販路企画 代表田口 勝
2016-02-24 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

セブン元店長が語る「働きたいけど働きにくい」と感じている3タイプの労働者とは

 このコラムのポイント

人手不足といわれる昨今、実は経営者側が「働きたい」と本当に感じてくれている労働者を見逃している可能性があります。こうした労働者は主に3タイプあるとここでは分析されていますが、果たしてどのような労働者たちなのか?対処法も解説しています。

フランチャイズWEBリポート編集部


求人の「需要と供給のミスマッチ」がいま起きている

今回、人手不足対策に関する対応コラムの第3弾になります。
現在までのコラムで、『人手不足を解消するには?』『退職率を低下させること』『求人募集の方法を変えること』をお話しました。今回は『求人の対象』についてお話をしたいと思います。

これはフランチャイズ起業を検討の方以外も、独自のビジネスモデルで起業される方、既に事業を長く行っている方も対象となるお話となります。

人が集まらないというのは、『働いて欲しい』という企業側の需要に『働きたい』という労働力の供給が追い付いていないということです。

現在の有効求人倍率の平成27年度の平均は1.20倍(厚生労働省調査)という状況であり、1人に対して、1.20社が求人を募集している計算となります。これは平成26年よりも+0.11ポイント上昇しています。

平成22年以降ずっと右肩上がりという状態です。つまり、『買い手市場』が伸びてきていることです。

しかし、これに対して、今後はどうかというと『人口減少』というキーワードをもとに、『人口が減少』し、更に『少子高齢化』の影響を受けて、『働き盛り』はどんどん減っていくということは皆さんもよくご存じのことであると思います。

これまでのコラムでは、現在の『働き盛り』の層をどのように獲得するかについてお話をしてきましたが、今後将来的に考えるとこれも行き詰る時が来るとも思っています。

では、どうすることも出来ないのか?というと実は、まだまだ改善の余地があるのです。

需要>供給。働きたいけど働けないと感じる潜在層3つ

つまり『働きたい』という意思がある人が、ハローワークに行き、求職の意思表示をして、その人の『就職状況』を表したものです。

あくまでも『働きたい』という意思が表明された人が対象であるということです。
しかし、これには『働きたいと思ってはいるけど、現在の状況を考えると働けると思っていない』人は、表明はしませんので、表されていないのです。

『働きたいけど・・・働けない』層が実は3つあると思っており、私は今後、この層が働ける職場をつくることが必要であると思っています。

それが、『主婦』『高齢者』『外国人』の3つです。
それぞれは、雇用側も労働者側もお互いに何か問題があり、雇用側は敬遠しがちであり、労働者側も『働くことが難しいのでは?』と思っている層でもあります。

私は実は、その3つの層全てを雇用した経験があり、その方々の思いや考えを理解しております。その方の反応は実は『私が働けるとは思っていなかった・・・』という反応でした。

これには、3つの層の方々の働くことに関する障害があるのです。

「働きたいけど働けない」と感じている3つの潜在層

1.主婦

主婦の方が働く動機は、家計の補填又は自身の小遣いのアップが目的のケースが多いようです。そのため、旦那さんの扶養にはこだわる方が多く、稼ぎたい額が決まっています。

働く障害は実は、子供さんの存在です。保育園や幼稚園、小学校がありますが、一番心配なのは、『病気の時に休めるのか』という視点です。

小学校から帰ってくるまでなど制約はあることが多いですが、この主婦層は非常に責任感も強く。従業員の戦力化がしやすく、シフト体制を構築することで採用が可能と考えます。

家庭との両立が出来る体制を構築することが鍵となります。

シフト体制の工夫は、次回のコラムでお話をしていきます。

2.高齢者

高齢者の方は、実は『働きたい』と思っている方は非常に多いのです。
特に定年退職をしてすぐの方は、仕事を退職し、家にいても『何かやりがいがない』という感覚です。

しかし、通常の店舗で働くということに『気がひける』と思い、応募さえもためらっておられる方が多いのです。

『気が引ける』理由は、『仕事の内容が覚えられるか?』という視点と『職場の若い仲間と一緒に働けるのか?』という視点です。

つまり、仕事の内容に対する教育体制と職場の高齢者を受け入れる雰囲気づくりが重要となります。

主婦同様、責任感は強い方が多く、接客等はこれまでの経験を活かして非常に丁寧など非常に良い面もある傾向が強いと思います。

3.外国人

外国人の方は、多くは、留学生の方が働くということが多い状況です。
近年、コンビニや飲食店では増加してきておりますが、まだまだ、企業側が敬遠しがちなのではないかと思います。

働く動機は生活費の確保が主な理由ですが、企業側が敬遠される理由は『言葉の壁』ではないかと思います。日本語が全くという方は、採用は難しいと思いますが、留学生は日本語が流暢な方も非常に多いのも事実です。

しかし、文章の日本語が苦手な方もいらっしゃいますので、写真を活用したマニュアルの作成等、視覚で理解することができるマニュアルや教育の方法が重要となります。

留学生同士の横のつながりは非常に強く、紹介ももらえやすいのが外国人と思います。採用の際には、ビザの確認は忘れずにして頂きたいと存じます。

多様性を重視した採用は企業にとってもマイナスではない

今回は、採用の対象についてお話を致しました。今後は、いろいろな層を採用していく企業側の対応が必要になる時代です。

新しい層は新しい仕組みの構築が必要となりますが、決してそれは、企業側にとってマイナスになることではないと思います。

例えばインバウンド対策。来店が多い外国の方と同じ国籍の方を採用していたらどうでしょうか?言葉の問題が解決されます。人手不足解消という現在の課題をチャンスに捉えることができるように是非、前向きに取り組むことをお勧め致します。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。