販路企画 代表田口 勝
2016-01-20 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

今更聞けない!中小企業が売上アップ・改善をはかるときに必要な「KPI」設定3つ

 このコラムのポイント

KPIという言葉は、企業目標の達成度を評価するために使われる専門用語です。中小企業経営者なら意識しておきたいキーワードですが、具体的にどう設定したらいいのか?自社の売上アップや改善のヒントになるポイントを元セブン-イレブンOFCの経営コンサルタント、田口勝氏に解説いただきました。

フランチャイズWEBリポート編集部


中小企業経営者なら知っておきたい「KPI」とは?

先日セミナーを開催した際に、『これからの中小企業においてのKPIは何がいいのか?』というご質問を頂きました。本日はこの点について、お話をしたいと思います。

そもそも『KPIとは何?』という方もいらっしゃると思いますので、その内容から説明をしたいと思います。
KPI=Key Performance Indicator の略称となります。

これでもわかりづらいと思いますので、簡単に説明を行うと『企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標』のことを言います。

目標の達成度を図る指標です。これは戦略や計画の達成度の指標となります。

例えば、客数を上げるという戦略があった場合には、新規客を〇人増やすや既存客の割合を〇%にする等がこのKPIとなります。

中小企業では、あまり考えない指標のようですが、実は非常に重要な指標となります。
企業の最終目標は、利益の改善ですが、利益を改善するためには、売上の改善や経費の改善があります。

売上改善には顧客による「購買行為の達成目標」を立てる

では売上を改善するには、客数を改善する必要があるのか?客単価を改善する必要があるのか?という視点となりますが、『客単価を改善しよう』としても現場では何をしていいのかわかりません。

ですから、行為に関する達成目標を立てます。例えば、客単価を構成するものは、以前のコラムでもでも述べましたが、『買い上げ点数』と『1点当たりの単価』となると思いますので、『買い上げ点数』を今の3.2⇒3.5にしようというのがKPIと呼ばれる指標ということです。

KPIは具体的に現場で改善活動を行う上で、行為の達成目標指標と言うことです。私は、コンサルティングの際には、必ずこのKPIを3つ設定しております。

なぜ3つかというと論理的な根拠はないのですが、現在マーケティング戦略支援を行っていると、当然打つ手の数が多ければ多いほど、数値改善には繋がりますが、現場での徹底度が下がるので、一番結果が出やすいという経験値が3つなのです。

中小企業が現在の経営環境から考えるべき「共通のKPI」3つ

これからの中小企業全般における、社会環境の変化を考えると次のようなKPIが必要になってくると思います。当然、現在までお話した商圏や業界によっては変化するものと思いますが、おおよその環境は当てはまっているものと思います。

KPIその1.フランチャイズなら商圏シェア、個店なら来店頻度

1つ目は人口減少という環境を踏まえてのKPIです。これは客数改善に起因する行為です。

それは『商圏シェア』又は『来店頻度』であると思っております。多店舗展開を積極的に行っているフランチャイズチェーン本部等は当然、商圏シェアとなると思います。独立起業を行ったばかりの個店は『来店頻度』になるのではないかと思います。

つまり、人口が減少するので、同じ人に何回も来店してもらわないといけないということです。それで要は『客数』を維持するということなのです。
この来店頻度は、食を扱う業界でも違うと思います。

例えば、日用品等を多数扱うコンビニやスーパー等は、週1回を2回にできないか?という視点になると思います。飲食業のフランス料理店なら1年に1回という来店頻度からもしれませんが、それを半年に1回にできないかと考えるのが、来店頻度の改善となります。

KPIその2.客単価(買い上げ点数)

2つ目は、客単価の改善に起因するもので、『買い上げ点数』の改善です。
1点当たりの単価を改善する目標を業種によっては、掲げることもありますが、おおよその企業様は、値上げを実施していくということは付加価値を変えないと難しいと思いますので、『追加で何か購入してもらう』ということになると思います。

これは関連購入を増やすということで全業種に当てはまる戦略です。
例えば、パソコンを販売しているお店が追加でインターネット接続機器を販売するということです。次のコラムではこの客単価改善の方法について考え方をお話していきたいと思っております。

飲食業界でも同じです。通常メニューに追加して、『本日のお勧め』を従業員さんが『お勧め販売』をしたりすることもこの『買い上げ点数』を改善する行為となります。

人口が減るのであれば、単価を改善して、売上を維持、伸ばしていこうと考える戦略になります。

KPIその3.従業員の戦力化人数

3つ目は、個々の企業様によっては変わることが多いですが、私は従業員の戦力化人数というのも重要な指標となると考えております。

2つ目の客単価の改善は、おおよそ販売をする営業マンや接客をする従業員さんの接客技術の改善がなければ達成することはできません。

例えば、当初は、お客様に『お勧め販売ができる』従業員さんは1人しかいなかったものが10人全員できるようにすると当然、客単価が上がります。つまり教育や人が動きやすい仕組みに対してKPIを設けるということです。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。