遠山行政書士事務所 代表 行政書士・ターンアラウンドマネージャー・相続鑑定士遠山 眞人
2016-05-17 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
遠山行政書士事務所 代表 行政書士・ターンアラウンドマネージャー・相続鑑定士 遠山 眞人

名古屋の食文化と車社会がカギ?愛知県で開業したいフランチャイズビジネス

 このコラムのポイント

愛知県といえば独自の食文化が発達しており、喫茶店文化もさかんな都道府県です。また、車社会のため駐車場付の物件で開業することが求められることも多いと言えるでしょう。 愛知県でまだまだ競合が少ない業界や参入するならおすすめのフランチャイズビジネスについて。愛知県で活動されている行政書士の遠山眞人氏に解説してもらいました。

フランチャイズWEBリポート編集部


愛知県で起業するときに着目したいポイント

人口は増加傾向。事業を起こすなら有利

愛知県は人口も増加しており、他県と比較し、起業に関しては有利な地域と言えます。

年月 人口 鉱工業指数        
    (季節調整済)平成22年=100 電力 着工新設 新車 百貨店
    生産 生産者 生産者        
      出荷 製品在庫 販売量 住宅戸数 登録台数 販売額
        千万
kwh
千万円
平成23年 7,424,399 93.2 92.8 106.0 5,897 56,887 236,970 43,346
平成24年 7,436,135 103.0 103.1 113.0 5,867 56,280 299,808 43,136
平成25年 7,450,154 104.3 104.8 103.5 5,910 64,478 288,890 44,897
平成26年 7,463,690 104.2 104.4 109.7 5,751 55,888 292,302 47,116
平成27年 7,484,094 103.8 104.1 99.2 --- 58,720 268,480 47,100

平成27年度間愛知県統計年鑑より引用

消費に慎重な愛知県人。起業前の事前調査が必要

しかしながら、愛知県人の気質は、保守的と言われ、特に新しいもの、流行などには、慎重な傾向にあり、起業に関しても十分な事前調査が必要です。

主婦層の会食も当初からランチ中心であり、リーマンショック以前の富裕層ターゲットの飲食業でも高くても5000円のランチが限界と言われていました。吉兆等の高級料亭のディナーやイタリア料理もあまり成功例はありません。当時においても、東京の富裕層の様にディナーに1万円台はまずありません。愛知県人は堅実です。

デフレ時代の現状の居酒屋でも一名あたり3000円~4000円の間が通常でしょう。2000円台も普通ですし、デニーズのチョイ飲みなら1000円台もありです。

その代わりと言っては何ですが、喫茶店はもともと多く、さすがに名古屋駅、栄近辺にスターバックスやドトールコーヒー等が増えましたが、少し市街地に外れると個人経営の喫茶店がまだまだ多いと言えます。

名古屋の喫茶店文化から派生して全国区になったのが、コメダ珈琲店です。また、有名カレー屋チェーンのCoCo壱番屋は、もともと愛知県(一宮市)の喫茶店文化から生まれたカレーです。

愛知県の飲食業界現状

第一に見たい飲食ビジネスは「喫茶店」

コメダ珈琲店は愛知県内に245店舗あります。同様にカフェ・ド・クリエも愛知県発祥です(ポッカコーポレーション系列)。街中や駅周辺にあるのは、カフェですが、住宅地にあるのは、喫茶店です。喫茶店は食事をするところです。珈琲のみを楽しむのがカフェでしょう。

喫茶店数比較
都道府県順位 喫茶店数 人口千人当たりの喫茶店数 面積1平方キロメートル当たりの喫茶店数
1位 大阪府 9,833 高知県 1.62 大阪府 5.17
2位 愛知県 8,986 岐阜県 1.48 東京都 3.18
3位 東京都 6,688 愛知県 1.21 愛知県 1.76
(参考) 全国 70,454 全国 0.55 全国 0.19

喫茶店数:総務省・経済産業省「平成24年経済センサス-活動調査(産業横断的集計・詳細編)

愛知県の喫茶店件数は上記の『喫茶店数比較』を見てわかる様に、日本一ではありませんが、全国有数の喫茶店文化の地と言えます。漫画喫茶も愛知県が発祥です。

愛知県の喫茶店文化が発達した背景には、仕事を優先し、朝食を取らずに出先の喫茶店で取る事が多いので、モーニングサービスが発達したと言われています。

喫茶店の飲食業としての位置づけとしては、以下の3タイプに大別されます。

1.専門性の高い飲料の提供をする喫茶店

原材料へのこだわりが問われる喫茶店タイプです。

2.飲料+料理を提供する喫茶店

ランチ時の食事メニューへの迅速な対応が問われる喫茶店タイプです。

3.時間消費のサービスを中心とする喫茶店

店の雰囲気、状況管理力が問われる喫茶店タイプです。

全国的には、喫茶店の事業所数は減少の一途です。

平成8年には10万店あった喫茶店でしたが現在では、7万店強程度。その反面、喫茶店の市場規模は1兆円で推移しているので、大手チェーンの台頭と個人営業店の廃業が進んでいることが見受けられます。
フランチャイズでの喫茶店開業は特に慎重に判断すべきでしょう。

名古屋めしが特徴的な愛知県。焼き肉店開業が増加傾向

愛知県と言えば名古屋めしが特徴的です。味噌煮込み、ひつまぶし、あんかけスパゲティなど名古屋ならではのグルメのお店が並びます。

世界のやまちゃん等の手羽先、CoCo壱番屋のカレー等はもはや全国区であり(CoCo壱番屋は愛知県で出店が多いのでカレーのチャンピオン等対抗馬で開業することが狙い目)、逆に、山本屋等の味噌煮込みやひつまぶしは愛知県中心です。

飲食店としては、やはり焼き肉店がここ数年は増加しています。フランチャイズ店、個人の店ともども多いです。

減少傾向にある居酒屋。開業するならフランチャイズが有利

全国的に居酒屋の事業所数は減少傾向にありますが、特に愛知県の件数は全国的には少ないと言われています。開業するなら戦略次第。立地とコンセプトを明確にする必要があるでしょう。

居酒屋に関しては、フランチャイズの検討が有効な手段です。しかし、投資額が大きくなりがちで、契約内容によっては開業後に厳しい状況が生まれる場合も予想されます。
慎重に情報収集をしてから、契約を検討しましょう。

麺類の飲食店はうどんが優勢か。ラーメン店開業は減少傾向

麺類の飲食店に関しては、ラーメン店の出店はかつてほどではありません。
現在愛知県でのラーメン店出店は全国的には、中の下でしょう。(全国31位~60位)きしめんの発祥の地ですが、専業の店は少なくうどん店の方が多いくらいです。

フランチャイズのラーメン店の開業は減ってはいますが、名古屋でも、様々な種類が出店しています。
最近、横浜家系やつけ麺系などが増えていますが、コンセプトを明確にすることがキーポイントになるでしょう。
流行り廃りの問題、仕込みの問題、体力・気力が必要とされます。

愛知県のサービス業界現状

愛知県は学習塾のフランチャイズオーナーが多い!?

少子化の流れで2001年から塾・進学教室は、全国的に減少傾向にありますが、2008年度以降は上昇傾向に転じています。

かつてのトイザラス等、おもちゃ店の隆盛にも言えることですが、近年シックスポケット(親と祖父母の財布)からの出費が少子化の効果で増えています。また、格差社会の問題をマスコミが流布することから教育熱の高まりを見せていることもあって、学習塾開業は少子化といえど需要があると言えるでしょう(子ども一人当たりの教育費が増えているという意味で)。ローカル経営が必須な業種です。

愛知県といえば、人口比率も全国21位~30位ですので全国的にみても中間的順位と言えます。昨今は、愛知県から開業した塾経営のフランチャイザー(本部)はかなり多いです。また、有名予備校である河合塾発祥の地でもあります。

愛知県の学習塾ニーズは、かつての代々木ゼミナール、河合塾のような大手塾から名学館のようなフランチャイズ塾に移行が進んでいます。

愛知県は質屋・買取専門店が少ない(金券ショップは増えてきた)

愛知県といえば、コメ兵発祥の地ですが、東京ほど質屋は多くはありません。
金券ショップはかなり増えましたが、おたからやというチェーン店のような買取専門店はまだまだ少ないと思います。買取専門店はまだまだ成長の余地があります。

愛知県でマッサージ店を開業するなら、駐車場は必須(郊外型の場合)

通常の指圧・マッサージ・整体等においては特に全国と大差はありません。車社会なので、郊外型であれば、駐車場は必須です。開業のしやすさで考えるとこれからも増加が予想されます。東京や関西近辺と比較してテナント料が安いのでコストをおさえることができるのは有利な点でしょう。

コンビニは激戦だが売上は好調!?これも駐車場必須

愛知県はサークルKの発祥の地ですが、ここ数年セブンイレブンが急増しています。コンビニは激戦が続きます。しかし、売上は見込めますので、慎重にご検討ください。

また、車社会なので駐車場つきのコンビニなどはニーズが高いといえるでしょう。

愛知県でフランチャイズ開業したいビジネスまとめ

愛知県で飲食店を開業するならまだまだ出店余地はありますが、先にも述べたように愛知県人は堅実なので、慎重に考える必要があります。

上記に挙げた以外にも狙い目といえるビジネスを2つご紹介しておきます。

まず、フィットネスジムのカーブス。店舗数が拡大していますが、首都圏ほど激戦ではないので愛知県で開業するならおすすめです。

それから、葬儀屋のTEAR(ティア)。これは名古屋発祥のフランチャイズです。葬儀経営のフランチャイズは投資金額も大きいのですが、失敗率も低いのが魅力といえます。(ホテルなどもウェディングから葬祭に基軸が変化しています)

介護ビジネスはまだまだ展開の余地ありです。高齢化進行で確実にニーズが高い業種なので検討の候補には入れてもいいでしょう。

その他、立地条件等によって変わりますので私を始めとするフランチャイズの専門家に相談するのもひとつかと思います。

遠山行政書士事務所 代表 行政書士・ターンアラウンドマネージャー・相続鑑定士 遠山 眞人

建材メーカー役員を得て、事業再生・事業継承のコンサルティング等を行う。2014年4月より、遠山行政書士事務所設立、会社役員・事業再生で培ったノウハウ・人脈等にて、創業融資・補助金業務を中心に活動。個人事業としては唯一のウインク愛知・池袋におけるサンシャインにてのフランチャイズビジネスフェアの出展者。フランチャイズビジネスにおいては昨年約200社のフランチャイズ本部に訪問し、関東圏・中部圏・関西圏のフランチャイズ加盟店をフォローしている。