販路企画 代表田口 勝
2016-04-06 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

ビジネス成功を握る「販路戦略」の基本。流通×フランチャイズのプロが一から解説

 このコラムのポイント

モノを売るビジネスをする上で、「販路」つまり「販売ルート」をどうするかというのは売上を決める重要な要素。フランチャイズ本部が加盟店に対し、販売品や食材などを卸すのも共通のことが言えますが、販売ルートは短ければ短いほど製造元の利益率が確保しやすくなります。このように、流通に関する基本がつまったコラムです。

フランチャイズWEBリポート編集部


フランチャイズ業界関係者も必見!「販路」で商品の売れ行きは変わる

これまで、マーケティング戦略の立て方をお話してきました。
独立起業をされる方にとって必須知識の概念ですが、フランチャイズ起業をされる方にとっても本部のマーケティング戦略を検討する上で、非常に重要です。

このコラムでは、『販路』についてお話をしていきたいと思います。
商品と価格が決定すれば、『売る先への売り方』つまり『販路』を決めないといけません

『販路』と言うと、『販売するルート』ということです。『販路開拓』とは、『どういうルートを使って』『どういう売り方をするか?』ということになります。

製造業や卸売であれば、BtoBの先である『卸』『小売』が販路ということになります。店舗型のBtoCであれば、消費者が対象となります。

店舗型ではあまり、『販路』という考え方はありませんが、『新規客への売り方』と『リピーター客への売り方』と考えるとわかりやすいと思います。

いい商品が出来て、価格も魅力的であったとしても、『売るルート』や『売り方』があっていなければ、商品はお客様には流れません。販路によって、取るプロモーション(販促)も変わってきます。

本日は、この『販路』を考えるポイントについてお話をしていきたいと思います。

利益率を高くするための「販路戦略」で卸業者も小売業者もハッピーに

『売るルート』の決定では、最小限の費用で最大の効果を生みだすルート選択をします。

メーカーが直接、消費者にネット販売などで商品を販売しない限り、直接消費者に販売を行うということは困難です。そのため、小売店に依頼をして販売するということになります。しかし、日本全国に商品を売りたいとすれば、1件、1件、小売店に営業活動を行うとなるとコストがかかり、最大の効果を生みだすことができません。

そこで、卸業者を介して、商品を流すことを考えます。これが販路戦略です。

そこで重要なのは、卸業者も儲かり、小売業者も儲からなければならないという点です。卸業者は、小売業者がお客様なのですから、小売店が売りやすい環境が作れていることが取り扱いのポイントとなります。

商品力や販売鮮度、管理方法なども重要ですが、ここで壁となるものが、『上代』と『下代』と呼ばれる、『売価がいくらで卸値がいくらか?』というものです。

この利益率が高くないと、卸や小売業者が充分に儲からないという仕組みが出来てしまい、卸から小売に商品が充分に流れません。小売業者も儲けが少ない商品であれば、積極的に売らないという結果となり、商品が売れないという結果となります。

中小企業ではここを検討せずに、商品開発の売値や卸値が決定しており、卸を通して売ることが出来ない『下代』であったり、ムリな『上代』設定であったりします。
売り出す前から、販路をどこにするかということが非常に重要なのです。

販路といえば、フランチャイズ本部や代理店の業界でもこの概念は存在します。
つまり、フランチャイズ加盟店や代理店という販路を使って商品を流すというものです。

販路は、消費者に商品を届けるまでにルートが短くなればなるほど、商品を製造したり開発してている側からの管理がしやすく、利益率は確保しやすくなります。逆に卸業者や小売業者の力を借りることができれば、量が売れるということになります。

この利益率と量というバランスを見て決めるということが重要です。

近年農家が直接、ネットを介して消費者に販売するというのは、この利益率を確保する手法ともいえると思います。

販路は1つの販路だけでなく、複数持つことが非常に重要です。必ず複数のルートを構築しましょう。

販路先にモノを売るときは「売り方」がイメージできるように営業すべき

販路のルートが決まれば、次は、『売り方』を考えます。既存のルートがあれば、その商品の紹介を扱い、利益率等の諸条件を話すだけでも、商品が流れることになるでしょうが、新商品の場合は、新しい販路開拓を行わなければなりません。

そこで、『どういう売り方』をするかということを決めていくことになります。

この時に重要なことは、新規の販路先へのアプローチをどのようにしていくかが非常に重要となります。展示会等の活用もありますが、直接営業や人脈営業ということも行っていかなければなりません。そこでお客様に伝えるべき4つのポイントをお伝えします。

1.どういったお客様に買っていただくとどのようなメリットが伝えられるのか?
2.商品を販売するメリットはどのようなものがあるのか?
3.商品を取り扱うデメリットはどのようなものがあるのか?
4.売り先がどのように販売すれば売れるのか?

現場でよく忘れがちになることは、売り先がどのように販売すればいいのかイメージが出来ないという点です。あくまでも、売り先が商品を購入し、消費するわけではありませんので、いかに売ることが簡単な商品であるか?売ることを簡単にするための手法を伝えないと商品は取り扱って頂けないということになります。

つまり、マーケティング戦略が明確でないと、販路戦略も立てることは出来ないということです。

新規顧客とリピーターへの「売り方」はそれぞれ違うと理解しましょう

このコラムでは、販路戦略についてお話しました。販路の決定と売り方の2つが重要となりますが、店舗ビジネスでは、新規の顧客への売り方とリピーター対策への売り方―これらがそれぞれ違うことを理解すべきです。

商品を販売する上で一番、苦労が多い部分になりますが、商品が売れない場合には、販路のどこかが詰まっていることが原因です。その詰まる原因を改善しなければ、商品が売れません。今一度、販路戦略をみなす際に参考にして頂ければと存じます。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。