ATカンパニー株式会社 チーフコンサルタント橋口 健太郎
2015-09-15 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 チーフコンサルタント 橋口 健太郎

事業資金と資金調達時に抑えるべき3つのポイント

 このコラムのポイント

フランチャイズで独立する場合も先立つものとして資金が必ず必要です。今回のコラムでは、事業資金と資金調達に関しておさえたいポイントがシンプルにまとめられています。

フランチャイズWEBリポート編集部


はじめに

事業の取り組みを行う際に、必ず元手となる資金が必要になり、その際に、自己資金で賄えない場合は、何らかの資金調達を選択することになります。

1.幾らの事業資金を想定し 2.どのように資金調達を行うのか
ということを考えなければなりません。

事業資金について押さえたいポイント

先ずは事業資金についてですが、重要なポイントが下記の3つになります。

1.初期投資

加盟金や保証金、物件取得費、内外装工事費用、什器備品、消耗品など事業をスタートするまでに必要な資金になります。

フランチャイズ本部に支払う費用は固定ですが、物件によって、取得費や内外装工事費は大きく変動しますので、取り組みを想定している地域での対象物件の相場感を調べることと、出来れば事前に想定物件を出して内外装の見積もりを確認すると、より差異は小さくなるかと思います。

2.運転資金

PL(損益計算書)ではなく、CF(キャッシュフロー計算書)で判断をしなければなりません。売上=現金の事業もありますが、中には売上が立ってから数か月後に現金が入る事業もございます。現金の入出金の流れを事業計画で確りと想定し、事業スタートしてから想定される運転資金を計算する必要があります。

3.返済原資

金融機関等から借入を行うと、元金の返済が発生をします。
当然、これも想定をして借入を行わなければなりません。現金の入出金がプラスになり、その返済原資から元金の返済を行う為、事業のPLだけを見て借入を行うと返済が滞る可能性がありますので、十分に注意してください。
前回掲載のコラム「事業計画の見方と注意点について」の回でも解説をしているので、改めて確認をして頂ければと思います。

資金調達について押さえたいポイント

企業の資金調達と個人の資金調達では活用方法も変わってきますが、大きくは下記の3つが想定されます。

1.金融機関等からの借り入れ(負債の増加)

資金調達として負債を増加させるものとしては、金融機関からの借り入れや社債の発行等があります。この方法の特徴は、「返済期日に資金返済をしなければならない」ということであり、重要なポイントとして、「企業の信用力が強く問われる」ということです。

借り入れの場合、多くのケースでは担保の設定を求められます。資金を貸す側が担保さえ押さえておけば企業に信用力が無くても貸し付けができる、と考えるためです。結果として、土地建物などの価値の高い資産を保有する企業や、継続して安定した売上収益を上げている実績のある事業でないと利用しづらい方法であるともいえます。創業時に借り入れをおこなう方法として、政府系金融機関からの融資や信用保証協会の保証付き融資が多く利用されています。

これらの融資を受ける際に、気を付ける点としては融資実行時期を必ず確認するようにしてください。例えば上記の創業融資を受ける場合は、事業を行う場所が確定(不動産契約書)をもって融資実行という場合があります。そうすると、物件取得を行う段階までは自己資金もしくは他の資金調達を考えて取り組みを行う必要がございます。

2.株式の発行

株式の発行による資金調達には、公募増資・株主割当増資・第三者割当増資などがあります。この方法の特徴としては、借り入れや社債と違って返済義務や支払利息を伴わずに多額の資金調達が可能であることや、自己資本に厚みを持たせること、などがあげられます。さらに、金融機関からの借り入れ等の際と違い、資金の使用使途などが限定されず担保や保証人の必要もない、といった特徴もあります。

上記のような多くのメリットをもつ株式発行ですが、この方法には「事業主が経営をコントロールできなくなる可能性がある」という大きなリスクもあります。通常の株式発行の場合、株主には持ち株に応じた株主総会での議決権が認められます。結果として持ち分に応じた経営権を移譲することになり、事業主の意図しない買収合併や役員の変更等の手段を選択されてしまう可能性もあります。株式発行に際しては入念な計画をもとにした資本政策が必要となります。

3.補助金・助成金による資金調達

この他に、国や都道府県などがおこなっている助成金や補助金を活用した資金調達という方法があります。助成金・補助金は原則的に返済が不要なため、うまく活用できれば大きなメリットとなります。

中小企業向けの助成金・補助金制度は、中小企業の振興を目的としたもの、技術開発を目的としたもの、雇用の安定を目的としたものなどがあります。各種助成金・補助金の制度には、申込み期間が限定されていることも多いので、各機関のホームページなどをまめにチェックすることなどが必要です。

補助金や助成金はその性質柄、事業の取り組みに対する制約や制限が設けられているものもあり、結果としてはフランチャイズに合わないケースもありますので、フランチャイズ本部に相談をしながら検討を進められることをお勧めします。

ATカンパニー株式会社 チーフコンサルタント 橋口 健太郎

新卒で経営コンサルティング会社に入社し、フランチャイズの基礎を学ぶ。その後、ATカンパニーの設立メンバーとして参画し現在に至る。企業の経営戦略に沿って、有望な新規事業を提案し、経営改善を行うことが最大の経営コンサルティングであることを信念に、有望フランチャイズ事業の発掘及び展開に従事。