうかも重要視しています。

──フランチャイズに加盟したら本部と加盟店はビジネスパートナーになるので、理念に共感できるかどうかは重要ですよね。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

はい。なかには金儲けのためにフランチャイズ展開している本部も少なからずありますから。もちろん、金儲けが悪いわけではありませんが、ブランドへの思いがないと長くは続かないと思っています。

結果的にサンパークの方針とは合わなかったりもしましたが、そういうフランチャイズに加盟した経験から学んだことも少なくありませんよ。加盟と撤退を繰り返し、現在は10ブランド以上のフランチャイズに加盟し、65店舗ほどを運営しています。

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会社成長で必要と感じたオリジナル業態の開発

──サンパークではフランチャイズ店舗の運営だけでなく、オリジナル業態の開発やフランチャイズ展開も手掛けていますが、どんなきっかけでオリジナル業態の開発に着手したのでしょうか。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

先程もお話しましたが、フランチャイズ加盟はローリスクでミドルリターンを得られるだけでなく、本部からノウハウを享受できるのでオーナーは楽なんです。なので、加盟する本部をしっかりと見極め、資金調達と立地開発、人材育成さえできればフランチャイズ加盟店としては失敗することはほとんどありません。

しかし、フランチャイズに加盟し会社を拡大していくなかで、社員たちのやる気が失われていっていることに気付いたんです。

──会社が拡大すれば、それだけでモチベーションがアップしそうですが、そういうわけにもいかないんですね。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

そうですね。というのも、フランチャイズ加盟店としてどんどん店舗をオープンしても、社員はせいぜい事業部長くらいまでしか昇給できませんからね。しかも、メニューや販促もすべて本部が試行錯誤してくれるので、社員たちはそれに従って体を動かすだけなんです。

フランチャイズ本部が掲げる理念に共感し、それを達成するために日々、運営をしていますが、一方で加盟店であるサンパークという会社の理念もある。そうなると、社員はどっちを向いて日々仕事をするべきか悩んでしまい、やる気も失っていくんです。なので、今後も会社を拡大していくためには、フランチャイズ加盟だけではなくオリジナルブランドを開発しないといけない。そう考えてオリジナルブランドに着手しました。

──はじめに手掛けたオリジナル業態はどういったものでしょうか?
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

20年くらい前にオープンした「Chouちゃんのおやつ」というシュークリーム専門店が最初でした。とても繁盛したんですが、こだわりのあまり原価が高すぎて撤退に終わってしまいました。

その後串揚げ店などもオープンしていますが、こちらも現在は撤退しています。

──すでに撤退してなくなっているオリジナル業態もあるんですね。失敗が連続すれば、オリジナルを諦めるという選択肢もあると思います。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

失敗しているという意識がないというか、撤退に追いやられるくらいは失敗ではないという考えなんですよね。よく言われることですが、挑戦して失敗するリスクよりも、何も挑戦しないリスクのほうが大きいですから。なので、何度失敗して転んでも、そのたびに起き上がってまた挑戦すればいいんです。

社内でもこの社風は根付いているので、誰かがつまずいても責める社員なんていませんよ。

社内全体に失敗を恐れず挑戦する社風が根付いている
社内全体に失敗を恐れず挑戦する社風が根付いている
──髙木代表がそれを体現しているので、社内に根付いているんですね。

そうだと思います。最終的に責任を取るのは代表の私ですから。そんな空気もあって、社員発案のセルフ脱毛サロン「K9(ケーナイン)」が2021年11月にオープンする予定です。

「新規事業のアイデアを出すように」なんて言ってないんですが、突然、フランチャイズ加盟している「エニタイムフィットネス」の店長から「提案があります」と言われて。話を聞いたらおもしろかったので「やってみろ」って感じで話が進みました。

2021年11月、大阪・心斎橋にオープンしたセルフ脱毛サロン「K9」
2021年11月、大阪・心斎橋にオープンしたセルフ脱毛サロン「K9」
──オリジナルの業態開発も順調そうですね。加盟しているフランチャイズ業態にオリジナル業態を加えると、管理が大変そうに思いますがメリットはあるのでしょうか?
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

社員としては、一社にいながら多くの経験を積むことができますし、それだけ挑戦の土壌があります。また例えばですが、ある物件で挑戦した業態が撤退を余儀なくされても、違う業態に入れ替えることもできますし、選択肢があることで会社としてもリスクヘッジができます。

──なるほど。では今後、新たに加盟を検討しているフランチャイズがあれば教えてください。
髙木珈琲のフランチャイズWEBリポート編集部

髙木社長

いつもフランチャイズ加盟は検討しているんですが、競業避止の制約を受ける業態もありますし、すでに複数のオリジナルブランドを展開していてノウハウもあるので、良さそうなフランチャイズを見つけても「自社でできる」という思考になってしまうんですよね。

なので、少し前で言えば「ゴンチャ」のようにネームバリューのような自社では真似のできないキラーコンテンツがあれば、今後もフランチャイズ加盟することもあると思います。

──フランチャイズ成功の秘訣についてお伺いしました。ありがとうございました。

メガフランチャイジーからフランチャイズ本部へ

赤字経営で、カネもヒトもない状態を立て直すために加盟したフランチャイズ。それが功を奏し、今となってはさまざまなフランチャイズに加盟して成功を収めているだけでなく、そのノウハウを元に自社ブランドの開発に着手。フランチャイズを含めて国内外で35店舗以上の自社ブランドの店舗を展開中です。

ちなみに本文中に登場した「メガフランチャイジー」とは、複数のフランチャイズに加盟したり、増店を重ねることで事業拡大を図っている企業のこと。その定義は「FC店舗を30店舗以上展開、或いはフランチャイズでの売上額20億円以上の企業」と言われることもありますが、この限りではありません。 詳しくはコチラでも解説しています。

続く後編では、フランチャイズ本部としてのサンパークにズームイン。フランチャイズ加盟を検討している方は、後編もあわせてご覧ください。


サンパーク 代表取締役 髙木健

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