九州の老舗菓子メーカーが「アパホテル」のフランチャイズに加盟した理由とは?

竹下製菓 株式会社 代表取締役社長 竹下 真由 |2023年01月04日 公開 (2023年06月06日 最終更新)
老舗菓子メーカー「竹下製菓」のグループ会社「竹下コーポレーション」 代表取締役社長 竹下 真由

2018年に某ホテルFCからアパホテルへのリニューアルオープン(リブランド)を果たした「アパホテル佐賀駅南口」。加盟したのは、老舗菓子メーカー「竹下製菓」のグループ会社「竹下コーポレーション」です。竹下製菓といえば、誕生から50年以上愛され続け、地元の佐賀県だけにとどまらず、“九州のソウルアイス”とまでいわれる「ブラックモンブラン」を生み出した菓子メーカーです。

この記事では、アパホテルのフランチャイズに加盟した竹下製菓株式会社の竹下真由 代表にインタビュー。リブランドに至ったきっかけや、「アパホテル」に決めた理由、加盟後の変化などについてお聞きしました。

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30秒でわかる「アパホテル」

海外を含めて400店舗以上を展開する「アパホテルズ&リゾーツ(以下、アパホテル)」。アパホテルといったら、派手な帽子を被った元谷芙美子代表を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

奇抜ともいえるブランディングで認知を高める一方、じつはアパホテルは、ホテル業界でいち早くデジタル技術を積極導入し、オペレーションの簡略化に着手。さらに、コロナ禍でトレンドになった「非接触」による自動チェックイン機を世界ではじめて開発したのもアパホテルなのです。

業界の革命児ともいえる「アパホテル」のフランチャイズには、異業種はもちろん、既存のホテルをリブランドするかたちで加盟するケースが多いのも特徴のひとつ。リブランドしたケースでは初年度から稼働率が30%アップしたほか、およそ4年で加盟前の売上の2.8倍を達成しているケースもあり、注目されています。

アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下製菓 株式会社 代表取締役社長
竹下 真由

大学を卒業後、大手コンサルティング会社に入社。その後、2011年に家業の竹下製菓に入社。商品開発室長を経て、2016年に5代目として代表取締役に就任。

九州のご当地アイスで有名な竹下製菓

──まずは、竹下製菓について教えてください。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

「竹下製菓」は菓子メーカーとして1927年以前に佐賀県で設立しました。会社を設立した当初からお菓子を作っています。そんななか、1969年に誕生した「ブラックモンブラン」というアイスがヒットしたおかげで、いまではアイスの会社と認識いただいている方が増えています。

設立当時の製菓工場の様子
設立当時の製菓工場の様子
──ブラックモンブランは、九州で “ソウルアイス”ともいわれているほどの人気と聞いています。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

そういっていただけるのはとても嬉しいですね。じつはアイスだけでも20種類ぐらい作っていて、ブラックモンブラン以外にも「ミルクック」や「トラキチ君」「おゴリまっせ」「しっとるケ」などを主力商品として売り出しています。

お菓子も10種類弱ほど展開しており、マシュマロが中心です。ただ、最近は砂糖とゼラチンで作る昔ながらのお菓子「フローレット」が、YouTubeで流行っているASMRで「食感がおもしろい」と取り上げていただくこともあって。思わぬところから認知が高まっています。

竹下製菓の販売する代表的なアイス
竹下製菓の販売する代表的なアイス
──ここまで聞いていると、ホテル事業とは無縁に感じますね(笑)

ホテル事業を拡大させるためにリブランドを決意

──ホテル事業は1996年にスタートしていますね。ホテル事業をスタートした背景から教えてください。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

いまでこそ佐賀駅周辺はホテルなどもあって賑わっていますが、当時は駐車場ばかりだったと記憶しています。いまアパホテルが建っているここも昔は駐車場でした。

そこで、会長である父が「地域に賑わいをもたらしたい」「人が集まる場所を作りたい」という想いを込め、この地にホテルを建てようと考えたそうです。

──ホテル事業をスタートさせたのは、地域活性化が目的だったのですね。ホテル運営のノウハウはあったのでしょうか?
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

もちろんそれまではずっと菓子メーカーとして歩んできたので、当然のことながらホテル運営のノウハウなんか持ち合わせておりません。ノウハウを享受いただくため、某ホテルのフランチャイズに加盟したと聞いています。

──初のホテル事業の手応えはどのように伺っていますか?
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

開業後は、まわりにどんどん新しいホテルが建って大変な時期もあったみたいです。でも、コロナ前の何年かはインバウンドなどで業界全体が活況でしたし、売上は十分に上がっていましたね。

──てっきり、ホテル事業の立て直しを図るために、アパホテルに加盟したのだと思っていましたが、そうではなさそうですね。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

そうなんです。「稼働率や売上を上げるため」というよりも、将来のことを考えた結果、アパホテルなど別のフランチャイズ加盟を検討し始めました。

──将来のことというと?
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

簡単にいうと両社の方向性に食い違いが出てきたんです。というのも、もともとフランチャイズ加盟していた某ホテル本部の方針が、フランチャイズ事業を強化してどんどん出店していこうという流れではなかったんです。

一方の弊社としては、製菓事業と同様にホテル事業も伸ばしていきたいと考えていました。そうなると、取れる選択は2つで、某ホテルとのフランチャイズ契約を解除してオリジナルの事業で展開するか、ほかのフランチャイズに加盟するかでした。

──オリジナルとなると、ブランディングもかねてホテル名を「モンブランホテル」にするなどもできますし、なにより方向性を共有できますね。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

そういうことも考えていましたが、そんなタイミングで、アパホテルのフランチャイズ事業説明会の案内状が届いたんです。おそらく2017年頃だったと記憶しています。そこで事業説明会に参加したところ、未来に向けたシステム面への投資、わかりやすくいうとデジタル化にもしっかり取り組んでいてパートナーとして心強いと感じました。

以前加盟していたフランチャイズよりもロイヤリティは高くなりますが、ホテル事業をより拡大していくと考えると、オリジナルで展開するよりはアパホテルのフランチャイズに加盟するのがベストだと考えました。

──アパホテルでは独自で開発したITパッケージを有していて、フランチャイズに加盟するとそのシステムをすべて利用できるのがメリットですね。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

自社で開発するのは無理がありますからね。わたしが知る限り、業界内ではアパホテルがもっともシステム面で先をいっている。どこよりも進んでいるという印象を受けました。未来を見据えてきちんと先行投資をするビジネスセンスはもちろん、事業にかける想いや信念も感じました。

この先20年、30年かけて事業を拡大していくためにはアパホテルしかない。そう考えて、2018年にアパホテルのフランチャイズに加盟することにしました。

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リブランドした結果、稼働率は変わらずに売り上げアップを実現

──2018年7月にオープンさせていますが、リブランドはどのように進めていったのでしょうか。
2018年にオープンした「アパホテル佐賀駅前」
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

新規開業ではなくリブランドだったので、稼働していた既存の設備などはそのままに、まずはアパホテルの基本となる大型50インチテレビやオリジナルベッドだけ導入し、スモールスタートさせました。

クロスや床、扉などは最初のタイミングで変えてもいいですし、ある程度落ち着いたタイミングで変えてもいいといわれていたので、弊社の場合は1年ほど運営し、2段階目で壁紙やデスクを変更し、2020年4月にようやく全客室のリニューアルが終了しました。初期投資としてはざっくり4億円になります。

──稼働率や売上アップが最大の目的ではないとおっしゃってはいましたが、その部分はいかがでしたか。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

アパホテルに加盟した翌年の2019年は、過去最高に近いくらいの売上を記録しました。ただ、稼働率はそこまで変わってないんですよね。でも、さまざまなノウハウを注入いただいたこともあり、1室あたりの単価が上がって稼働率が変わらずとも売上が過去最高レベルに達したんです。

──具体的に教えてください。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

たとえば、団体客主体から個人客主体になると1室あたりの単価は上がりますよね。以前は法人契約や旅行代理店からの送客も多かったのですが、そうなると単価は下がってしまう。価格を上げたくても昔からの付き合いなので上げられなかったんです。

アパホテルにリブランドしてからは、こちらの条件をシッカリと提示したうえでご判断いただいています。また、いまはネットでご予約いただく個人のお客さまの割合が増えたので、稼働率はあまり変わらずとも売上が上がるようになりました。

──なるほど。団体客の場合はまとまった室数を予約してもらえる代わりに、単価を下げる必要がありますからね。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

そうなんです。それを実現できているのは、アパホテル本部のサポートがあるからこそ。たとえば、『じゃらん』などの予約サイトに掲載するときの見せ方ひとつ考えても、いま思うと以前はそこまで考えられていなかったな、甘かったなって。

というのも、アパホテルでは予約サイトに掲載するにあたってチェックポイントが30個くらいあるんです。掲載する画像の枚数や解像度などそれを全部クリアしないといけない。すべてのチェックポイントをクリアしてはじめて上位に表示されるんです。

──上位に表示させるためのテクニックがたくさんあるんですね。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

はい。今までもなんとなくはやっていたんです。でも、それが正解なのか分からないのですべてが手探りでした。いまはアパホテル本部がゴールに導いてくれるので、かなり近道をしてベストな戦略でホテル運営していけている実感があります。 製菓事業を走らせつつ、さらにホテル事業を成長させていかないといけないので、アパホテル本部の力をお借りするのが最善だと感じています。

──どういったときに「アパホテルでよかった」と感じますか。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

普段からノウハウを享受いただける点はもちろんですが、コロナ禍はとても心強かったですね。はじめてのことで誰もが手探りのなか、アパホテル本部は常に方向性を示してくれました。たとえば、ホテルで陽性者が出たときも本部の指示に従って対応できました。自社だけで判断したらそれが正解かは分かりませんが、相談すればベストな対応を指示していただけるので心強かったですね。

──フロント前にはアイスの自動販売機が置いてありましたが、ブラックモンブランも販売していましたね。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

そうなんです。ホテルに宿泊していただく方が部屋に戻る前に買ったり、ロビーで待ち合わせする際に待ちながら食べたり。

あとは、ご近所の方がアイスだけを買いにきていただくことも結構ありますね。「コンビニに買いにいく必要がないので助かる」とよろこんでいただいています。

アパホテルのフランチャイズ2号店を大分県に!そのわけは?

──2022年4月には2店舗目となる「アパホテル別府駅前店」がオープンしましたね。佐賀県ではなく、あえて大分県に2号店をオープンさせたのは理由があるのでしょうか。
2号店として2022年4月にオープンした「アパホテル別府駅前」
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

早い段階で2店舗目は検討していましたが、たまたまご縁をいただいて大分県になった、というのが大きな理由です。
ただ、とても運命を感じていて、じつはブラックモンブランの認知度が九州のなかで大分県だけ圧倒的に低いんです。福岡県では100%の認知度で、それ以外の県も80〜90%の方に認知されているのですが、大分県だけなぜか65%くらいしか認知されていなくて……。

──大分県だけ認知度が低いのですね。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

そうなんです。大分県の方々にも認知していただくためにはどうするべきかと考えていたタイミングということもあって。大分県で2店舗目をオープンしたら認知を高められるきっかけになるかもしれない。そう思って大分県に2号店をオープンしました。

──そういう経緯があったのですね。奇しくもアパホテルも大分県に初出店となりましたが、不安はありませんでしたか。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

その点に関して不安はありませんでした。ビジネス利用のお客さまは遠方からくることがほとんどです。アパホテルは全国的に知名度が高く、累計で2000万人を超えるアパカード会員様が全国のアパホテルにご宿泊をされています。そうした方々が大分にご宿泊の際は指名検索してご予約をいただけるわけですから。

──コロナ禍のオープンでしたが、稼働率や売上などはいかがでしたか。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

ゴールデンウィークは良かったのですが、その後は少し苦戦をしいられてしまいました。ただ、スーパーバイザーからさまざまなアドバイスをいただき、それを実行することで2022年8月は目標に到達しつつあります。

先程もいいましたが、ロイヤリティは以前フランチャイズ契約していた某ホテルよりも高くなっていますが、その分のサポートなどはしっかりとしていただいています。ホテルの建築中もサポートが手厚くて驚きました。

──建築中のサポートというと、設計面でのアドバイスなどでしょうか?
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

そうです。てっきり設計図を作って終わりかと思ったら、完成する最後の最後まで本部の担当者から細かい手直しが何度も入って。「こっちのほうが良いのでは?」「いや、このほうが……」という感じで。

1号店はリブランドだったので分かりませんでしたが、2号店は完全に新規なので身に染みて感じました。「ここまでこだわってやってくれるんだ」と。

──アパホテル本部のサポートの手厚さが伝わってきます。まだオープンして半年ほどですが、ブラックモンブランの認知度向上について手応えはいかがですか。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

まだまだこれからですが、各所から「コラボレーションしたい」という声も挙がっているので今後に期待したいですね。直近でも、これまでも熊本県山鹿市とのコラボ商品「山鹿和栗ブラックモンブラン」を発売するなどしていて。大分県でも、今後、コラボ商品を販売することもあると思います。

──最後に、今後の目標や展望について教えてください。
アパホテルズ&リゾーツの竹下 真由

竹下代表

製菓事業で成長を続けてきたのは間違いありませんが、ホテル事業もすでに20年以上展開しています。今後は売上の比率が半々くらいになるよう、よりホテル事業を成長させていきたいですね。

そのためにも、2号店の「アパホテル別府駅前店」をしっかりと軌道に乗せるとともに、ご縁しだいではありますが、3号店の出店も進めていければと考えています。

──ありがとうございました。

「アパホテル」のフランチャイズ加盟店取材を終えて

「お客さまより従業員の数のほうが多かったときもありましたよ」──コロナ禍のことをこう語る竹下代表の言葉が印象的でした。しかし、そこから2年あまりで復活を遂げ、目標の稼働率、売り上げに迫っていると笑顔で話してくれた竹下代表。

飲食店同様、コロナ禍をきっかけにホテルの明暗がはっきりしています。何が正解か分からず、暗く、長いトンネルをさまよい続けている方もいるはずです。そんなときに頼りになるのが、パートナーとして支えてくれるフランチャイズ本部の存在だと、この取材で改めて感じました。既存のホテルの立て直しを図りたいと考えている方は、アパホテルのフランチャイズを検討してみてはいかがでしょうか。現状を打破するきっかけになるかもしれません。


老舗菓子メーカー「竹下製菓」のグループ会社「竹下コーポレーション」 代表取締役社長 竹下 真由

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