株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役川上 健一郎
2015-05-25 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

フランチャイズ本部選びの基準は明確か?~後篇~

 このコラムのポイント

今回は本部の支援体制を店舗数の規模で見極める方法や収益性の見方について触れていくような内容です。フランチャイズで独立するといっても、やはり自身の目で収益性などは確かめる必要があるので知っておくと便利でしょう。

フランチャイズWEBリポート編集部


みなさん。こんにちは。
それでは前回に引き続き、「フランチャイズ本部選びの基準」と言うテーマでお話しさせて頂ければと思います。
そこで今回は、まず「本部のステージ」という話から触れていきたいと思います。

本部のステージを見てFCの支援体制を見極める

私もよくお話させて頂くのですが、フランチャイズ本部を選ぶにあたって、その本部側が現在どのステージにいるのか?と言う事を知っておいて頂く事が大切だと思っています。

例えばそれを船に例えると、出来たばかりの本部は手漕ぎの船かも知れませんし、小さなボートかも知れません。それに対して、1000店舗規模の本部になると、豪華客船のように色々設備が整っているイメージです。

今まで私が色々な本部を見てきた経験上でお話させて頂きますと、基本的に、FC加盟店の数が1店舗~30店舗の場合はまだまだ本部には十分なFC本部としての機能が整っていません。

今一番注力しているのは加盟店の成功事例を作る事という段階だと思います。直営での成功事例はあるかと思いますが、まだ十分な成功事例を有していない本部が多いでしょう。

続いて30店舗~100店舗くらいの本部ですが、こちらに関してはある程度の加盟店の成功事例は出てきている段階ではないでしょうか?

ただ、まだまだ本部には資金的な部分でも十分な体力が無いため、運営サポート面、本部の人員等はまだまだ整っていないのが現状ではないかと思います。

では、100店舗~300店舗の本部はどうでしょう。

このステージの本部は多く存在していますが、私の経験上100店舗を超える本部になると様々な成功事例が存在しています。それは、加盟店の成功事例が無い場合、この店舗数にはFC本部は成長しません。ですので、成功事例は色々あるかと思います。

ただし、本部の運営サポート体制やシステムというのは、ようやく整い始めたという段階かと思います。

続いて300店舗~1000店舗の本部ですが、ここはもちろん成功事例もありますし、サポート体制、人財に関してもシステムもだいたい整っているという段階かと思います。

1000店舗以上の本部については、いうまでもなく成功事例やサポート内容も業界未経験の方が加盟されても安心してスタートできる準備がほぼ整っているのではないでしょうか。

わかりやすい言葉で言うと、どこに出店したら勝てて、どこに出店したら負けると言う事がわかっているのがこのステージの本部なのではないかと思います。

このように加盟店数に応じて本部側もステージが変わってきます。

加盟店の数が少なければ少ない程、出店エリアも有力なエリアが空いていてうまみがあると言う見方もありますが、その分リスクがあるのも現実です。

業界での経験や資本も含めた経営力があるのならそのステージの本部で勝負するのも一つでしょう。

安全な起業と言うのはもちろんありませんが、ある程度のステージに来ている本部の方が安心材料は多いかもしれませんね。

単月黒字化までの期間をどう見るのか

続いては、「単月黒字化までの期間」についてです。
これは、皆さんお分かりかと思いますが、文字通り単月で黒字化できるまでに要する期間のことを言います。

ここが1年以上かかる事業もありますが、もし私が加盟するとなるとちょっと検討し難いなぁと言うのが私の印象です。

ここでの私の目安とする期間はだいたい3ヶ月〜半年以内には黒字化したい所ですね。理由としては、3つあります。

1 資金面の問題

2 多店舗展開するには非常に時間がかかる

3 赤字を垂れ流す事で経営者の精神的なストレスが大きくかかる

というのが私の場合大きな理由です。

現代は、非常に移り変わりの早い時代ですので、そこで1年以上はかかると言われてしまうとちょっとリスクが高いイメージが強いです。

投資回収期間、収益性を自分でも計算してみる

続いて、最後ですね。最後は『投資回収期間、収益性』についてです。

私は先週、『理念に共感できる』ビジネスを選びましょうとお話ししました。
ですが、わかりやすくいうと経済性が弱いビジネスはもちろんオススメしていません。

それは、当たり前の話ではあるのですが、収益性が弱いと言う事はちょっとした、近隣の環境変化でもビジネスが継続できなくなる可能性があるからです。

そう言った部分では、社会性と経済性の両輪がしっかり整っているか?という視点が大切だと言う事をご理解頂ければと思います。

私がフランチャイズ本部の支援をお手伝いするときにその本部を選ぶポイントとして考えているのが、『初期投資回収期間、収益性』です。

目安としては、2年~3年で回収できるモデルに出来るかどうか、収益性としては営業利益率、利益額どちらかの部分がしっかり基準を満たしているか?と言うポイントを直営店の数値を参考に見ていきます。

そう言った部分では、皆さんの場合で言うと本部の直営や実際の加盟店の実績を確認し、実際本部から出してもらっているシュミレーションだけでなく、自分自身でもしっかりシミュレーションを行い、本部に確認してもらった上で進めて行って頂いた方が宜しいのではないかと思います。

いくらシミュレーションをしたからと言ってもその通りにならないのが起業であり経営です。だから面白いとも言えます。

様々な想定を行うにあたってシミュレーションをしっかり行う事も加盟前に行わなければ行けない大切な作業です。是非行ってみてください。

皆さんいかがでしたでしょうか?
少しでも参考なりましたら幸いです。

株式会社ディライト・ジャパン 代表取締役 川上 健一郎

福岡県嘉麻市出身。久留米大学法律学部卒在学中、学費や生活費を全てアルバイト代で捻出するため、株式会社光通信関連企業にて営業職に従事し、そのまま就職。その後家業の造船業を経て、2001年長谷川興産入社。加盟店開発の統括責任者として入社当時の200店舗から800店舗までを牽引。退社後は、コンサルティング会社を経て「日本のフランチャイズビジネスの成功率を10%引き上げます!」をミッションに2008年にディライト・ジャパン設立。現在、全国様々なフランチャイズ本部の本部支援コンサルティングを実施。